介護大手のセントケア・ホールディングが、人工知能(AI)技術を持つ米ベンチャー企業と組み、要介護者の体調や症状に合った介護サービス計画を自動で作成できるシステムを開発したと報道されている。
それによると質の高い計画をこれまでの半分の時間でできるようなるそうで、生産性を高め深刻な人手不足を緩和するとともに、要介護者に最適なプランを提案する体制を整えるそうである。
これが実現すれば利用者・介護支援専門員双方にとって朗報ではないのだろうか。
実際の介護支援として使えるロボットは、ほとんどないが(自助具ロボットは別であるけど)、人工知能は、こうした作業には向いていると思う。
アセスメントツールという道具があっても、それを使いこなす人の能力によって、ケアプランの質の差が生じているのは事実だし、人工知能の活用によって、一定程度の質の担保につながることも期待できるのではない。(反論もあるだろうけど)、これによって介護支援専門員は、利用者やサービス事業者に直接かかわって、調整する時間を増やすことができるというメリットがある。
介護支援専門員の仕事は、ケアプランを作ることではない。ケアプランはあくまで、介護保険制度という枠組みの中で、ソーシャルワークという業務を展開する過程で必要とされる道具であり、その作成をロボットが担ったからといって、ケアマネの仕事が必要なくなるわけではない。
むしろこの部分を人口知能が担ってくれることで、新たな可能性が生まれることを期待したい。
好不調の波や、感情の揺れがない人工知能が、膨大な量のデータを記憶し、それを処理して作成する計画内容から、介護支援専門員に新しい気づきが生まれるかもしれない。それを使いこなす調整力は、介護支援専門員個人の資質にかかってくるが、ケアプラン作成作業という事務作業が減ることで、業務の主眼をそちらにシフトさせることができ、調整力のアップも期待できるのではないだろうか。
だから人工知能を利用してケアプランを作成することに拒否反応を示す必要はないし、そのことでケアマネジャーの仕事が奪われるなんて考える必要もない。
ただこのことが、人手不足の緩和策として考えられているのは、いささか的外れだと思う。介護支援専門員は、深刻な人手不足ではないのである。むしろケアプランの必要とされない地域支援事業や、保険外事業が増えて、介護給付の範囲が狭まることが予測される介護保険制度においては、介護支援専門員にも余剰人員が出かねないのだ。
するとここで報道されている、「人手不足の解消策」とは、実は介護支援専門員の状況を表すものではなく、保険給付制限に加えて、人工知能によるプラン作成で、居宅介護支援業務をはじめとしたケアマネ業務の省力化の果てには、居宅介護支援業務の縮小が図られて、介護支援専門員の人員整理が進み、それらの人々が、元職である介護職員に復帰することを期待する向きがあるのではないかと勘ぐってしまう。
まあそれはうがった見方で、実際にはそんなことはないのだろう。
どちらにしても介護支援専門員は、人工知能というものに過度に反応して、それと勝負することを考えるのではなく、コンピューターと同じように、それをうまく利用して、新しい業務展開の方向性を開拓するという考え方が求められる。
時代は確実に変わり、進んでいくのだから、革新された技術を生かさない手はなく、革新技術を使いこなす人が、これからのリーダー役になるということを忘れてはならない。
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通り一辺倒のケアプランしか作らない一部のケアマネより、人工知能の方が豊富なデータを元に作成するなら、大いに受け入れるべきです。