12月に入り、今週末あたりからは忘年会という言葉が飛び交うことだろう。

この時期は研修会も少なくなる時期であり、僕が講師を務める機会も減る時期でもある。過去の例では、クリスマスイブの夜に、研修講師として招かれたことがあるが、これは異例中の異例であろう。そのときは、「今日、今の時間に、研修会をやっているのは日本広しと言えどもここだけだと思います。」と第一声を発した思い出がある。

昨年も年内の最終講演は12月第一週の土曜日であったが、今年は来週の日本福祉大学・名古屋キャンパス北館8階での看取り介護セミナーが、今年の最終講演となる。

この講演は午前〜午後にかけて4時間という長時間、座学のみで看取り介護について語るセミナーであるが、当初の定員80名に対して、申込者はすでにその数を超えてしまったために、主催者のご配慮で急遽席を増やしていただいた。そのためまだ受付可能なので、お近くの方で興味のある方は、張り付いたリンク先から申し込んで、ぜひ会場で僕の今年最後のセミナー講演を聴いていただきたい。

今年も様々なテーマの講演を全国各地で行った。介護保険制度改正や報酬改定の動向に関するものも依頼が多かったし、地域包括ケアシステムに関する講演、多職種協働に関するもの、社会福祉法の改正に関する問題、法令遵守や職業倫理に関するテーマでもお話した。

介護実務としては、介護サービス全般、リスクマネジメント、虐待防止、認知症ケアなど多岐にわたるテーマでお話しする機会をいただいたが、看取り介護・ターミナルケアに特化した研修会・セミナーの数は、例年以上に多かった年であった。それだけ看取り介護の取り組みに注目が集まっており、その傾向は来年以降も続くと予測している。

その背景には2010年と比して、2030年には日本人の死者数が40万人以上増えるにもかかわらず、病院のベッド数が減るという社会情勢があって、現在日本人の8割以上の人が、医療機関で亡くなっている現状を考えたときに、死に場所が見つからない、「看取り難民」・「死に場所難民」が問題となっているということがある。

そのため施設・在宅問わず、暮らしの場で看取り介護・ターミナルケアを受けられるということが、地域包括ケアシステムの目的のひとつでもあり、どこでも誰もが安心して最期の時を過ごすことができるための研修会がより求められているということであろう。

僕がお話しする看取り介護とは、施設サービスに限った内容ではなく、どこでも通用する介護実践論であるし、それは特別な介護ではなく、日常介護の延長戦であり、基本的に介護ができる場で、看取り介護ができないわけがないことをわかりやすく解説しているつもりである。

勿論、その時期に注意しなければならない点、持つべき基本知識なども解説しているが、それについても介護職員が基本的に身につけておく必要がある知識や援助技術であって、特別な知識や援助技術ではないことを説明している。

看取り介護をおこなう場の管理者の方には、看取り介護の実践は、職員に過度なストレスを与え、人材難に拍車をかけるという考え方は誤解であり、その実践はむしろ、職員のモチベーションを高め、スキルアップにつながるだけではなく、離職率の低下・定着率のアップにつながり、地域にも評判が口コミで伝えられ、職員確保と利用者確保の両面でメリットが生まれることを具体的に説明している。

僕の看取り介護講演を受講した事業者の管理者の方、職員の方から、今年も数々の感謝の声をいただいているが、「高品質な看取り介護の実践が、職員の離職率を下げる」ことが本当だったと言う声も多数いただいている。よってそれは、現場の実践で証明されている真実であるといえるであろう。

そこでひとつ提案がある。

特養の新設の相談、新設施設の研修講師の依頼などもいただく機会があるが、そのときに始めから看取り介護の実践に取り組もうという施設はあまり多くない。

とりあえず看取り介護は横に置いておいて、施設運営が軌道に乗ったら、その時点で看取り介護の実践に取り組もうと考えている施設管理者の方が多いように見受けられる。

しかしそれはもったいない考え方である。残念な考え方である。むしろ特養は看取り介護を行うのが当然であると考えて、最初から施設サービスのシステムの中に、看取り介護を組み入れて、最後の旅立ちのときまで、安心して安楽に生きるための施設というコンセプトで、施設経営のグランドデザインを考えたほうが良いと思う。そのためのレールを敷いて、職員教育をしながら、最期の旅立ちまで見守るケアをしていくほうが良いと思う。そしてそれはさほど困難なことではない。

最後までその人らしく生きるための支援を行うという意識付けを、最初から職員に課したほうが、スムースに看取り介護まで行える施設になっていくし、それは結果的により高い品質の施設サービスを提供できる職員のスキルにつながっていく。

新設特養であるからこそ、特養は看取り介護まで行うのが当たり前なのだという前提で、サービスのありようを考えて言ったほうが、職員も受け入れやすくなる。そこでは日常介護の延長線上に看取り介護を位置づけるという意識が自然発生して、職員の取り組みも、自然に構えることなく実現できるだろう。

1年後、2年後の看取り介護実践を目指すのではなく、最初から看取り介護ができるように準備を進めたほうが(それも特別なじょんびではないが)、特養の社会的使命と責任を職員が理解できるし、そのことによって社会から求められる本物の特養となる早道となるだろうと思う。

特養経営者の方々には、ぜひそうした方向で新設施設を導いていただきたい。
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