混合介護とは何か?その明確な定義があるかどうかは分からないが、現在、世間一般的には、介護保険給付対象となっている公費サービスに加えて、公費がカバーしていない部分の自費サービスをプラスしてサービス利用する形態が、「混合介護」と称されている。

例えば介護保険の訪問介護を、身体介護や生活援助(家事援助)として使いながら、保険給付の対象となっていない趣味活動への参加や、大掃除などの特別な家事を上乗せして利用するような形態が考えられ、それは必ずしも保険給付サービスと保険外サービスが、同時一体的に提供されるという形には限っていない。

その混合介護を弾力化して、保険給付サービスと保険外サービスを同時一体的に提供することを提言しているのが、9/5に出された、公正取引委員会の介護分野に関する調査報告書についてである。

この報告書では、下記のような例示がされている。

保険内サービスの提供時間内に利用者の食事の支度に併せて,帰宅が遅くなる同居家族の食事の支度も行うことで,低料金かつ効率的にサービスを提供できるよ にサービスを提供できるようになる可能性がある

この報告内容については先日、「混合介護とは何ぞや」という記事を書いて、批判的に論評させていただいたが、他からもこの報告書に対する批判が噴出しており、それは公正取引委員会のあり方まで議論の範囲が及びかねない勢いになっている。

この報告書は、「社会福祉法人の税制改革」、「特別養護老人ホームへの参入規制緩和」にも踏み込んでいるので、当然のことながら全国老施協が真っ先に批判の声を上げ、会員向けのホームページでは、次のような見解をアップしている。

今般進められている社会福祉法人改革において、ガバナンス強化とともに社会福祉法人の高い公益性・透明性は担保されたものであり、不適当な指摘であると言わざるを得ません。むしろ本来、「国による福祉」は市場論理で語られるべきではない国民の権利であるはずであり、望まれない競争を促すことによって、総体としての使命感や制度の意義を希薄にすることがあってはなりません

真にイコールフッティングを図るのであれば、今回我々に課せられた強いガバナンスや公益性・透明性等に関する高い要件を他の事業体にも課した上で、それを乗り越えたものにこそ、公器として第一種社会福祉事業の担い手や非課税措置といった位置づけを与えるべきであると考えます

至極真っ当な意見に思える。

さらに公正取引委員会に対しては、10/27に行われた自民党「介護に関するプロジェクトチーム」でも出席した議員から強い反対意見が続出したと報道されている。

特養には高度な公益性・安定性が求められることから、社会福祉法人が担う必要性が示され、混合介護の弾力化については、「何でもすべて競争原理に委ねればいいってわけじゃない」「『混合介護』なんて聞いたことも無い」などの意見が出されたそうである。

そこでは、「公正取引委員会は不公正な競争がされることのないよう関与する機関であって、“競争万能主義に基づき政策そのものを見直せ(競争原理を導入せよ)”というのは審議を無視した国会軽視であり、公正取引委員会の権限ではない」として、公正取引委員会あり方を問う意見も出されたという。

公正取引委員会とは、独占禁止法を運用するために設置された機関であり、自由な経済活動が公正に行われるように、企業の違反行為に目を光らせ、消費者の利益を守る貯めの機関であるはずで、第1種社会福祉事業にまで切り込めるものではないし、今般の社会福祉法改正で、より高いガバナンスが社会福祉法人に課せられた状況等を鑑みると、公正取引委員会が主張するイコールフッティング論には、全く根拠がないと言えそうである。

そもそも保健・医療・福祉にお金をかけることは、聖域としてそれらを特別視するという意味ではなく、それらを社会のセーフティネットとして機能させないと市場そのものが破綻するという意味で、社会のセーフティネットは、市場の安定競争と補完関係になると考え、市場原理主義を排除し、考え方を180度転換した「福祉を拡充する小さな政府理論」が求められることを、このブログでは再三主張してきた。そうした意味からも、公正取引委員会の報告内容は、相容れないものだ。

混合介護の弾力化については、今後は規制推進会議で議論されていくことになろうが、公正取引委員会の越権ともいえる今回の報告内容については、規制推進会議関係者も怒っているのではないだろうか。

自民党のPT幹部が、「我々が公取のレポートに捕らわれることはまったくない。とんでもない」と発言していることも踏まえ、混合介護の弾力化議論については、今後の規制推進会議の動きを見ていくということで良いのではないだろうか。
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