11月9日に書いた、「自立支援介護新設の提言案を考える」では、政府の未来投資会議の「高齢者の要介護度を下げた事業者の介護報酬を優遇する」・、「自立支援介護という枠組みを新たに設けて、自立支援を提供しない事業者への介護報酬を減らす」という提言について、それが施設サービスに適用されたら大問題であると論評した。

しかしその内容を読んで気づいている人は多いだろうが、未来投資会議が、この提言において社会保障費の抑制の最大のターゲットにしているのは、「通所介護」であることは明らかだ。

よってこの提言書を読んで、一番危機感を抱かねばならないのは、通所介護経営者であるはずなのに、まったくこの提言に関心を寄せない関係者が多すぎるように思う。

提言所の中で、「入浴や排せつなど、日常生活の支援が中心で高齢者の自立支援につながっていない。」と指摘している意味は、レスパイトケアにお金をかけすぎだということである。

つまり機能訓練をしていない時間帯のサービスの報酬削減を暗示していることは明らかであり、なおかつ、「要介護度を下げた事業者の介護報酬を優遇する」というのは、アリバイ作りの機能訓練は評価しないという意味である。

この提言が報酬改定に反映されることになる場合、個別機能訓練加算の算定ルールに沿った機能訓練の実施だけの加算評価はなくするか、加算単位を引き下げた上で、一定割合の利用者の介護状態区分の軽度変更について加算評価するということになる。

この背景には、通所介護費の延びが財政を圧迫する大きな要因であるという状況に変化がなく、前回改定で報酬を大幅に引き上げた通所介護であるにもかかわらず、いまだに小規模事業所の数が、国側の想定ほどに減っていないという現状がある。

周囲を見ると、事業撤退した小規模通所介護事業所も目立ってはきているが、新規参入する事業者もあり、地域密着型通所介護となった小規模事業所の数はさほど減っていない。

国としては、通所介護事業者については、経営体力の低い小規模事業者はもっと減ってよいと考えており、報酬がさらに減っても経営に支障をきたさない、経営体力のあるスケールメリットが働く事業者で、ある程度の規模を持つ法人が、併設事業として小規模通所介護事業を運営するのだから、制度あってサービスなしという状況にはならないと考えているのだろう。

さらにその視点の先には、小規模通所介護の利用者数はもっと減ってよく、逆に小規模多機能型居宅介護の利用者数は、もっと伸びてほしいという思惑もあるのではないかと想像する。

どちらにしても、次期介護報酬改定では、通所介護のレスパイトの費用は大幅に削減されることは間違いなく、個別機能訓練加算を算定していない通所介護事業所は、今から経営戦略を練り直していかないと、報酬削減の波に飲みこまれ、事業経営ができないということにかねない。ここは今からしっかり心構えをしておかねばならに点である。

同時に、この余波は通所リハビリにも押し寄せることは間違いなく、リハビリテーションマネジメント加算の構造見直しにもつながるかもしれない。

前回の改正で、リハビリ会議の実施等の算定要件をクリアすれば算定できるようになったリハビリテーションマネジメント加算兇砲弔い討癲△修硫短山曄文醜圓6ケ月以内なら1.020単位、6ケ月を超えたら700単位)は減額が必至で、要介護度の軽度変更割合をクリアするという結果に対する加算が設けられるのではないだろうか。

それにしても国は、本当に専門的リハビリ(医学的・治療的リハビリテーション)で要介護度が下がると思っているのだろうか。加齢や障がいに起因する状態像が、医学モデルでよくなるのであれば、過去の老人保健法による事業展開で、この国は健康老人ばかりになっていたであろうが、実際にはそうではない。

介護予防の効果検証も行われていない状態の中、介護サービスを受けたこともなく、提供したこともない委員がイメージする、「自立支援介護」が前面に押し出された報酬構造改革は、この国にどんな未来をもたらすのだろうか。

どちらにしても、通所介護と通所リハビリの関係者は、自立支援介護について、今後どのように議論されていくのかを注目していく必要があるし、通所介護関係者は、レスパイトケアの必要性をもっと強く訴えていかないと、大幅な報酬削減が現実となってしまう。

厚労省内部にも、レスパイトケアの報酬はもっと削れるという空気が強いのは事実で、今のところこの風に変化はなく、その風向きが変わらない限り、2期連続の通所介護費の逆風は回避できないということになる。
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