辞書を引くと誇りの意味は「名誉に感じること。また、その心。」とされている。
人は永遠の存在ではない。いつかその命が尽き果てるときがくる。そうした儚い命を持って、人がこの世に生まれくる意味は何なのだろう。意味がないはずがない。その意味を問い続け、考え続けるのが人生という旅ではないのだろうか。
人生という旅を続けながら人は、名誉を感ずる何かを手にして、生きる意味を感じることができるのではないだろうか。「人はパンのみで生きるにあらず」という言葉は、人は物質的な満足だけを目的として生きるものではなく、精神的なよりどころが必要であるという意味である。
その拠りどころが、「誇り」であり、誇りを持つことは、人が生きる根本であるとさえいえるのではないだろうか。
僕たちは長い人生の中で、様々なものとめぐり合うが、その中でも、「職業」との出会いは重要である。それは自らの生活の糧となるものでもあるが、職業を通じて社会生活が回り、日常が生まれる。そこで様々な出会いがあり、自らの価値観が作られていく。職業の選択が、人生を大きく左右することもある。
そういう意味で人生にとって職業は重要な要素であり、運命でもあるといえるかもしれない。
対人援助・介護に関連した職業を選択した僕たちは、そこでどんな誇りを見出すことができるのだろう。
人に関わる職業は、好む好まざるに関わらず、誰かの暮らしに深く介入せざるを得ない。もっともプライベートな暮らしに介入し、誰かの心の中を覗きこむことさえある。そのことはやがて誰かの人生に深い影響を与える結果を生むかもしれない。
そのとき僕達が、誰かにとって人生のバリアになるのか、救いの手になるのかで、誰かの人生の幸福度が変わってくるのかもしれない。
高齢者の暮らしに関わるのであればなおさらだろう。長生きして良かったと思える人生を生きるのか、こんなことなら長生きなんてしたくなかったと思って悲しみと苦しみの中で息を止めるのかが、僕達の関わりひとつで決まってくるのかもしれない。
そのことを重圧と感ずるのではなく、使命と考えることはできないのだろうか。
僕達が関わることで、誰かの人生が幸せなものになることを信じて、そのことに誇りを抱き、介護という仕事を選んでほしい。介護という職業に関わり続けてほしい。そんな願いを込めた本が、昨日刊行された「介護の誇り」である。

しかしこの本はフィクションではなく、介護実践につながることを願って書いた本だ。だから絵空事やきれいごとだけを並べてもしょうがないと思い、介護に誇りを抱く事ができない人々により、どのような悲惨な状態が作り出されているのかを、過去の事件・事故の状況から明らかにするところから筆を起こした。
そうした誇りなき介護がなぜ生まれるのかを考えながら、僕達が向かう方向性を探そうと筆を進めた。
そして地域包括ケアシステムが目指すところにも目を向け、増え続ける認知症の人に、どのように寄り添って、それらの人たちが住み慣れた地域で暮らし続けるためには何が求められるのかを、章を設けて論じてみた。
住み慣れた地域で、家族とともに暮らす先には、暮らしの場で命を全うすることも重要になると考え、看取り介護・ターミナルケアの観点から論じてみた章も設けた。
そして介護に携わるすべての人たちが、誇りを持つことができる、「介護の力」を書き上げて筆を置いた。
「介護の誇り」は、昨日印刷製本が完了し、出版社に届けられた。そのため一部書店には昨日から並べられているはずだ。出版社に購入予約をしていただいた方には、昨日から発送作業が始められているので、本日中にもお手元に届く場合もあるだろう。
すでに100名を超える人からの予約注文をいただいており、筆者としては光栄である。
僕自身のもとに、その本はまだ届いておらず、日曜日(5/14)に札幌で行うセミナー会場で、その本をはじめて手にする予定である。
僕にとっては5冊目の自著本となる「介護の誇り」は、日総研出版社からの出版で、A5判 192頁 定価1,800円+税となっている。どうぞよろしくお願いします。
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今日は昼から休みなので楽しんで読みたいと思います。
感想は後日ということで。