対人援助サービスは、特定個人の「暮らし」に深く関わるのだから、結果を出さなければ意味が無いと思っている。
結果を出すために、日々学ぶ必要はあるし、実践する過程で頑張る必要はあるが、頑張ったという過程だけで満足してはならず、必ず結果を追い求めなければならないと思う。
その結果とは何かといえば、僕たちがかかわりを持ち、何らかの形で暮らしに介入している人達の暮らしぶりが少しでも良くなっていることであり、僕たちが関わっている人が満足されて日々暮らしを送ることができていることだと思う。
仮に僕たちが掲げた目標が達せられていたとしても、関わっている人の暮らし振りが良くならず、満足していないのなら失敗だと思う。その場合は、目標の設定自体が間違っているという意味だ。
目に見えない「こころ」を持つ人間に関わる職業であるのだから、サービスを利用する人の感情を無視して物事を評価してはならず、僕たちが良かれと思っていることであっても、その結果が「だめだ、満足していない」といわれてしまえば失敗なのである。
だがその結果を判断することは意外と簡単である。人に関わる仕事なのだから、そこには関わる人の表情があるからだ。認知症等の理由で、意思表示ができない人であっても、表情で満足度を図ることができるからだ。
しかしながら、そのような考えとは対極に位置する、利用者の満足度を無視した実践を行う介護施設が存在する。そういう実践を指導する職能団体が存在する。
利用者の表情を無視して、利用者の感情を脇において、自分たちの掲げた目的が達成されているかということだけを見ているのが、全国老施協の「介護力向上講習」である。
(※ただしこの講習会は、昨年度から全国レベルでは実施せず、都道府県の老施協レベルでの実施となっている)
そこでは「竹内理論」と呼ばれるエビデンスの無い方法論を、唯一絶対の根拠として受講者に押し付け、介護施設の利用者全員一律に、個別アセスメントの無い1500ml/日以上の水分補給を強制的に行う指導がされている。そして強制水分補給を行う際の、利用者の苦痛にゆがんだ表情は無視される。
そうした方法で実現できるとされる目標とは、「日中おむつゼロ」というものにしか過ぎない。しかも全国老施協基準の「おむつゼロ」とは、すべての人が日中トイレで排泄しているわけではなく、尿取りパットを使って、そこに失禁している状態もありという、なんともお寒い「オムツゼロ」である。
その程度の目標を達成させるために、竹内理論の実践施設では、利用者が毎日毎日苦しさを無視されながら飲みたくもない水分を強制的に飲まされている。
人の尊厳を無視した強制介護を行うに当たって、そのことに疑問を持たないように介護施設の施設長と介護リーダーを集め、順位付けで競わせ、反論を怒号でつぶす講習会は、さながら洗脳セミナーであると語る人も多い。
利用者の意思など関係のないところで、ともかく決められた量を飲ませさえすればよいという何でもありの水分摂取や、多人数で引きずるような人格無視の歩行訓練を強制し、座位姿勢のアセスメント抜きの便座への強制座位を取らせて、苦痛にゆがむ表情を無視して、排泄をさせることにどんな暮らしの質があるというのだろう。
竹内理論の実施施設の職員からも、悲惨な状態がコメントとして寄せられている。密室の中で強制水分補給が行われている実態が、血豆だらけの口腔状態を作り出している事実を知ってほしい。
しかしながら、実際に竹内理論に基づいて、強制的な水分摂取を行っている施設のトップである施設長は、決められた水分が摂取され、全国老施協基準の「お寒いオムツゼロ」さえ達成していれば満足し、その施設の中で、利用者がゆがんだ表情でいることを知ろうとしない。利用者が昼夜の別なく様々な強制的方法で、水分を身体に突っ込まれている状態を知ろうともしない。
恥を知れといいたい。
全国レベルで実施しなくなった介護力向上講習会は、都道府県の老施協レベルで行われているが、県レベルで手を引いたところもある。残念ながら北海道老施協は、この悪魔の講習会を続けている。
北海道老施協とその役員たちよ、恥を知れ。研修委員よ、恥を知れ。(明日書く予定の記事:洗脳介護からの解放に続く)
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★施設は、ご利用者の意向より、経営者の考えで動く危険性が多々あることを自覚しながら勤務しなければなりませんね。
そのためには、医学知識や介護知識、対人援助技術等、自ら学ぶ意欲を忘れず、経営者ともぶつからず勤務していく力と立場が必要であると思います。
矛盾が生じる時には、言葉に配慮し意見を述べる言語化の技術習得。
職員が楽になるために?薬物療法を選択し調整困難等場合の医療連携・・・
認知症を正しく理解し、症状にあわせて支援する方法も知らず、問題行動と考え経営サイドにアドバイスしても通らない現実もあるかもしれません・・・・
同じご利用者なのに立場が違うと視点も違う。すべてが最悪ではない。いい面もある。
しかし、給料を頂いている立場からすると経営方針に従わなければならない、弱い立場でもあります。
★そんな施設ばかりではないと思われますが、矛盾する環境で職員が悩んでいる時、masaさん、どうすればいいのでしょうか?そのような施設から逃げ出す事は簡単かもしれないけど、ご利用者は簡単には逃げ出せない。戦う事に疲れた職員は、逃げ出すのではなく心身ともに疲れて退職。残された職員は声を出さず、経営者サイドの顔色を伺い、ご利用者支援が悪循環・・・。
masaさん、返答に困る内容ですが、アドバイスを宜しくお願いいたします。
★「結果を出す退院援助の職種」