数年前まで9/15は敬老の日ということで、高齢者介護施設の職員たる僕も、この日に休みということはありえず、何かしらの行事のために必ず出勤していた。
しかし敬老の日が固定日ではなくなってからは、9/15が特別な日ではなくなった。そのため今日の僕は、休みをとって仙台で講演を行うために現在移動中である。
今日は新千歳空港を10:00に経って、セミナー終了後とんぼ返りするという日帰り講演である。ただし日帰りとはいっても、今日中に家に帰るわけではなく、北海道に戻ってくるという意味にしか過ぎない。それというのも帰りの空港到着は21:00過ぎになるので、それから1時間半かけて家に帰り、明日出勤のために朝5:30に起きるのも辛いものがある。そのため今晩は新千歳空港内のホテルに泊まる予定であるからだ。
本日のセミナーは、11月から来年3月まで、5ケ月の期間をかけて大阪で行われる「介護経営戦略塾」(みらい福祉研究所)のプレセミナーをかねているので、法人のトップや役員、介護施設の管理者などが多数参加する予定である。
僕はその中で、社会福祉法改正の今後の事業経営への影響を中心に、制度改正の動向を読みつつ、今後の介護事業経営に必要な視点を語る予定になっている。そこでは当然、現在までの介護給付費分科会での議論を振り返った視点が求められるが、同時にもっと広く政治動向も見つめた分析が必要になる。
例えば、来年度は介護報酬改定の時期ではないが、介護職員処遇改善加算の給付率のみアップさせ、一人平均約1万円の増額を図る改定が行われることになっている。その財源は、財政安定化基金を取り崩しすことで確保するというものだ。
この増額分は、介護報酬全体でみると約2%のアップにあたるそうである。そうであるならば、再来年の介護報酬改定にこのことはどう影響するだろう。
介護職員不足が叫ばれ、介護事業者の人で不足が深刻化する中で、介護職員処遇改善加算のを下げるという選択肢はないと思われる。しかし財政安定化基金を毎年取り崩すわけにはいかない。そうすると来年度の2%アップ分と、報酬改定時にさらに処遇改善加算のアップを図ったとしたら、そのアップ分は、介護報酬本体から持ってくるしか無くなる。
つまり再来年の介護報酬改定では、報酬全体を最低2%引き下げた額から査定が始まるという意味であり、『次も下げる』という財務省の意向が反映されれば、大幅な引き下げが行われることになる。
報酬アップなどあり得ないという情勢が作り出されているわけである。そのような厳しい情勢下での介護事業経営を考えていかねばならないということになるが、当然そこでは事業の多角化と、保険外事業からの収益を得るという考え方が出てくる。
しかし保険外事業とは、保険ない事業よりも厳しい競争の中で収益を確保しなければならない事業であり、経営能力のない事業者では、そこに手を出すことが命取りになりかねないものでもある。
そもそも本体事業の経営がまともにできない事業者が、本業以外の事業経営能力があるのだろうか?そこが大きな問題である。
どちらにしても事業戦略は、医療・介護ミクスによる複合サービスエリアを視野に入れる必要があるだろうし、スケールメリットを最大限に生かさないと生き残れないだろう。
ただし経営という視点のみで、福祉を切り捨てるような方針は、社会福祉法人が自らの首を絞める結果になることは、今般の社会福祉法の改正内容を読み込めば、容易に理解できることだ。本丸の非課税法人であることを否定された先には、社会福祉法人経営の破綻しかなくなる。
さらにいえば職員確保が最大の課題であるが、人員配置できれば誰でも良いということにはならない。アミーユ川崎幸町の虐待映像のように、密室の中で職員が何をしているのかを確認しようとして、隠し撮りされる場面は今後さらに増えるからだ。
だからこそ今後の介護事業経営は、顧客確保戦略を盛り込んだうえで、人員確保・育成システムを織り込んだ、経営戦略を立てていかないと破綻する。
世間からより厳しい視線を受けざるを得ない社会情勢の中で、顧客確保につながるのは、表面上の豪華さではなく、実際の暮らしの質=高品質な介護サービスである。このように介護事業者にとって法令理解と遵守は当たり前であって、その先のホスピタリティ意識が安定経営には不可欠になるといえよう。
そういう意味で、生き残っていく介護事業者とは、隠し撮りのカメラに注意するのではなく、隠し撮りされても堂々とその姿を見てもらって恥ずかしくない介護サービスを実現することであることを忘れてはならない。
とまあ、このようなお話を17:00過ぎまでしてくるわけである。そして仙台空港20:00発の便で北海道に戻るというハードスケジュールであるが、搭乗前にラウンジでまったりして、ハイボールを飲んで過ごすのが一番の楽しみである。
今日はその時、牛タンカツサンドでも肴にしようかと思ったりする。
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