医療機関の職員の言葉に違和感を覚えた人からのメール、から続く)
カンフォータブル・ケアとは、北海道札幌市の北仁会・旭山病院の看護師長である南敦司氏が命名し、同病院で実践されているケアだそうである。

それは認知症の人に、心地良い快刺激を与えるケアとされており、認知症の人の行動・心理症状(BPSD)を鎮静化するとともに、看護者・介護者にとっても、ストレスフルな感情の払拭や、患者への陽性感情をもたらし、技術を高めるプロ意識の発生とモチベーション向上により、燃え尽き防止にもつながっていくとされている実践法である。

僕はその方法論を専門的に学んだことはないので、正確にその方法論をここで示すことはできないが、カンフォータブル・ケアを実践している看護師さんなどを見ると、認知症の人に対して、笑顔で視線を合わせて接していることが分かる。笑顔は人に伝染するということの実践ではないだろうか。そのことは日ごろ僕が示している考え方とも共通する。(参照:笑顔はプロの心得なり

そして認知症の人に話しかける言葉も、敬語であることが分かる。

認知症の人は、毎日親しく接する看護職員・介護職員であっても、毎日その人の顔を忘れてしまう。そのためいきなりタメ口で話しかけられたら、恐怖か不快しか感じないのである。カンフォータブル・ケアの基本は、快刺激を与えることなのだから、言葉がそのことに重要な役割を果たしているという意味は、いかに敬語・丁寧語以外が認知症の人にとっての不快要因であるかの証明であり、そのことは僕の提唱する、「介護サービスの割れ窓理論」とまったく同じ考え方であるといってよいものだと思う。

さらにカンフォータブル・ケアの実践者を見ていると、適切なスキンシップを大事にしていることも分かる。そして快刺激を与える=その人にとって不快な話題はできるだけ避ける、ということにも注意が向けられている。

認知症のケアの方法論として、バリデーションとか、パーソンセンタードケアという考え方があって、利用者を中心に、利用者本位で考えることが、認知症の人の気持ちを理解するために求められることであることは広く知られているが、同時に関わる看護・介護職員等の表情を含めた接した方を、快刺激・不快要因として重視する方法は、対人援助のプロの自覚を促すという意味でも、とても優れた方法に思える。

このように医療と看護の現場が、薬剤に頼る治療ではなく、看護者としての自分たちの対応の仕方により、認知症の症状を改善する取り組みがされ、その中で看護のプロとしての対応方法として、正しい言葉遣いがされるようになってきているわけである。

本来この方法論は、介護の現場でこそ先進的に行われるべきではないのだろうか。いや、それはどっちだって良いが、すべての看護者・介護者が、親しみやすさと勘違いして使う、馴れ馴れしい無礼な言葉が、言葉をかけられる人にとっては不快要因であることを自覚して、新しい言葉のスタンダードを作っていくという意識に目覚めてほしい。

そしてせっかく看護の専門家が、そのようなケアを実践している場においても、それを見習って同じ言葉遣いをしようとしない介護職員が居ることを恥じてほしい。

今現在、教育課程でも、資格取得過程でも、看護のそれは介護より高いレベルにあるというのが常識だ。そのような中で、誰でも実践可能な言葉の改革さえも遅れをとるようなら、介護職員の大幅な待遇改善など期待できない。介護を悔悟にしないためにも、看護の場に負けない適切な言葉遣いを7、介護サービスの場からの発信としていく必要があるのではないだろうか。

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