広島県下最大規模の老人介護施設のネットワーク拠点を有する医療法人が、広島市と府中町内で運営する7ヵ所のグループホーム(以下GHと表記)等において、違法医療行為を繰り返していたというニュースが昨日流れた。
それによると、同法人の7ヵ所のGHでは、利用者34人に対し、点滴の針を抜くなどの医療行為を介護職員が日常的に繰り返していたほか、介護付き有料老人ホームでは認定特定行為業務従事者の登録を受けていない介護職員(喀痰吸引等研修を受けていない介護職員)が9人の利用者の喀痰吸引を行い、広島市と府中町内のグループホーム2ヵ所でも同様に、認定特定行為業務従事者の登録を受けていない介護職員が、利用者3人に栄養と水分をチューブで体内に注入していたことを確認したという。
このことについて運営指導されたことを受けた同法人の理事長のコメントが、次のように報道されている。
「たまたま重大事案には至らなかったが、無資格者による抜針は不測の事態を招く恐れもあっただけに、利用者と職員にも誠に申し訳ない。職員への法令の周知不足などが原因で、研修などを通じて今後は再発防止を徹底していきたい。」
トップの会見でよくありがちな、責任逃れとしか思えないコメントである。少なくともこのコメントには、法人トップとして自分に責任があるという反省の気持ちはうかがえない。
自分が全く知らないところで、職員がそれらの行為を違法性があるとは知らずに実施していたとでも言いたいのだろうか。そのために今後、できることとできないことを周知徹底して是正すればよいというニュアンスがにじみ出てくるコメントであるが、そんなごまかしは通用しない。
医療行為については、医療法等にその具体例が示されているわけではなく、グレーゾーンの存在する問題であるが、本件で指導された、「点滴の針を抜く」という行為を、医療行為ではないと考えている介護職員は存在しない。それは、まっくろけっけの行為であり、それを知らずに、介護職員が行っても良いと考えて点滴の針を抜いている職員はいないはずだ。
喀痰吸引や経管栄養については、介護職員が特定医療行為として実施できるようになったのは、つい最近のことであり、その条件などをめぐる議論が大きな話題になったのもつい最近で、これらの行為を介護の資格だけでできるわけではないというのは常識であり、法令の周知以前の問題なのは明らかだ。
そういう意味で、本件の当事者となった介護職員が、その違法性を認識しておらずに、誤って行ってしまったとか、法令の周知不足のために、違法とは気がつかずに行ってしまったということではないことは明白だ。それらの職員は、違法性を知りながらこうした行為を繰り返していたものであるはずで、それはきわめて悪質な行為であるといわざるを得ない。
しかしそのような悪質な行為を、こんなに多くの介護職員が、個人の判断で行っていたのだろうか。常識的に考えて、それはありえない。状況から考えれば、これらの行為を組織的に行うことの指示・命令があったと考えるのが普通である。
それを誰が指示したのか?それを明らかにしないと本件は解決したことにならない。
なぜならこうした違法行為を行い、それを隠すような体質の事業者には、しばしばその中で職員の感覚麻痺が拡大し、明らかになった違法行為以外に、利用者の権利侵害や虐待が横行するケースが過去にみられるからだ。
例えば、2010/10/3に介護職員が胃瘻の濃厚流動食を注入していたとして改善命令を受けた香川県さぬき市の特養では、改善報告を行った以後も介護職員による注入を続けていただけではなく、「介護の手間を省くため」という理由で、認知症の利用者に食事や薬を与えなかったり、利用者の足を縛って動けないようにしたなど、少なくとも5人の職員が入所者9人に対する虐待が常態化していたことが明らかになったケースがある。
違法状態もばれなければ良い、ばれてもトップを始めとした誰も責任を取らない、という感覚で運営している事業者には、何らかのほころびが生じているのが常である。そしてそのほころびで被害を受けるのは、いつも利用者である。
今回報道された法人の問題も、違法行為の放置にとどまっているのかどうかという確認が急がれる。そこで被害を受けている利用者が居ないとは限らないからだ。
そもそも第3者のような責任感のないコメントをしている理事長が、本件に全く関与していないというのかどうなのか・・・。関与していないとしてもその責任は重たいはずであり、一遍の謝罪コメントだけで逃れられるものではないはずだと思うのだが・・・。
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で、嫌味な事を言わせていただくと多分看護や医療側も自分たちが楽できるから黙認していた可能性も。
当法人で昨年、介護から異変提起が多数上がっていたにもかかわらず医療に繋がなかった為に利用者の健康状態が悪化急変、搬送先死亡という事態が。
法人自体は、家族様側と弁護士も交えて誠意を持って対応し、決着は見たのですが。
医療に適切に繋ぐ任を持つ看護師、SWがその任を怠りかつ責任が無いと主張したためあえて司法に委ねました。
法人を運営していく以上、法令の把握理解周知は法人管理部署の任であり義務です。
同様に、医師、看護師、SW並びに介護士はその資格と責務並びに報酬を確保するための根拠となる各法によって律されてます。
今回の事例でも、正直法人管理部署の怠慢が最も問われるのが当然ですが同時に看護師全体が「私だけ楽したい。私らの奴隷がいるよね」的な思い上がりがなかったか?
人員をあえて入れ替えたなかで、こちらがお願いして残ってもらった看護師らは状態異変を確認すると半ば怒りに近い状態でSWに受診を迫っていた職務に真面目に取り組んでいた方たちです。
正直、人員不足だからといって怠慢看護、怠慢介護を容認してしまうとますます自分の首を絞めてしまいます
怖いのは技術だけあれば良いという風潮を作り出してないか?
看護にしかできない事介護にしかできない事にプライドを持って仕事しない人物が資格を取っていないか?
その資格は、時と場合によっては刑事罰があるものだという自覚をもう少し持って欲しいと。
その上で待遇や給与について物申してほしい。
傲慢かもしれませんが、本音です。