今日書こうと思うテーマは、おそらく長くなる。いつもの倍くらいの長い記事になろうと思うので、あらかじめ今日と明日の2回に分けて書く予定であることをお断りしておこう。

さて本題。

今年で2年目を迎えた全国7ケ所を舞台にして行う、正味5時間の看取り介護セミナー(日総研出版社主催)も、今年度も残すところ7/2(日)の福岡セミナーと、8/6(日)の岡山セミナーのみとなった。

このセミナーの最少催行人数は13人として設定されており、5時間という長時間の座学であり、かつ決して参加料が安いセミナーとは言えないことを考えると、その人数さえも集まるだろうかと懸念した時期もあるが、幸いにして2年間ともに、最少催行人数を気ににかける必要もないほどたくさんの方が受講してくださり、50人超えは当たり前で、会場によっては100人を超える受講人数だったこともある。

セミナー後のアンケートもおおむね好評で、受講料に見合った内容であると評価を受けている。

うれしいことに、最近は老健の看護職員の方々の受講が増えている。僕がかねてより、老健の在宅復帰機能・中間施設としての機能と、看取り介護・ターミナルケア機能は相反するものではなく、「老健でのターミナルケア・看取りは、利用者の長期間の在宅療養支援の結果として行われるものである(27年報酬改定の要点より)」と主張してきたが、そのことが多くの老健関係者に認められつつあるのではないだろうか。

現に一般型老健と在宅復帰加算型老健では、在宅復帰率が高い老健ほど、ターミナルケア加算算定率が高いし、在宅復帰率が80%を超える在宅復帰型老健においても、76%の施設でターミナルケアが行われているのである。

つまりこれからの老健は、在宅復帰機能と同時に、繰り返し何度も老健を利用している利用者の、人生の最終ステージをもカバーする機能が求められてくるわけで、その機能を放棄する老健に未来はないとさえいえるわけである。

そんな中、ソーシャルワーカーとして、施設管理者として、僕ほど多くの看取り介護実践に関わってきた人材はそう多くないと言えるし、かつ特養と老健の実務経験を持っているという意味において、『「生きる」を支える看取り介護の実践』というテーマで、特養・老健・療養型医療施設・在宅のすべての領域に共通する看取り介護・ターミナルケアの話をできる講師としても貴重な存在ではないかと自負している。

看取り介護・ターミナルケアに関する講演依頼のある方は是非お気軽に相談いただきたい。おっと、そんな宣伝はどうでもよいが、ここで考えておかねばならないことがある。

老健でターミナルケアを実践しようとする際に、事前に十分職員間のコンセンサスをとっておかないと、後々厄介となる問題がある。それは『自然死とは何か?』というコンセンサスであり、そのことに関連して、経管栄養や点滴をどう考えるのかという問題である。

それは老健には医師が常勤配置されており、なおかつ過半数の老健は、看護職員の夜勤体制もあり、24時間医療行為ができる施設であるという側面があるからだ。つまり医療行為ができるだけに、可能な医療行為である点滴の実施、経管からの栄養補給について、『行わない』とする判断が難しいのである。

できる行為をしないためには、「しなくても良い」あるいは「しないほうが良い」という判断基準が必要である。その根拠を看護職員が十分理解しないまま、ターミナルケアを実施すると、実施中に「経管栄養をなぜ行わないのか」、「経管栄養をしないという治療の中止は倫理上・道義上の問題ではないのか」という疑問が一部の職員に生じかねない。

そうなるとその施設におけるターミナルケアは、職員の意志不統一の状態で、バラバラの考え方と思惑が交差している中で行われるという意味になり、それはターミナルケア対象者や、その家族にとって、何よりの不安要素である。そのような状態で、ターミナルケアが実施されることは防がねばならず、そのために事前の教育と意思統一は不可欠なのである。

しかしながらそれは、高齢者の点滴や経管栄養を全否定するような論理であるはずがない。必要な救命治療と不必要な延命医療の線引きをどうするかという問題であって、この点が明確化され、コンセンサスを得られれば良いわけである。

この部分の議論や教育は避けて通れないところであり、それをきちんとレクチャーできる講師役が内部にいない場合、講師を外部に求めなければならないこともあるわけである。(明日に続く)
看取り介護セミナー
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