厚労省は次期制度改正時に、現在最長2年まで延長できるとされている介護認定期間について、最長3年まで延長できるように、ルールを変更しようと検討している。

このことについて、高齢者の状態像は変化しやすいのだから、そんなに期間を延ばしても良いのかとか、それは行政の怠慢ではないかとか、いろいろな批判的意見が聞こえてくる。

そんな声を聞くと、人間というものはなかなか保守的な考えから抜け出せず、新しいことを取り入れるときの壁は高くする傾向が強いなあと思ったりする。

もともと認定期間がどのくらいが適当かというエビデンスなど存在していない。当初の半年〜1年にしても、現在の1年〜2年にしても、科学的な根拠も何もないといってよいのだ。2年なら良くて3年ならなぜだめなんだろう?3年より、2年のほうがよりましと考える理由はなんだろうか?

そもそも認定の期間が必要かどうかということも怪しい。

僕の個人的意見としては、認定期間など無くともよいし、あるのならばその期間は最長5年でも、10年でも、長ければ長いほど良いと思っている。区分変更申請は、いつでもできるんだから、期間延長で被保険者が不利益をこうむることは無いからである。

まったく状態変化がなく、必要なサービスにも変化がないのに、認定期間があるがゆえに、その都度更新申請を行って認定調査を受け、認定審査会で判定を受けなければならないというのは、利用者自身にとっての大きな負担であるし、財源論から言えば随分無駄な費用がそこにかけられているように思えてならない。

認定審査の役に立たない医師意見書に一体いくらの公費がかけられているというのだろう。財言論から給付制限に走って、軽度者のサービスを削減して、使えない制度にするより、認定調査と、認定審査にかける費用を国民のサービスに回したほうがよほどましな制度になる。

認定作業が遅れて要介護状態区分(要支援状態区分)が確定しないまま、暫定プランでサービス利用せねばならないケースも多発しており、「改訂関係Q&A・vol2の52(暫定プラン)は机上の空論」で示したように、暫定プラン中のサービスに支障が出たり、サービス利用を控えたりせざるを得ないケースがある。更新認定結果がなかなかでないことで、居宅サービス計画の作成作業に支障が出ると感じるケアマネも多いはずだ。

認定期間が延長されればそのようなケースは確実に減る。それだけでもメリットは大きい。

要介護状態区分にしても、現在のように7区分も必要ない。例えば非該当・要支援・要介護もしくは、軽介護・中介護・重介護といった3区分程度で十分だ。

区分支給限度額管理による、サービス量の調整機能の面から、その必要性を唱える人がいるが、そもそも区分支給限度額が無いからといって、不必要なサービス利用が増えることにはならない。そのことはケアマネジメントがきちんと機能することで調整できる問題であるし、本来そのためのケアマネジメントでなければならないはずだからである。

もともと自己負担がある介護サービスであるのだから、要介護度に応じた区分支給限度額が無いからといって、その利用される量が青天井になることは無い。それが証拠に、現在の区分支給限度額は全体でも5割程度しか使われていないのである。

つまり区分支給限度額は、サービスの調整機能を果たしておらず、逆にサービスが必要な人にとっては、それがあるが故に自己負担10割となるために、サービスの一部を経済的理由によって抑制し、使えないというデメリットの方が大きいのである。
(参照:要介護認定廃止議論に欠けている視点

要介護状態区分など、もともと定規自体がひん曲がっていて、地域によって、審査会によって差があるのが現状で、尺度として正確なものではないのだから、それを拠りどころに物事を考えること自体がどうかしている。そんなものを頻回に認定しなおす必要性など無いのである。

延長結構、それより期間設定そのものの有効性や、是非を議論すべきではないだろうか。

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