6月2日に開かれた平成29年第9回経済財政諮問会議では、今年の「骨太の方針」の素案が提示された。今後その素案をもとに与党との調整を経て近く閣議決定されることになる。

この素案のなかに、訪問介護の生活援助と通所介護の報酬見直しが明記されている。

訪問介護については、生活援助を中心とするサービスについて、人員基準を緩和した新たなルールを創設し、そのルールに見合う報酬を設定する構想が示されている。要するに、生活援助=家事であるから、専門性がさほど必要ではないだろうから、資格要件等を取り払って、誰でもサービス提供できるように基準を緩和して、その分報酬を下げるという意味だろう。

しかしこれが実現すれば、訪問介護事業所はたまったものではない。今でも単価が厳しい生活援助の単価がさらに下がって、そこで収益を挙げるのは極めて困難になる。そもそもそのような単価で、人件費が捻出できるのだろうか。仮に捻出できたとしても、その額で働こうと思う人がどれだけ集まるのだろう。

そのことを考えると、今後は生活援助サービスを提供しないという訪問介護事業所も出てくるかもしれない。その先には、制度あってサービスなしという状況が生まれかねない。それともそのことは国は織り込み済みで、近い将来の、保険給付からの生活援助外しの布石とするつもりなんだろうか。

通所介護はさらに厳しい。通所介護の収益率はいまだに高水準だとして、報酬の効率化・適正化を図るとされている。

その根拠は、マイナス2.27%とされた前回改定の影響をうけた2016年度経営概況調査(昨年末、厚労省が公開)結果である。それによると、施設・事業所双方の2015年度の全21種類のサービスのうち16種類で収益が悪化していたが、通所介護については、収益率が6.3%となっており、この数字は中小企業の平均(2014年度:3.6%)よりもかなり高いものだというのである。よって通所介護の給付費は、もっと下げられる余地があるとされ、特にやり玉にあげあっれているのが、機能訓練をしていない単なるレスパイトケアである。

そうなると機能訓練加算を算定していない事業所の単価が下げられる可能性が高く、基本サービス費を下げて、機能訓練加算等の単価を上げ、全体として給付費をマイナス改定するという方向性が見えてくる。

このことに関連して5/24の社会保障審議会・介護給付費分科会では、認知症対応型デイサービスと一般の小規模なデイサービスの機能分化があいまいになり、一般型デイでも認知症高齢者の利用が目立っているという指摘がされている。ということは現在報酬が高く設定されている認知症対応型通所介護費の単価も削減ターゲットにされる可能性も出てくる。

しかし前にも書いたが、27年度報酬改定以降、事業廃止した通所介護事業所が目立っている。そうした事業者は、収益を挙げられず経営不振に陥ったという意味である。しかもそうした閉鎖・廃止された事業者の収支状況は、経営概況調査の数字には反映されない。現に運営できている事業者は、経営努力の結果、収益を挙げているもので、そうした経営能力の高い事業者の数字だけを取り上げて、事業閉鎖に追い込まれた事業者の窮状を無視した経営実態評価はあり得るのだろうか。

現に運営を続けて収益を挙げている事業所にしても、報酬削減により経営状態が悪化しないようにする努力は、もともと低く抑えられた従業員の給与水準に支えられたものであり、そうした従業者のさらなる給与削減は、人手不足の折難しいことから、収益を挙げている小規模通所介護事業所の経営者の給与水準は、民間の中小企業よりかなり低く抑えられている場合が多い。中には従業員より、経営者の給与のほうが低く抑えられているという逆転事業者も珍しくない。

そうした中での収益率である。それは「儲け過ぎ」というにはあたらないものである。しかも比較対象となっている中小企業とは、決して零細企業ではなく、資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人である。

それに比べ小規模通所介護事業者とは、定員が18人以下で全従業者の数も10人に満たない事業者が多いのだから、100人近くの従業者がいて、資本金が何千万円単位で経済活動を行う中から収益を挙げている民間企業と比べるのもどうかと思う。収益率は似通ったとしても、そこで得られている収益金額には大きな差があるのだ。

そういう意味では、通所介護費については、削減ありきの意図的に偏ったデータ抽出が疑われてもしょうがないと思う。

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