先週水曜日のブログ、「信じがたいニュースに触れて」で書いた記事の続報を書く。
僕が昨年度まで勤めていた施設の対応で、「放置虐待」が疑われているということについては、行政査察が行われたのは事実であるそうだ。しかしその後行政処分が行われたとか、監査が行われたということではないようなので、放置虐待という事実はなかったのではないだろうか。
しかしこれだけ大きなニュースになっているということは、何らかの問題がそこに生じていたのであろう。
聴くところによれば、件(くだん)の事案とは、次のような状況であったそうである。
日曜日に遠方から母親の面会に訪れた家族に対し、面会前に看護師から、利用者が発熱し高熱となってる 旨の説明があったが、それに対し家族が詳しい説明を求めても誠意のない返事しかなかった。医者の定期診察は、休み明けの数日後で、家族の意向で病院へ行くことはできるという説明に、家族は無責任さを感じた模様。
実際に面会してみると、母親は激やせして意識もうろうとして話もできない様子で、家族が強く要請し、救急搬送の手配をして病院搬送。(施設の協力病院ではない総合病院)。病院ではこのまま数日放置されておれば危険な状態だったと説明を受けた家族が、施設あてに説明を求める文書を送った。それに対して施設側は、職員の聞き取りを行い、記録類を確認したが、放置等という状況ではなかったと回答。しかしなぜ放置ではないといえるのか、病状がこれだけ悪化した理由は何かという説明はなく、医療機関へ入院対応しなかったことに対する説明もなかったというのが家族の主張である。そしてこのような回答は事務的な対応でしかなく誠意がないとしか家族には感じられず、この回答に憤りを感じ、放置虐待であると監督行政機関等に訴えた。
以上である。これは伝聞なので、「真実」とは言えないことをお断りしておく。しかしこれほどの病状悪化・高熱という状態が数日前から続いていたのに、なぜ家族に連絡していなかったのかが疑問である。それに受診していないことの理由もよくわからない。僕の在職時なら考えられないことである。
また家族が看護職員の説明を誠意がないと感じたのには、施設側の問題がなかったのかという疑問も生ずる。母親が急激に病状悪化していることを聞いて、家族がショックを受けるのは当たり前なのだから、この辺りはデリケートな対応が求められるのは当然で、どのような応接があったのかを検証する必要はあるだろう。(施設内ではすでにされていると思うが・・・。)
家族の問い合わせに対して、文書回答しているようだが、この回答文書は公開する必要がある。実際に放置虐待という状態がなかったとしても、これだけ世間を騒がせ、利用者や家族に不安を与えているのだから文書を公開し、適切に対応していることを証明するのが社会福祉法人としての社会的責任である。
そういう意味で、この文書がなぜ放置と言えないのか、病状の回復に向けた具体的対応がされているのかをきちんと説明する文書になっていることを願いたい。
仮にその文書が問い合わせについては検証したけど、施設の対応に問題はなかったという結論だけで終わっているとしたら、誠意のない回答であるとの批判は受けざるを得ないだろう。この場合、逆に家族がこの文章を公開して批判するという事態も考えられるわけであり、そうならないことを祈りたい。
どちらにしても施設の管理者が文書回答しているのだから、これは公にして、少しでも誤解を解く努力をすべきである。
月間クオリティという雑誌が、理事長のインタビュー記事を掲載しているが、そこでは「施設からは報告を受けて、問題は解決していると聞いている」という趣旨の発言が載せられている。まるで当事者ではないかのような発言には唖然とさせられる。理事長という立場のみならず、施設所属医師を派遣している医療機関のトップでもあるのだから、利用者の健康管理面では当事者であるはずだ。傍観者のような発言は無責任のそしりを免れない。
「愛」の対極に位置するものは、「憎悪」ではなく、「無関心」であるという考え方がある。一連の報道や、僕の得た情報からは、利用者に対する関心が薄れているのではないかという疑念がぬぐえない。
そうでないことを祈るばかりである。
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