指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成十一年三月三十一日厚生省令第三十八号)の第13条は、指定居宅介護支援の具体的取扱方針を定めており、主に居宅サービス計画作成手順とモニタリングについて規定している。
そこでは19項、20項規定として次のルールを定めている。
十九、介護支援専門員は、利用者が訪問看護、通所リハビリテーション等の医療サービスの利用を希望している場合その他必要な場合には、利用者の同意を得て主治の医師又は歯科医師(以下「主治の医師等」という。)の意見を求めなければならない。
二十、介護支援専門員は、居宅サービス計画に訪問看護、通所リハビリテーション等の医療サービスを位置付ける場合にあっては、当該医療サービスに係る主治の医師等の指示がある場合に限りこれを行うものとし、医療サービス以外の指定居宅サービス等を位置付ける場合にあっては、当該指定居宅サービス等に係る主治の医師等の医学的観点からの留意事項が示されているときは、当該留意点を尊重してこれを行うものとする。
↑ここには別に難しいことが書かれているわけではなく、介護支援専門員の義務として、居宅サービス計画に医療サービスを位置付ける場合にあっては、「医師の意見を求める」、「医師の指示により計画する」と書かれている。このことに解説が必要となる部分もない。
ところがどこをどう読み間違えるのか、このルールが医師の指示書を必要としていると勘違いするケアマネがいなくならないのである。
求められているのは医師の指示であり、その指示内容を確認して、担当ケアマネが指示を受けた事実について、いつどこでどのような指示をされたのかということを記録しておればよいだけの話でしかない。
医療機関側や医師本人に対して、「指示書」などの文書発行を求める必要は無いのである。このことは今更の問題と思うが、僕が管理する介護福祉情報掲示板では、このことを勘違いした質問が再三繰り返されている。
つい最近も、居宅サービス計画に医療系サービスを位置づける際にも指示書が必要だと勘違いしている介護支援専門員が、訪問看護を計画するに際して、医師の指示の証明として訪問看護ステーション宛に発行された、「訪問看護指示書」の写しをもらって保管しているというケースが報告されている。しかしこの指示書はあくまで訪問看護ステーションに対する指示であって、居宅介護支援事業所がその写しをもらって保管したとしても、居宅サービス計画に訪問看護という医療系サービスを位置づけるに際して、居着介護支援事業所の計画担当介護支援専門員が、医師に意見を求めたことにも、指示を得たことにもならない。
よって指示書の写しを取る以外に、医師へのアプローチが全くされていないのであれば、居宅介護支援事業所の運営基準からみれば、基準省令13条の19項および20項違反となり、実地指導の際は運営指導対象となってしまう。そのことで、即居宅サービス計画が無効となったり、居宅介護支援費の返還指導になることはないと思われるが、だからたいした問題ではないとはいえない。
そもそも居宅サービス計画作成ルールという、居宅介護支援の根幹を成す部分の法令ルールの理解ができていないということは、介護支援専門員としての資質が問われかねない問題である。
法令を読み込むという意味は、文章をしっかり読むという意味である。
もともと介護支援専門員には、伝える力としての文章力が求められているが、書く力は、書いて学ぶだけではつかない。書く力は、読む力がついて始めて視につくのである。優れた文章家は、常に読者から生まれるのだ。
そういう意味では、介護支援専門員は日ごろから、文章を読むことを習慣にしなければならない。文章を読むことを厭わず、面倒くさがらずに、法令文も落ち着いて、しっかり読み込んでほしいと思う。
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というのも、「指示書は基本的に病院(診療所)と訪問看護ステーション間での文書であり、必要なのは訪問看護ステーションである」ことが当然ではない医療機関が存在します。
「指示書の様式がないんですけど、どこからもらうんですか、ケアマネさんもらえますか。」(某総合病院 MSW兼師長)
「指示書かけたので、ステーションに持っていってください。」(同某・・・)
「指示書書いてもらうようお願いしてください。」(某訪問看護ステーション)
時間が余りにもないときは、何度か県の様式から引っ張ってコピーして渡したりしました。
しまいには、疾患名や期間など、様式内の記入の細かいことまで「どう書けばいいですか。」と聞かれる始末。
これが、標準なのか!と勘違いされるケアマネさんも多いだろうな〜と思います。
こちらも、指示書って基本、病院と訪問看護ステーションとの間の文書なので、ケアマネがそこには入れませんよ、とは伝えるんですけどね。
こちらとしては、主治医等に訪問看護やリハビリの必要性などについて相談し、利用者さんと事業所を決める、決定した事業所を主治医に伝える、事業所と相談、ケアプラン作成・・・で本来業務としてはできていると思っていますが、医療連携という名のつかいっぱしりにさせられるのが現状です。
未だに退院サマリーの写し下さいとか、主治医の意見書の写しをくださいとかいう医療機関やサービス事業所がありますね。(こちらの自治体では、やっと主治医の意見書の写しは基本的に医師の了解を得ずにコピーしてはいけない、となりました。かなり前から当たり前だと思っていたことがこちらの自治体では当たり前ではなかったことに驚きました。)
医療機関はもっと介護保険のことを勉強してほしいです。私も医療保険のこと勉強します・・・。