2018年4月からの介護報酬改定については、今後の介護給付費分科会で議論が本格化する。
財政が厳しいという理由で、社会保障費の自然増分の1兆円を5.000億円に抑えるという骨太の方針の中で報酬改定が議論される。それに加えて来年度の改定は、診療報酬とのダブル改定であり、医療と介護の予算の取り合いという性格も否めず、介護報酬の動向は厳しいと言わざるを得ない。
3月までの議論を振り返って、今後の報酬改定の論点を整理すると下記のようになる。
1.生活援助の見直し
2.給付の適正化
3.ハイテク機器の導入促進
4.「科学的に裏付けられた介護」の展開
5.適切なケアマネジメントの推進
6.中・重度者の在宅生活を支える地域密着型サービスの推進
7.特養の体制の強化〜看取り機能強化と外部医療サービスの導入
8.医療と介護の連携
9.介護療養病床の再編
10.地域共生社会の実現
1では、訪問介護の生活援助ができる資格の緩和が検討されている。ヘルパー資格を持ったものや初任者研修受講者でなくともサービス提供できるかわりに、報酬単価を大幅に引き下げようというのが国の意図だろう。しかもこの見直しは軽度者に限定されず、生活援助全般に及ぶ可能性が高い。訪問介護事業者にとって厳しい見直しが行われる可能性が高い。
2は、通所介護のレスパイトケアつぶしに直結している。通所介護の機能訓練を行っていない時間帯の報酬を大幅にカットする方向で国は動き出している。そのほか保険給付外としなかった軽度者の生活援助等の大幅な報酬引き下げも、この論理で実行される可能性が高い。
3は、国の新産業育成策と相まって、介護ロボットや見守りセンサー、ICTの普及を目指すもので、それらの危機を導入して活用しようとする施設等の加算報酬が検討されている。特にコミュニケーションロボットやICT(情報伝達技術)は、介護現場の人手不足とあいままって普及が促進される。これをうまく使うことにより、夜間巡回が必要なくなり、配置人員を削減できる近未来図が描かれているが、果たしてそのようなことが可能だろうか。
4では、塩崎厚労相をトップとする「データヘルス改革推進本部」が立ち上げられ、エビデンスにつながるデータ分析が行われる。介護実務を知らない役人に、データがどのように分析できるというのか、単にアリバイ作りに終わりそうな予感がしなくもない。
5では、特定事業所集中減算の見直しが最大の目玉となるだろう。
6では、国が事業所数を増やしたいと考えている、小規模多機能型居宅介護のために基準緩和が検討される。小規模多機能型居宅介護に移行後、居宅介護支援から外れてしまうことが、このサービスの普及を妨げる要因だとして、居宅介護支援事業所のケアマンジャーが、小規模多機能型居宅介護に移行した後も、引き続き担当できる方向も議論される。
7は、特養の基本報酬をさらに下げたうえで、看取り介護加算を強化し、外部からの医療サービス提供をしやすくする仕組みが検討される。ただこのことは、特養の収支悪化をさらに進める方向性ともいえる。
8は、地域包括ケアシステムの深化という言葉で、多職種協働をさらに求めるものだ。居宅介護支援費や診療報酬の、この部分に関する加算は強化される可能性が高い。
9は、医療体制の濃淡に応じた3種類の新たな施設の創設が決まっている。
10は、高齢者介護制度に限らない、障がい・子育てといった制度の垣根を取り払ってサービス提供される仕組みが議論されることになる。
そんな中で、介護報酬のアップが期待できるのは、短時間のリハビリテーションなど、身体機能の改善と要介護状態区分の軽度化につながる部分のアウトカム評価、専門職配置というところか。どちらにしても少ない予算を医療と介護で取り合う中で、さらに医療系サービスと介護系サービスの水面下での争いが行われる中での報酬改定である。
まじめに運営し、高品質なサービスを提供している事業所に対する評価がほとんど見えない、暗闇しか見えない改訂議論といえるのかもしれない。
4月22日(土)14:30〜16:30に枚方市立メセナひらかた会館(大阪府枚方市)で行われる「枚方市介護支援専門員連絡協議会・15周年記念式典」の中で、記念講演を行う予定になっているが、そこでは介護保険の創設の軌跡や、その意味とともに、時期改正の論点も掘り下げて語る予定である。
そのためのファイル作りの過程で、上のような整理をしている最中だ。この記念講演は、会員以外の方も参加可能とのことであり、興味のある方は、張り付いたリンク先を確認願いたい。
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