東京都日野市で行われた講演には、認知症の人の家族の方などがたくさん会場に来てくださった。
日野市講演
質疑応答では、実際に介護をしている家族の立場から、あるいは自分は介護をしていないが、兄弟のお嫁さんに介護をしてもらっている立場からの質問があった。

認知症の人は、全ての能力が失われるわけではないので、何ができて、何ができないかを探ることが大事である。認知症の人がトイレで排泄できない理由も様々なので、できる限りトイレで排泄できない理由を探って、的確にアプローチする必要があることを、講演の中では事例を挙げて説明した。

そのことに関連して、90代の認知症の方を介護している方から、当初はトイレで排泄できていたのに、最近では声をかけてもなかなか排泄に結びつかず、紙パンツに失禁してしまうことが多くなったことを、自分の介護の知識になさが原因ではないかと自責の念を持ってしまうというようなような質問があった。

個別の失禁原因はその質問だけではわからないが、大事なことは、失禁するという事象だけをとらえて、自分の介護方法が間違っていると自分を責めないことだと思う。そもそもすべての人が、最期まで失禁せずに過ごすことができるとは限らない。要は、周囲の人が認知症の人のことを思いやり、できる限り、今でき得る暮らしを支えようとすることだと思う。

失禁という事象だけを見れば、大人用の紙おむつや、紙パンツがなかったころに比べると、今市販されている様々な排泄用品を使ってケアできるだけでも、過去とは比較にならないほど、介護をする人の負担も減るだけでなく、介護を受ける人の不快感も減少しているのだと思う。在宅で時間介護をする人は、介護が必要な人に思いを寄せている限り、全てを完璧にできなくても、それは間違った方法ではないとポジティブに考えて、自分自身を壊さないようにすることが、介護を続けるうえで一番必要なことだと思う。そういう意味で、励ましの言葉を送ってきた。

北海道出身の方も受講されていて、その方の親も北海道に住んでいるが、認知症を発症して、弟のお嫁さんがお世話をしているとのことだった。その方の悩みは、介護負担をすべてお嫁さんにかけていることで、自分は遠く離れた場所に住んでいるので何もできず、お嫁さんに電話をかけ、小一時間ほど悩みを聴いたり、励ましたり、感謝したりするだけだが、どうしたらよいかという質問もあった。

実際に介護している人は大変であるが、そのたいへんさを分かってくれる人がいないこともストレスになる。空間的距離はどうしようもないので、そのたいへんさを理解してくれる誰かがいるということが感じられるように、電話で悩みを訴えられるお義姉さんの存在は、きっとお嫁さんの支えになっていると思うので、今のコミュニケーションを続けて、感謝の言葉をかけ続けてくださいとアドバイスした。

当日は、講演終了が15:40で、その後の質疑応答であったが、帰りの飛行機の関係で、僕は会場を16:00に出なければならず、十分な時間をとれず恐縮であったが、ぎりぎりの時間まで声をかけてくださる人がたくさんいた。本当にありがたいことだ。

ところで当日も、下記画像のように、会場で僕の著作本を販売させていただき、沢山の方に購入していただいた。
日野市講演会場
こんなふうにして、各会場で本を購入してくださる人のおかげで、これらの本はまだ一冊も廃刊にならずに売れ続けている。そしてこのたび、「人を語らずして介護を語るな THE FINAL 誰かの赤い花になるために」の増刷が決定した。僕の記憶では、第4刷になると思う。

今年に入って、「介護の詩 明日につなぐ言葉」に続く増刷である。これもひとえに応援してくださる読者の方々のおかげである。この場を借りて、ひところお礼を申し述べたい。いつも本当にありがとうございます。

さて昨日は、講演以外にも気になることがあった日である。

我が、北海道日本ハムファイターズの優勝がかかった一戦が、日野市からはほど近い、「埼玉県所沢市」で行われていたのだから、本来であれば、日野市での講演が終わったら、そちらに駆けつけたいところであった。しかし今日の仕事を休むわけにもいかず、後ろ髪をひかれる思いで北海道に帰ってきた。

昨晩は千歳市内のホテルに泊まったが、優勝の瞬間はとある居酒屋の個室で、一人ファイターズ応援としゃれこんでいた。4年ぶりの感動をじっくり味わい、ホテルに戻って一晩中ニュースを見て、感動の涙を流していた。

ファイターズレジェンドユニホーム
このレジェンドユニホームをゲットした次男も、きっと家で応援していたことだろう。最大11.5ゲーム差を跳ね返した世紀の大逆転は、長嶋巨人のメークドラマを超える奇跡であるといってよいだろう。

クライマックスシリーズと日本シリーズでも、同じ感動を味わいたいものである。

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