知らない場所で食事を摂ろうとする場合、インターネットでお店選びをすることが普通の社会になった。逆にインターネットの情報がないと、どのお店を選んでよいのかわからないことが多いともいえる。                                                  

それだけネット情報は身近で便利なものである。自分で調べてきめるのだから、当たり外れは自己責任で仕方ないと思えるという意味もある。
                                            
僕の場合、講演などでなじみのない地域を訪れることが多いが、そのような場所で、お昼時や夕食時に、どこで何を食べるかをきめる際に、インターネットの情報は貴重だ。「食べ○○」、「ぐる○○」などのサイトを見て、お店を選ぶことが多い。
                           
その際、お店の紹介サイトの何の情報を一番参考にするかというと、実際にその店を訪れた人の評価、「口コミ」である。                                         
店サイドがどのような紹介文を書いていようとも、それは店側の宣伝文にしか過ぎないので、鵜呑みにはできない。まずくて高いと書いてあるわけがないのである。
                
一方で、「口コミ」は、ユーザー側の情報であり、たとえその評価が個人の主観に基づくものであり、必ずしも客観性があるものではなくとも、うまいかまずいか、コスパが高いか低いかについて、参考にすることができる。誰かの主観であったとしても、その数が一定数を超えていれば、大いなる参考意見である。                                          
ところで、同じインターネットの情報なのに、介護サービス情報公表制度はほとんど使われておらず、みられていない情報となっている。(参照:ブーイングがなくならない介護サービス情報公表制度
 
例えば特養に入所する場合、それはもしかしたら人生最期の居所選びとなるかもしれない。その際に、どうしてインターネットでいつでも誰もが見ることができる公開情報が活用されないかを考えたときに、その答えは案外簡単である。それは公開されている情報と、ユーザーが知りたい情報が異なっているというミスマッチによるものだ。                           
介護サービス事業者がそこに何を書いていようとも、いかなるデータを入れようとも、介護サービスのユーザーは、そんなものに興味はない。仮にそこに書かれている情報が、第3者による調査の結果であったとしても、調査員情報にも興味がないというのが一般ユーザーである。     

介護サービスユーザーが知りたいのは、ここでも「口コミ」情報なのである。しかし介護サービスは再現性もないことから、事前に試してみるということが困難なサービスとも言える。お試し利用といっても、時間や環境が異なる場面で全く同じサービスが再現されることにはならないから、この「口コミ」情報を得ることが難しいという特徴がある。

施設サービスの場合であれば、そこで住まう人の「口コミ」情報は、かなり信頼の置ける参考情報となるのだろうが、要介護状態区分が高い人が、主観を文章にまとめてネット上に流すということは、今現在の状況としては難しいだろう。

子供の頃からネット環境が普通に存在し、ネット社会が習熟した人しかいない世代が、高齢期で介護を必要とした場合には、そうした介護の口コミは、普通になるかもしれないが、今この時代には無理だろう。

よって介護サービス情報公表制度をどんなに工夫しようと、サイト運営を民間に任せようと、みたい情報がないことに替わらない以上、そんな情報を活用しようとする人は増えない。

みたい情報がない限り、それは要らない情報だということは極めて簡単な理屈だ。

それをやめられない理由は何か?こんな無駄遣いをなくせない理由は何か?そこのところにお役人様の利権が絡んでいないかといううがった声さえ聞こえてきているのだから、この部分での説明責任を果たす必要があるのではないか。

しかしながら、その責任を負うべき人も誰なのかよくわからないのが、我々国民や介護事業者から見た現状である。そんなふうな魑魅魍魎的イメージしかない公表制度に、わざわざ貴重な時間を削ってアクセスしようとしないのも当たり前のことである。

この制度は、いったんなくさないと始まらないと思うのである。そして何度も言うように、この公表情報がなくなたとしても、困る人はほとんどいないのである。

いつまでもその存在にこだわる必要もあるまい・・・。
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