どこぞの芸能人が、特定宗教がらみで出家引退という報道が駆け巡った先週末。

芸能ニュースにさして興味のない僕は、どうでもよいことだとしか思わないし、本人が辞めたいって言ってるんだから勝手に消えてくれと思うだけであるが、同時にその芸能人の心に悩みがあって、その心の隙に何らかの支配が入り込んだという、洗脳の結果だとしたら恐ろしいことだなと思う。

そのことが頭の隅をかすめたときに、それと似たようなことが介護の現場で行われ、もっと恐ろしい悲劇につながっているという事実を改めて思い出し、そのことを非常に残念に思う。

例えばこのブログ記事で何度か指摘している竹内理論に基づく個別アセスメントのない強制水分補給も、僕に言わせれば洗脳介護そのものでしかなく、その批判記事に対してコメントがたくさん寄せられ、そこで指摘されているように、利用者の直接的被害になってしまうんだから、その影響は一芸能人が、テレビ等の表舞台から消えてしまうこととの比ではなく、よほど重大な問題だ。社会と国民は、この問題にいつまで無関心でいるのだろうか。いつ自分の家族が、この悲惨な介護の被害者にならないとも限らないのに・・・。

しかしこの問題に大きな変化がみられていることは、多くの関係者の方は気が付いているだろう。

まずこの介護を推進していた全国老施協は、今年度から介護力向上講習を主催しなくなった。現在この講習を主催しているのは、都道府県レベルの老施協のうち、全国老施協がなぜこの講習からそっと手を引いたかという本当の理由に気が付かない、間抜けな会長をトップに抱く県レベルの老施協である。

しかしそのような県レベルの老施協も、昨年12/5付で全国老施協が塩崎厚労大臣あてに提出した意見書の存在と、その内容を知らないわけはないはずだ。

その中で全国老施協は、『特養で利用者の意に反して栄養を投与し、リハビリを重ね、歩行器で歩かせることを強いるような「QOLの向上を伴わないADL回復の目的化」が促進されるリスクが強く危惧される。』、『事実上要介護度改善の義務化を課すことは、もはや虐待と言っても過言ではない。 』と指摘している。

ここで批判対象となっている内容は、まさに介護力向上講習で教えてきた方法論であり、現在も竹内理論実践施設で行われている実践内容である。事実上、全国老施協が科学的介護と喧伝していた竹内理論を、一転して全否定した提言と考えてよいわけである。

この意見書を読んでなお、その方法を続けようとする特養の施設長は、何を考えているのだろう。今まで職員の尻を叩いて間違った人権蹂躙を続けていたことを、その方法をやめることによって明らかとなることを恐れてやめられないとしたら、それはもう施設長の資質の問題ではなく、人間失格である。対人援助の場にいてはいけない人物であると言われても仕方がないだろう。

たしかに脱水は心身機能レベルを下げる重大危険因子であり、介護施設ではその対策意識が低かったという問題があることは否定しない。しかしその解決方法が竹内理論という、高齢者の意思や尊厳を無視した方法であって良いわけがない。この理論に一定の理解を示す関係者も存在するが、利用者の意思と個別アセスメントを否定した実践は許されないことは明白で、そこでは利用者の人間性さえ否定しているという批判は免れない。

利用者の苦しそうな表情や、いやだという感情表現がある場所で、そのことを理解できない実践者は、もう理屈が通じない状態としか言えず、まさに洗脳状態である。

あの理論の実践施設が、今すべきことは、過去の過ちはともかくにして、あの間違った理論による実践で苦しむ人をこれ以上出さないことである。即刻あの方法論を取りやめることだ。

この理論の実践施設のトップは、福祉の原点に立ち返って、利用者の苦しむ表情や悲しい叫びを無視せず、声なき声を聴き、人が幸福になっているのかという視点を取り戻すことだ。

僕の批判記事に賛同するコメントを寄せる方の中には、この理論の実践施設では働いている看護・介護職員、管理栄養士の方も大勢いる。それらの人は、この実践法に勇気をもって異を唱えてほしい。その結果、職を失っても、そういう方を求めて好条件で雇用してくれる施設はたくさんあるはずだから、ちっとも洗脳管理者を恐れる必要はないはずである。

介護施設における人権問題が、今後さらに大きな問題になるにつれて、この方法論が問題視されないわけがないということに、早く施設管理者が気が付かないと、大変な事態が待ち受けているぞ。

泣きながら水を飲まされている人の涙の先に、社会の糾弾という矢があることに気が付いたときは、もはや遅きに失するだけでは済まないことに早く気が付くべきである。

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