僕たちは、すべての事柄に正しい答えを出せる万能の神ではない。所詮、人の子であるのだから、完璧を求められても困る。

職業においても同様である。頑張って間違いのない仕事ぶりに努めたとしても、常に完璧な仕事はできない。結果を出せないこともあるし、失敗することもある。

対人援助においては、失敗は即、利用者の生活障がいにつながる恐れがあるため、失敗を前提にした支援は想定していないし、失敗が許されるとも思っていない。しかし時として失敗するのが人の宿命(さだめ)でもある。

だからといって人間だから失敗して当たり前であると、開き直っているわけではない。失敗するのだから、結果はそこそこで良いと妥協するわけでもない。できる限り失敗しない努力はすべきだし、失敗することがあっても、その失敗を最小限にとどめ、同じ失敗を繰り返さないことは重要だ。

しかし失敗する人間という存在を意識して、あるこだわりを持つ必要があると思っている。それは慣れた仕事にも慎重さを失わず、対人援助場面では謙虚さを失わず、常に自分の仕事ぶりに疑問を投げかけながら日々の業務に努めるということだ。

対人援助の場面では、人に対する関心を失わず、そこにいる人の喜怒哀楽に鈍感にならないということも心得ておかねばならないと思う。

失敗する人間であるからこそ、人の感情・喜怒哀楽には敏感でありたい。今年もその気持ちを忘れずに、すべての利用者の方々に相対することができたろうか。今年の仕事納めの今日、そんなことを考えている。

対人援助の結果とは、僕たちが勝手に決めた目標が達せられているかどうかという単純な判断ではなく、それに対して利用者はどう思っているか、どのように感じているかが重要である。

時としてその気持ちは、言葉では表現されず、表情でしか表現されないこともある。表情にさえ表してくれない人たちがいる。しかしそこにも隠された感情は存在しているはずだ。

だからこそ、利用者の喜怒哀楽に敏感であり、自分の失敗に気がつかないことがないようにしたい。

そのように努めることが、失敗を繰り返してきた僕としての、せめてもの償いである。

僕は決して優しい人間ではないし、自分以外の第3者に対して、媚を売ったりへつらったりすることが嫌いなので、時として自分以外の第3者に対して辛らつな態度を取ったり、無礼であったりすることを否定しない。その言動は、誰かにとっては傲慢に感じられるだろう。それは別にかまわない。

しかし対人援助のプロとして利用者に接している以上、利用者に対しては、決して傲慢にならず、真摯に向かい合う気持ちを忘れないでいたい。

様々な境遇に置かれた人々に思いを寄せるときに、単に同情するのではなく、その人がその中で抱く負の感情も含めて理解するように努めたい。喜びも悲しみも、希望も絶望も、すべての感情を理解することができれば、その思いに寄り添うことだけはできるだろう。その先にどのような結果があるのか、何が変わるのかは分からない。それは人によって異なるからだ。

しかし僕たちが、利用者に対し真摯に向き合い、その感情を理解し、思いに寄り添おうとする限り、関係は途切れることはないし、できることを続けられるだろう。だから目の前の人々に関心を持ち続けるし、小さな感情変化に関心を持ち続ける。それが僕のやり方だ。

つまらないこだわりといわれても良いが、その一線は護っていきたい。

それにしても今年もたくさんの失敗をしてきた。特に今年は職場を変えたということもあって、新しい職場に慣れずに、仕事も覚えていない期間は、ずいぶん周囲の人に迷惑をかけたと思う。仕事になれないうちは、十分な仕事ができていないことにも気がつかないのだから、閉口した人も多いのだろう。

僕自身は、周囲の人々の困惑に関係なく、新しい環境と新しい仕事内容を楽しんで過ごすことができた。そんな僕に文句ひとつ言うわけでもなく、温かく支えてくれた周囲の人々に感謝の思いを持っている。

幸いにも取り返しのつかない大失敗がなかったことがせめてものことだ。

来年は、失敗して迷惑を掛けた方に、少しでも報いることができるように自分を磨こう。年はとったとはいえ、まだまだグレードアップは可能だろう。そこを目指して頑張りたい。
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