昨日の記事で論評した、介護職処遇改善加算の新区分新設のほかの期中改正としては、地域密着型通所介護の指定制限ルール導入が予定されている。
制限の方法としては、市町村が地域密着型通所介護を制限できるようにするために、29年中に地域密着型通所介護の指定に際しては、公募制を導入できるように法改正する案が有力となっている。導入時期も4月説が有力である。
これは定員18名以下の通所介護が「地域密着型通所介護」になったことで、市町村協議制の対象から外れたことから求められるようになった制限ルールである。
定員18名以下の小規模通所介護が、地域密着型サービスになったからといって公募制の対象サービスにもならないことから(公募制にできるのは、定期巡回・随時対応型訪問看護介護と、小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護のみである)、総量規制の対象にもなっていないため、現行ルールのままでは市町村が、地域密着型通所介護の許認可の規制が出来なくなっているのである。
そのために、市町村財政の圧迫を防ぐためにも新たな制限ルールが求められたわけである。
なおその実施時期や、公募制にするかどうかについてなど具体策については未確定部分があり、今後の変更もあり得るので注意が必要だ。
どちらにしても制限ルールが新たに設けられることは確定しているので、定員18名以下の通所介護については、新規事業所の立ち上げはしにくくなる。また小規模通所介護のフランチャイズ展開によって収益を挙げようとしている事業者は、その経営戦略の練り直しが必要にはなるだろう。
しかし既存事業者には実質的影響はなく、むしろ新規事業者の指定に規制がかかることによって、競合事業者が増えにくくなり、顧客確保面では既存事業者にメリットとなり、安定した経営につながる場合もあるだろう。
ただし来年4月からの報酬改定では、通所介護への厳しい査定が予想される。
前回基本サービス費が大きく引き上げられたが、先日国が発表した27年度決算時における収支差率では、通所介護の収支差率は前年に比べ1.4%の低下があるとはいえ、居宅サービスでは一番高い収益率を示す収支差率6.3%という数字が示されている。
このため通所介護のレスパイトケア部分の報酬がさらにカットされる可能性が高く、基本サービス費の引き下げは必至なので、定員いっぱいの顧客を確保するための事業戦略の見直しや、人員配置を鑑みながら一番費用対効果の高い営業日数の見直し、加算を拾いもらさない体制の構築は最低限必要だろう。一般型の地域密着型通所介護の場合は、認知症対応型への転換も視野に入れて戦略を練り直す必要があるだろう。
期中改正といえるかどうかは微妙であるが、僕がかねてから財の再分配効果もあるとして変更を求めていた、2号費保険料の算定方式の変更29年途中から実施される予定である。(参照:2号保険料の算定方式変更は、財の再分配効果に繋がる)
総人数割りから総報酬割への変更スケジュールは以下の図の通りである。

現在の2号保険料負担額は、それぞれの健保組合に所属する加入者(被保険者+被扶養者)の数によって決まっている。よって加入者数だけで組合が負担する介護保険料を決めるこのやり方では、収入が低い人が多く所属し、財政力が弱い組合は、苦しい運営を強いられることとなる。このため財政力の低い健保に対し国庫補助金が支出されている。
これを総報酬割りに変更すれば、組合の総報酬額の多寡に合わせて負担の額を変動させる総報酬割であれば、収入の多い人が多数所属する健保組合の負担額は増えるが、財政力が弱い組合は、それに見合った負担をすればよく、公費負担で援助する必要はなくなる。いうなれば財源を、国費から収入の多い国民に付け替えるというわけだ。
つまり総報酬割の1番のメリットは、国庫補助分の公費支出が必要なくなることで、例えば第2号保険料をすべて総報酬割とすれば、1000億円を超える国費が捻出できる計算になる。
財政力が弱い組合には、僕の施設が加入している組合健保も含まれるわけであるが、この変更により僕たちの保険料が下がるわけではない。前述したように、財政力が弱い組合には。被保険者の負担が過重にならないように国費が投入されているのである。
総報酬割になることで、この部分を収入の多い人が所属する組合の被保険者が負担することになるわけで、僕たちの保険料負担額は変わらないということになる。
リンクを貼った記事で述べているように、社会保障費とは、社会の財の再分配という意味があることを鑑みると、この改正は必要不可欠なものであるといえよう。
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