2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、厚生労働省は1日、医療施設の「敷地内禁煙」などを盛り込んだ受動喫煙防止のための強化策の原案をまとめた。

それによると老人福祉施設は「屋内禁煙」とし、建物内の喫煙室の設置も認められないが、一人部屋(個室)については、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)といった施設の種類を問わず、規制の対象外とされている。

この問題は、『国民だけに痛みを求める政治は貧しい』でも取り上げたが、職員は仕事中に全面禁煙としても良いだろうが、利用者については喫煙者の権利も認め「分煙」として、喫煙場所を別に設けることでよいのではないか。受動喫煙の問題もそれで解決する。

しかし、建物内の喫煙室の設置も認めないとされた今回の決定で、多床室しかない特養等は、建物内で喫煙できないことになる。個室・ユニット型の特養なら、全室で喫煙可能なのに、従来型施設であれば、個室利用の方しか喫煙できないということになる。それとも多床室を利用している人は、喫煙するときだけ他の誰かが利用している個室で喫煙させてもらうというのだろうか。

この原案がそのままルールになると、現在喫煙コーナーを設けている個室のある介護施設は、その場所での喫煙も禁止され、個室で喫煙してもらうことになるんだろうか。きちんと分煙され、安全に喫煙が行われている施設では、今後、個室内での喫煙となることによって、火の取り扱いなどの見守り対応などの職員の手間は、喫煙室がなくなる分、今以上にかかることになる。それも何かおかしな話のような気がしてしょうがない。

そのことを考えると、「建物内の喫煙室の設置も認められない」という原則は、少なくとも居住系施設にはそぐわない原則ではないのだろうか。

喫煙される習慣のある方にとっては納得できないのではないか。

これが公民館などの一時的な利用施設なら、その方針も理解できるが、暮らしの場である高齢者施設の場合、利用者の喫煙機会を実質的に奪いかねないが、喫煙という行為は、そういう風に奪われても良い行為なのだろうか。非喫煙者である僕が考えても、それは行き過ぎた考え方のような気がする。どうして建物内の喫煙室の設置も認められないのだろう。分煙で十分じゃないか・・・。

何度の言うが、僕は非喫煙者だ。だから自分のことを考えて禁煙より分煙と主張しているわけではない。また喫煙者の4割、非喫煙者の9割以上が、受動喫煙に不快感を抱いていることも知っているし、僕自身も他人の吐き出す煙草の煙で、衣類に煙草臭がついたり、食べ物の味が分からなくなったりするのとは迷惑に感じることもある。

だからといって、それらの問題も分煙を徹底すれば解決する問題だ問い思え、高齢者の住まいにまで禁煙ルールを押し付けるのはどうかと思う。

そもそも特養で煙草を吸っている人は、その習慣を何十年も続けている人だ。それらに人たちが、国が新しいルールを定めたからといって、自分の居住スペースでは禁煙を強いられることに納得するだろうか。

納得しないといっても、今後は各施設の鬼のような厳しい管理者や相談員から、煙草を取り上げられるのかもしれない。少しかわいそうに思う。

というのも僕には、亡くなった父と母の喫煙に関する思い出があるからだ。

父は急死する数年前の数ケ月、医療機関に入院していた期間があった。当然入院中は喫煙禁止であり、入院患者であるから喫煙コーナーを利用することもできない。しかし当時、父の唯一の楽しみは、一服の煙草を吸うということだったので、付き添っていた母は、散歩と称して外に連れ出し、内緒で煙草を吸わせていた。

そのときの父は、本当においしそうに煙草を吸っていたそうである。その父も母も、すでにこの世に居ないが、そのことは僕の思い出として記憶されており、ほほえましく思える記憶になっている。

もしかしたら、そんなふうまでして父に煙草を吸わせなければ、父の寿命は数年延びた可能性があるのかもしれない。しかしそんなことにどんな意味があるのだろう。父はそのとき、母親に煙草を吸わせてもらったことを間違いなく感謝し、喜んでいることだろうと思う。それは父の人生にとって、意味深いことであったとさえ言ってよいと思う。

そんなことを考えると、今回国が一律の基準で、多床室の居住系施設利用者の、喫煙機会を奪うような施策は、あまりに乱暴すぎると思うのである。

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