前回の介護報酬改定で、通所介護は小規模事業所の管理的経費を高く見積もりすぎているとして、これを削減し、基本報酬が9〜10%の大幅な引き下げとなった。
この背景には、増え続ける小規模型通所介護事業所の収益率を下げ、その数を減らして給付費の増加を防ぐ狙いがあったことは言うまでもない。
ところがそうした引き下げを行ってもなお、小規模通所介護事業所数の増加に歯止めがかかっていないというデータが示されており、10/4の財務省の財政制度等分科会では、このことが介護給付費の膨張につながっているとし、次期改正でも小規模通所介護の報酬を下げる必要性が示された。
しかし前述した通り、小規模型の通所介護の管理経費は適正化されているために、この部分についての減額を行う理屈はないといってよい。
そのため今回、報酬減のターゲットになったのは、レスパイト機能に今ほどの経費をかける必要はないという理屈であり、その理屈に正当性を持たせるために、小規模型通所介護事業所における「個別機能訓練加算」の取得率の低さがやり玉に挙げられている。
通所介護の基本機能のうち、小規模事業所はレスパイト機能に偏ってサービス提供され、機能訓練と自立支援がおざなりにされているので、そこにかける費用はもっと削減すべきという理屈である。
通所介護関係者にとって、財務省の「通所介護たたき」とも言えるこの理由づけは、そのまま受け入れがたい理屈であり、反論すべき余地がかなりあるのではないだろうか。
個別機能訓練加算を算定していないからといって、その事業所がレスパイト目的中心のサービスとは限らないからだ。
もともとこの加算は、看護職員やセラピストなどの機能訓練指導員の配置されている日に限って、諸要件をクリアして初めて算定できる加算であり、それによる収益構造は、加算費用×利用人数であるのだから、利用者数が少ない小規模事業所が、毎日加算要件の職員を配置するための人件費が加算収入だけでは確保しにくくなっている。
そのため小規模事業所は、加算要件に合致しないために個別機能訓練加算を算定しないが、機能訓練自体は独自の工夫で行っている場合が多い。
特に小規模事業所の特徴として、認知症対応型となっていなくとも、軽度の方を中心に認知症の方が数多く通って利用している場合が多く、身体機能に特化しない形の認知症リハビリを、グループワーク中心で、介護職員等が指導しているケースが数多くある。
こうした形で、加算は算定していなくとも、リハビリテーションの成果は上がっている場合も多いのである。
そもそも磁気報酬改定では、通所介護と通所リハビリの役割分担の明確化もテーマにされているが、そうであればなおさら、通所介護には身体機能に特化しない、生活行為につながる機能訓練のあり方を評価する視点が必要になる。
例えば通所介護は、事業所内でサービス提供するのが基本とされているが、事業所内のみで、日常生活に関する機能維持・向上を図ることにはおのずと限界があるし、効率が悪い場合もある。
例えば日用品の買い物という行為を行うことができるだけで維持できる能力は多々ある。そうであればバリアを撤廃し、通所介護に通ってくる日は、サービス提供時間を利用して、地域のストアに自ら出かけて買い物ができるというサービスが、規制なく行えるだけで、認知症リハビリの可能性はより広がるのである。「通所サービスの外出を認めていない地域」で指摘したバリアをなくすほうが、よほど介護予防につながるだろう。
そういう意味でも、今後の介護給付費分科会では、財務省の通所介護たたきはをそのまま受け入れるような議論展開にならないことを祈りたい。
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また今回も、形通りですかね。報酬決定直前にマスコミがちょっと騒いで、業界団体が形だけの署名活動して、地域がワイワイ文句を言って・・・
どうしましょうかね