SNSなど、インターネットを利用した情報媒体の拡散力・影響力はすごいものだと思うが、だからといってそれだけに頼っても、情報の広がりには限界があるのかもしれない。
むしろアナログの情報媒体しか見ない人もいるので、アナログをまったく無視してしまっては、それらの人にはいつまでたっても伝えられないこともある。インターネットを使いこなしていても、SNSは好まないという人もいる。そういう意味ではデジタル、アナログの別もなく、様々な情報媒体を利用することで、情報伝達の広がりを持たせることができるといえるのだろう。
不特定多数の多くの人々に、伝えたいものがある人にとっては、そのことは大事な考え方であると思う。特に介護というすべての人にとって無縁でないものについて、それをよりよいものにしようとするための情報伝達は、あらゆる媒体を酷使して伝えたいものだと思う。
というのも、先週金曜日のブログ記事で紹介した、「みやざき中央新聞」に載った僕の講演内容が、思わぬところで拡散しているからだ。その新聞を読んだある人から、次のようなメールが届いた。氏名を伏せて紹介させていただく。
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こんにちは、初めまして。群馬県で高校の教員をしている○○○○○と申します。
「みやざき中央新聞」の記事を読みました。自分の中にあった理解できない思いが理解できました。
以前、父が入院していた時に、看護師さんの言葉がタメ口で何となく気になってました。でも、看護師さんも一生懸命な人ばかりで、そして、病院ではタメ口が普通で当たり前なんだ・・・と思ってました。でも、違和感というか、何となく父が子ども扱いされてるようでモヤモヤするものがありました。
この「みやざき中央新聞」の菊地さんの記事で、モヤモヤの原因がわかりました。やっぱり、丁寧な言葉が必要ですよね。とても、スッキリしました。ありがとうございました。
自分は女子校に務めており、看護(介護)希望も多い学校です。生徒にこの記事を読ませて、生徒が「言葉」について考える機会になればいいなと思ってます。
突然のメールすいませんでした。次号の「みやざき中央新聞」を楽しみにしてます。ぜひ、これを機会に今後もよろしくお願いできたらと思ってます。
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医療機関の看護師の言葉に違和感を覚える患者さんや家族は、決して少なくないのである。しかしそれらの人々も、そうした言葉を使う人に、直接その違和感を訴えることはない。そんなものかとあきらめてしまうか、不快な思いを胸の奥にしまいこんで黙ってしまうのだ。
それに甘えて、いつまでも顧客である患者さんや利用者さんに「タメ口」で話しかけることを恥ずかしく思わなくて良いのだろうか。その姿は対人援助のプロとしてはみっともないことこの上ない。
介護サービスの従業者も同様だ。医療現場の看護師を始めとした様々な関係者が、自らの口から発する言葉に鈍感なままだからといって、介護サービスの場も、その物まねのような汚らしい言葉遣いのままでよいわけがないと自覚すべきである。
無礼な馴れ馴れしい言葉遣いが、いかに利用者の尊厳を奪うかということを自覚し、お客様である利用者に適切に対応し、その心と暮らしを護るために僕が提唱しているのが、「介護サービスの割れ窓理論」である。
この理論を提唱して20年以上経つが、なかなか介護サービスの場に浸透しないのが現状だ。勿論一部の人々には受け入れられて、実践されているものの、すべての介護サービス従事者が、「タメ口」という醜い言葉遣いを捨て去らない現状は続いている。そのことは本当に残念に思うとともに、利用者やその家族の立場に立って考えたときには、本当に哀しくなる。果たして介護は、哀しみをつれてくるものなのか・・・。そんな疑問さえ持つ。
介護サービスの場で、利用者を傷つけたり、不快感を与える危険性を排除できない言葉遣いが続けられているうちに、その原因であるとして僕たちが批判してきた、看護の現場の言葉遣いには変化の兆候が見られる。それは一部の看護現場に過ぎないといえども、言葉遣いを見直そうという機運がみられる。
反面教師としてその言葉遣いや、態度を見るべきだとしていた看護サービスの場で、明らかに以前と違う考え方が生まれている。
それが認知症の人の看護に携わる医師や看護師によって実践されているカンフォータブル・ケアである。
ではカンフォータブル・ケアとは何か?今日は時間がなくなり、字数も長くなったので、明日の記事でそのことを書こうと思う。(明日に続く)

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