洗脳介護の実態から続く)
竹内理論に基づく、「強制水分補給」で苦しんでいるのは、いやいや水分を補給されている利用者だけではない。

勿論最大の被害者であって、もっとも苦しめられているのは、強制水分補給を「施設の方針」として行っている施設に住む人なのだが、それを行っている施設の職員の中にも苦しんでいる人はいるのだ。

そもそも竹内理論の実践施設のすべての職員が、そのことに疑問を持っていないわけではなく、苦しそうな表情で水分を補給させられている利用者の姿を見て疑問を抱くにとどまらず、罪悪感を持つ職員もいるのだ。

密室化した施設の一室で、口をこじ開けて無理やり水分を飲ませる先輩の姿や、水を飲ませるためだけに夜間に安眠を妨害して起こすような先輩の姿に意味を感じられず、やる気を失ってしまう職員もいる。それらの職員が昨日の記事で紹介したように、このブログ記事の中に様々なコメントを書き込んでおられる。

しかし介護力向上講習では、施設長と介護現場のリーダーが洗脳教育を受けているために、末端の介護職員が、いくら疑問を感じて声を挙げても、その声が施設の上層部に届くことはきわめてまれである。洗脳された施設長や介護リーダーは、正論を唱える職員を異分子とみなし、罵倒し声を止ませるか、異端分子として切り捨てようとするのみである。

施設長や現場の介護リーダーが、その悪魔の所業に気がついた施設だけが、この方法論を捨てることができる。そしてこの方法を取りやめて、やっと普通の介護を取り戻したとき、いかに間違った介護を行っていたのかということに気がつくのである。

なぜならこの強制水分補給を行っている最中は、前述したように、このことを批判したり反対したりする職員は、洗脳された人々によって、介護が何たるかを分かっていない職員として糾弾されてしまうので、それを恐れた職員は、なかなか水分を摂ってくれない利用者に対して、なりふり構わない方法で水分の強制補給を行っている姿を隠してしまう。そのため利用者の苦しそうな様子は表面化せず、密室化し潜在化するからである。

逆に言えば、1500mlもの尋常ではない量の水分を、50人とか100人とかの利用者全員に、毎日一律に飲ませようとすれば、端から見て危なっかしい強引な方法でしか摂取させることは難しいのである。

この強制水分補給の間違いに気がついて止めた施設だけが、「○○さん、毎日水を無理やり飲まされて苦しがっていたけど、そんなことが無くなってよかったね」という形で、様々な利用者の苦しんでいる場面、哀しんでいる場面を顕在化させることができ、その罪深さに気がつくことができるのである。

洗脳された施設の職員も、その洗脳から解放されたとき、はじめて人の心を取り戻すことができるのだ。

僕の講演を受講される方の中にも、竹内理論に基づく強制水分摂取を行っている施設の方が含まれることがある。そこでその方法論の危うさ、いい加減さに気がついて、早速それをやめたという人も多い。ただしそのことに気がつくのが、前述したように一職員の立場でしかない人なら、施設の方針を変えられないという場合も多い。そうした方々は、間違っていると感じたまま、不承不承施設の方針に従い続けるか、その施設を辞めるかという選択肢しかなくなる。

罪をこれ以上、重ねないためには、その方針を続ける施設を辞めるほうが良いだろう。そういう形で、志の高い職員が居なくなることでしか、洗脳の解けない施設長がいるからである。

そういう問題はあろうとも、僕はあの講習会が都道府県レベルで続く限り、そのことの批判を続けていくだろう。このエビデンスも人間性も無い水分強制補給法に異議を唱え、まっとうな介護を取り戻すための提言をしていく人がいないと、特養は闇の世界になると思うからだ。
masa
先日の愛媛松山講演でも、この問題について、実際に取り組んでいた施設の職員さんが居られ、その時期の利用者の悲惨な状況を教えてくださった。そういう話しを聞けば聞くほど、この取り組みが行われている施設では、多かれ少なかれ密室作業が発生していることがわかる。そういう施設に限って、施設長は音頭をとるだけで、施設に不在である日が多く、水分補給がどのようにして行われているのかを、施設の隅々まで確認することをしていない。

確認するにしても、水分摂取がスムースにできる、問題の無い人の水分摂取の状況だけを見ているに過ぎず、コメントに寄せられているように、「スプーン1口のゼリーですら、首を横に振って涙目になられ 浮腫で全身腫れあがっている利用者様に無理強いする」ような状態や、「密室の中で、スプーン2本を使って無理やり口を抉じ開けて」いる状況を、見ようとも知ろうともしない。

それが老施協の表彰を受けたり、老施協の役員や研修委員を務めて偉そうなことをいっている人たちの実態の一部でもある。

こんなことをいつまでも続けてよいわけが無い。水分の強制的な大量補給に苦しんでいる人の家族は、その実態を見て、そうした施設のトップを人権蹂躙で訴えることもあり得るだろう。

いずれそういう訴訟ケースが出てくるのではないかと思っている。そしてそこで行われていることはエビデンスのない方法なのだから、その裁判は訴えられた施設が必ず敗訴するだろう。

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