介護報酬改定に向けた議論は、いよいよ佳境に入りつつあるが、利用者負担の導入が見送られた居宅介護支援費については、今後具体的な論議が行われる。

基本サービス費の単価アップは望めないが、加算・減算の見直しが行われるものと思え、そのなかで僕個人としての最大の関心事は、特定事業所集中減算の見直し(廃止)が行われるかどうかという点である。

それは今後のケアマネジメントの評価にも関わってくる重大な問題だからである。

そもそも特定事業所集中減算については、そんなルールは必要ないことを、このブログでは何度も指摘してきた経緯がある。(特定事業所集中減算についての関連記事一覧

関連記事の中の、特定事業所集中減算の見直しが現実化という記事でもお知らせしているが、昨年6月に会計検査院が、減収を避ける目的で意図的に集中割合を下げる事業所が多いとして、「集中割合を調整しようとすれば、必ずしも利用者本位のプランが作られていないことになる。ケアマネジメントのそもそもの趣旨に反する」、「(特定事業所集中減算というルールは、)合理的で有効とは言えない」と見直しを求めたことが、廃止議論のきっかけになった。

そして昨年9月の社会保障審議会・介護保険部会では、その見直しを求める強い声が挙がり、厚労省も「介護報酬改定にあわせて検討する。」と明言しているところだ。

これらの経緯をみると、減算ルールの廃止は現実的なものと言えそうであるが、その後議論は中断しているような状態が続いている。

そんな中で、先月4/26の介護給付費分科会では、サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームの入居者に対し、外部の介護サービスが過剰に提供されているのではないかという問題提起がされ、老健局の蒲原基道局長が、来年度に向けて対策を強化できないか検討していく意向を示している。

そうなると、これはケアマネジメントに対する制限強化につながる恐れがあり、特定事業所集中減算という制限は、残しておかねばならないという議論に向かう可能性もあり、予断の許さないところである。

ところでサ高住や住宅型有料老人ホーム入居者の過剰な外部サービスとは何だろう。4/26の会議では、大阪府が公表した報告内容において、一月の支給限度額に占める実際の介護費の割合について、サ高住や住宅型有料老人ホームが、特養より高くなっている点が問題視され、これが囲い込みによる過剰サービスではないかと指摘を受けたわけである。

しかしサ高住は、介護を必要とする高齢者が、外部のサービスを利用することを想定して居住する場所である。また住宅型有料老人ホームは、もともと住居だけを求めた人が入居した後に介護が必要ななった際には、外部のサービスしか利用できないホームである。

両方とも外部サービスであるがゆえに、特養のように暮らしの場に介護サービスが張り付いて、常時見守りができるという状態ではないために、回数や頻度を増やさないと、介護ニーズに対応できないという面がある。

サ高住入居者や住宅型有料老人ホームで介護を要する状態になった人の状態像を見ると、インフォーマルな支援者がいないことにより、必要なケアが受けられない要介護者である場合が多く、インフォーマルな支援者に代わるサービスとして、支給限度額ぎりぎりのサービスが必要な場合も多い。

つまり割合だけで判断できない部分があり、過剰なサービスという指摘が的外れで、必要なサービスである場合もあるということだ。

この点を精査せずに、ケアマネジメント批判が起こり、「同一事業者によるサービス規制」や「特定事業諸集中減算の継続」につながるとしたら、制度改悪に他ならなくなる。

介護支援専門員の職能団体や、サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホームの関係者は、この点について、もっとしっかり声を挙げるべきではないだろうか。

同時に、介護支援専門員の方々で、サ高住や住宅型有料老人ホーム入居者の居宅サービス計画を担当している方には、自らの計画を見直して、ケアマネジメント批判につながるような囲い込み前提の計画になっていないか、検証しなおしてほしい。

囲い込みでもなく、過剰なサービスでもないというしっかりとした理論武装ができないプランに終始している限り、介護支援専門員の専門性は疑われ続けることになり、制限も更に増えることになることを忘れてはならない。

世にとって必要で重要な「介護支援専門員」という資格を、そのように自らの手で貶めてはならないのである。

日本の福祉の底辺を確実に引き上げている、介護支援専門員という有資格者としての自覚と誇りを忘れないでほしいと思う。

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