人はいつか死んでいく生き物だ。しかし今この世に存在している人で、死を経験した人はいない。
死に行く人を看取る人は、その時死に臨む人々が何を感じ、どんな思いで旅立っていくのかを、想像するしかない。
過去にたくさんの死に直面し、その経験から死に行く人びとの肉体的な変化の知識をいくらたくさん得ようとも、我々には想像がつかないものがあるのかもしれない。万能の神ではない人間として、そこの部分は謙虚に、真摯にこうべを垂れて相対する必要がある。
だから我々は、我々の知ることができない死を見つめる前に、生を見つめて関わろうとする姿勢が求められると思う。
旅立つ人が、息を止めるその瞬間まで、確かにこの世に生きているのだという視点で、生きることを支えながら、安らかに旅立って行くことができるように、我々のできる限りの知恵と力で支え続ける必要があるのではないだろうか。
我々にできることは限りがあるし、その力は強くはなくとも、できる限りのことを悔いなく行いたい。いつか燃え尽きようとも、そこに生命が存在している限り、我々にはできることがあるはずだ。
小さな事しかできない人間であっても、大きな愛を贈ることはできるだろう。
愛などという抽象的な表現で介護を語ることを否定する人も多いが、人としての愛情や、心の温かさを感じられない方法で介護を受けることを望むのだろうか?
いくら技術や手法を手に入れても、手を差し伸べるベキ目の前の人々が望まない形での手技・手法など迷惑でしかない。ましてやこの世で最後に差し伸べられる誰かの手が、愛も温もりもない、無機質の機械のような手であって良いのだろうか?
僕は、人の思いが伝わるケアを目指したい。そういう方法論を創っていきたい。笑顔も涙も、そのためのエッセンスだ。感情のある人間同士のふれあいだからこそ、それぞれの感情に寄り添う方法を大切にしたい。しかしそれを単なる感覚的問題として終わらせることなく、根拠と理論に基づいた方法論として伝えたい。
愛情は理屈では語れないし、愛情や思いを理論化することは難しいだろう。しかし愛のある方法論を理論化することは可能ではないのか。愛のある方法論の先に、どのような結果が生まれるのかを説明することも可能なのではないか。
なぜなら僕には、実践結果という何にも替え難い根拠があるからだ。そこで事実として交わされた愛の風景を語ることで、伝えられるものがあるはずだ。
そんな方法論を全国7ケ所で伝える、「日総研看取り介護セミナー」が、いよいよ来月からスタートする。今年のテーマも昨年同様、「PDCAサイクルの構築による命のバトンリレー〜介護施設で〈生きる〉を支える看取り介護の実践」とした。
新年度最初のセミナーは、4/15(土)の仙台セミナーが皮切りとなる。
仙台周辺地域の皆さんは、ショーケー本館で、10:00〜16:00まで行うセミナーにぜひおいでいただきたい。
翌日の4/16(日)は、東京都千代田区の損保会館で、同じセミナーを行う。
そのあと5/14(日)札幌の道特会館、6/10(土)大阪市の田村駒ビル、6/11(日)名古屋市の日総研ビル、7/2(日)福岡市の福岡センタービル、8/6(日)岡山市の福武ジョリービルと続いていくので、お近くの方は是非会場までお越しいただきたい。
受講料は少々高いが、内容はそれに見合った実践論になっていると思うので、是非ご期待いただきたい。
それに先駆けてというわけではないが、明日24日(金)14:00〜16:00、群馬県社会福祉総合センター(群馬県前橋市新前橋)で行われる「群馬県老人福祉施設協議会、生活相談員研究部会」でも、「生きるを支える看取り介護から考える多職種連携」というテーマでお話ししてくる。同会での講演は6年ぶり2度目である。
群馬県の相談員の皆さん、明日はよろしくお願いします。
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