認知機能が衰えた高齢ドライバーによる事故に関連して、このブログでは何度かそうした悲劇を防ぐことができないかという方向から、様々な記事を書いてきた。

理想を言えば、こうした悲劇を防ぐためには、認知機能が衰えてから運転をやめようとするのではなく、一定年齢に達したら、運転という行為から勇退するという考え方が必要だ。

つまり免許定年制の導入である。

とはいっても運転しなければならない理由を無視して、運転にも定年が必要と唱えたところで、誰もそのことに理解を示してはくれないだろう。

たとえ理解してくれる人がいたとしても、「そうは言ってもなあ・・・。」という呟きが聴こえてきそうである。運転しなければならない様々な理由を思い浮かべて、免許定年制に賛同しきれない気持ちを多くの人が抱くであろう。

そもそも自分に置き換えて考えたらどうだろうか。

自分が一定の年齢に達したときに、いざ免許を返納して運転をやめるという決断ができるだろうか。車がないことで日常生活に支障はきたさないだろうか。

お金が余るほどあれば、日常の買い物にもタクシーを使って不便はないだろうが、そんな優雅な生活ができるわけもない。都会に住んでいれば、車がなくても不便はないのかもしれない。しかし今住んでいる地域で、自分の暮らしを考えたら、車の運転をしなくて良い生活はなかなか想像できない。

日用品の買い物以外にも、通院や家族との連絡、社会交流など様々な機会に車は必要なのだろうが、個人のすべての問題の解決ということは難しいかもしれない。人口減少社会では、その解決は大規模な住み替えによる、コンパクトシティー化という地方都市再編政策が不可欠で、現実的にそのようなことが難しい状況では、よりましな方向性を考えなければならない。

すくなくとも日常必需品の購入に車が必要であるということになれば、なかなか免許を返納するという決断には結び付かない。そうであればそのことを車なしで、どのように解決するのかという検討から始めることは、この問題解決の有用な第一歩になるかもしれない。

全国どこに住んでいても、車がなくとも日常必需品の確保に支障がないということになれば、免許を返納する動機付けは高まるのではないだろうか。

高齢者向けの宅配販売事業者が求められるといっても、ある程度の顧客数がないと、地域出店できる個人事業者には限りがあるから、実際にはそうしたサービスがこの問題の解決策になっていないという現実がある。では他にどのような方法があるだろうか。

それはやはりインターネットを使った商品取り寄せシステムを利用することだろう。

高齢者が家に居ながら、デパートやスーパーに出かけて買い物している気分になるサイト運営を行うことは、そう困難なことではないように思う。

例えば僕の例を挙げると、ネット通販等でどのような商品を取り寄せているかといえば、仕事着であるスーツやワイシャツ等は、ネットで取り寄せることが多い。近くに紳士服専門店がないわけではないが、気に入ったスタイルや色を突き詰めていくと、種類が豊富なネットショップがいつの間にか、お気に入りの商店になっている。そして自分のサイズさえ把握していれば、裾上げやウエスト詰めもしてくれるので、商品が送られてきたらすぐ着用できる。

眼鏡もしかり、近くの眼鏡店に置いていないおしゃれなメガネフレームが、国内外のネットショップにあふれている。輸入購入も普通のことだ。その場合フレームだけ購入して、地元の眼鏡店で度入りレンズを入れてもらう必要もなく、自分の度数を告げればレンズも入れて販売してくれるショップもあって、何の不便もない。

おせち料理等の食料品も、ネットショップで購入する機会が多くなった。そのことに何の違和感もない。日常的な食料品の取り寄せも、年々その幅が広がっている。道外講演で訪れた場所で食べたものがおいしかったとして、それと同じものが地元で変えない場合に、訪問したお店のサイトから取り寄せるということは、もう普通である。

そして高齢者だからといって、ネットショップの利用が難しいのではないかと考える必要もないことは明らかだ。

これから高齢期を向かえる人は、パソコンやスマートフォンやタブレットを、普通に使いこなしている人が多いのだから、ネット通販の利用にも慣れている人が多い。それらの人は現在、地元では変えない商品をインターネットを使って取り寄せている場合が多いだろう。

その延長として、日用品の購入もネットを利用するのがスタンダードになっても不思議ではないし、今後の高齢者の生活実態に即した、車を使わなくても日用品を購入できることを目的としたサイト作りは、結果的に収益を期待できるベンチャーにもなりうるのではないだろうか。

その運営は、ネット専門業者によるものではなく、介護事業者の保険外事業として考えられても良いし、それは将来的には、混合介護の一翼を担う可能性だってある。

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