(多職種連携が求められる理由から続く)
多職種連携と一口に言っても、関係者がチームを組んで集まるだけで、課題が解決するとは限らない。
そもそも人を集めただけではチームは機能しない。そこに集うチームメンバーが全員善意のある人であっても、利用者のために働く良い機能を発揮するとは限らず、意思の統一に時間がかかったり、守秘義務の漏れが出たり、利用者支援に支障をきたす場合がある。
3人寄れば文殊の知恵というが、そういう現象に期待を寄せてはならない。単に人が集まるだけのチームでは、手抜きや足の引っ張り合いが起きて、人数に見合った能力を得ることにはならないのだ。
そのためにチームを組む人々は、チームを組む利点と欠点をよく理解しておくことが大事だ。
チームを組む利点としては、次の3点が考えられる。
1.様々な情報と知恵が集まり、それによって情報が多角的に分析できること
2.多領域の人材が集まることにより、使える資源が増えること
3.チームメンバー間の協力や競争意識によって、メンバーそれぞれのスキルアップが図れること
一方で欠点としては、
1.意見調整に手間ひまがかかり非効率的になりやすいこと
2.役割混乱のために葛藤が生じやすいこと
3.多数決の論理に支配され、少数派の反対意見が出にくいこと、無視されること。
以上のような利点・欠点が挙げられる。このことを意識してチームを組んでチームを運営する必要がある。そこで必要となるのはチームリーダーである。メンバー全員を公平に見つめて、小数意見も取り上げるスキルがあるリーダーによる運営が求められるのである。
そして意見の集約、意思の統一は、会議によって行うという原則を徹底的に守る意識が求められる。阿吽(あうん)の呼吸とか、オフの飲み会などの雑談での決め事をチームの意思として動くことは、チームが機能しなくなる一番の原因となる。
チームを組む場合、チームの目的がチームの維持に向かいがちになるが、保健・医療・福祉・介護の連携チームの目的は、利用者支援にあり、利用者中心のチームで何を目指すのかという目的を決して忘れてはならない。
そのためには会議において、常にチームメンバー全員が、目的と目標を分けて理解しておくことが大事だ。
目的は、何のために行動するかという方向性であり、保健・医療・福祉・介護の多職種連携では、利用者の生活の質向上、福祉の向上という方向性が示されることになるが、それは抽象的で長期にわたるもので、場合によってはどこまで行ってもたどり着かないと思える内容かもしれない。しかしそうであっても目指すものである限り、それはかまわないわけである。
一方、目標とは目的に向かうために、当面達成するべき事柄であり、定期的・定量的に表現でき測定できるもので、かつ具体的で達成可能なものである必要がある。
その内容をチームメンバー全員が、常に確認し共通認識を持つことが、チームを機能させることになる。
(明日に続く)


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