僕の書いた文章が、本になって世に出た最初は、「介護施設と法令遵守」という本である。

ただリンク先の本の画像を見て分かるように、この本は共著本であり、僕は執筆者の一人にしか過ぎないため、本の表紙カバーに僕の名前は載っていない。ここにはこの本の監修者である、多摩市の伊藤介護保険担当課長(当時)と、淑徳大学の結城先生の名前が載せられているだけで、僕の氏名は本の中の著者紹介欄に経歴とともに掲載されているだけである。

それでも記念すべき執筆本第1弾であることにかわりはない。

監修者がある共著本と、自著本の一番の違いは何かと問われれば、それは発生する費用であるということができるだろうか。前者は、僕の収入として懐に入るお金は執筆料のみであるが、後者は出版社との契約に基づく印税であるという違いがある。

それはどのような違いか等については、また別の機会にお話しよう。

ところで僕はこの共著本の、「第3章 特別養護老人ホームの法令遵守」という部分を執筆している。その中で、時代が特養に求めていることは、単に法令を守った運営をすることにとどまらず、法令に精通して、それを守ることはある意味当然であり、それに加え社会的要請にも積極的に応え、国民ニーズにマッチした運営に努めることだとして、フルセットコンプライアンスという考え方を紹介している。

そういうこともあってか、今週末の日曜日(9/4)、東京港区のコクヨホールで開催される、「日経ヘルスケア 介護マネジメントセミナー2016 Summer」で、「介護施設におけるコンプライアンスとリスクマネジメント」というテーマで講演を依頼されている。

この共著本が出版されたのは2010年8月であった。その時期よりさらに、社会から厳しい視線を向けられているというのが、現在の社会福祉法人が置かれている状況である。しかも今後の社会福祉法人は、単なる施設運営ではなく、法人経営が求められるが、そこで必要となる法人経営のリスクマネジメントとは、単に法を護っておれば良いというものではなく、フルセットコンプライアンスの視点はより重要になる。

コンプライアンスの基盤は、法令を理解することであることは言うまでもないが、経営リスクマネジメントに繋がるコンプライアンスとは、単に法文を理解することではなく、法文に繋がっている背景や、その目指す目的を理解して対応することである。

そのために介護施設を運営する法人は、事業に対する社会の要請や環境変化に対応できる組織へと替わっていかねばならない。こうした予防的コンプライアンスの思想がないと、法人の滅亡は現実的なものとなっていくだろう。

あのアミーユ事件をきっかけにして、親会社のメッセージが介護事業から撤退しなければならなかった事例を教訓にするとしたら、介護事業の最大のリスクマネジメントは、「介護サービスの品質管理」であることは間違いが無い。ここを現場任せにする法人にも明日は無いだろう。

特養に限って言えば、待機者の減少が著しいだけでなく、空きベッドが埋まらない地域が出始めている。介護職員が見つからないことが最大の経営リスクであった状況に変化が出始め、利用者確保ができないことが、最大の経営リスクとなりつつある。

これからの社会福祉法人は、保険外事業も含めた事業の多角化が必要だといっても、本体事業が揺らいでいては法人経営はままならない。

9/4は、ここをどうするかという視点からのリスクマネジメント論を展開する予定である。

このセミナーに先駆けて、今週金曜と土曜日は大阪で講演がある。

大阪市老連主催の連続講演も、いよいよ最終回。今回は「『誰かの赤い花になるために』 〜 介護の誇りとは・・・私たちは今なにをすべきか〜 」をテーマにお話しする予定である。9月2日(金)16:00〜18:00、大阪市立社会福祉センター3階までぜひお越しいただきたい。

翌土曜日の13:30〜15:30のmasaの介護福祉情報裏板・リアル!2016本音のトークライブin大阪介護の陣もいよいよ最終回。今回は、多職種連携や介護ロボット、認知症の人に対する介護実践などの話をする予定である。寺田町に建てられたおしゃれなビル、SKアカデミービル2Fセミナールームまで聴きにきていただきたい。

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