数日前に、老健施設の職能団体からの講演依頼が増えていると書いたが、昨日も兵庫県の老健協会から講師依頼をいただいた。
かねてからの知り合いで、いつもお世話になっている丹波篠山市のMさんから、『兵庫県介護老人保険施設協会の北播・但丹支部が主催する、今年度の研修会のテーマが、「ターミナルケア」となっており、是非そこで講演をしてほしい。』と連絡があった。
平日の研修会で、日程的には厳しい状況だったが、なんとか調整してお受けすることにした。老健のターミナルケアの取り組みに対する、ある思いを僕が抱いていることと、それは関係しているのかもしれない。
今年4月から老健施設に勤務するようになって、老健と特養の違いを実感している。特に僕が今勤務する老健は、ターミナルケアはほとんど行われていないため、中間施設としての老健機能と、ターミナルケアは結び付かないという意識を変えられないかと模索中である。
そんな中で、老健協会という職能団体がターミナルケアをテーマにした研修会を開いてくれるということは、僕の価値観と合致して非常に意義深いものだ。こういう研修機会が全国的に広がって、北海道にも影響を与えてほしいと思う。そういう意味でも、こうした研修会には、ぜひ協力させていただきたいと考えて、無理して日程を調整したものだ。
老健の役割の中にターミナルケアの取り組みが含まれるという意味は、「地域包括ケアシステムの中での老健の機能を考える」で示したとおりである。
老健協会の研修会で、ターミナルケアのお話をするのも初めてではなく、「老健施設におけるターミナルケアの在り方」でも書いたとおり、千葉県老健協では2年続けてターミナルケアについて講演を行っている。
そもそも今後の日本の社会状況を考えると、介護施設をはじめとした居住系施設だけではなく、「暮らしの場」で最期の時間を安らかに過ごすことと、そのための支援のあり方は多様に考えられなければならない。いろいろな場所で、安らかに旅立っていくことができる社会を創るのが、「地域包括ケアシステム」の目指す方向性の一つでもある。老健も当然その役割を積極的に担っていく必要がある。
看取り介護・ターミナルケアの考え方や方法は、その基本的な部分は看取る場所で変わるものではなく、僕の特養での実践は、老健でもそのまま応用できることを、身をもって実感しているところだ。
それは医療機関でのターミナルケアにも生かせるもので、現に北海道看護協会の看護職のためのリーダーシップ研修会には、3年連続看取り介護の講師として、『看取り期のケアの理解〜介護施設の看取り介護の視点から』をテーマに、医療機関の看護師の皆さんにお話をして好評を得ている。今年も11月26日(土)に北海道ナースセンター(北海道札幌市)で同じテーマでお話しする予定になっている。
今後の我が国の死者数を考えると、2030年には47万人の人が、「看取り難民」になる可能性が指摘されている。今現在も、誰からも看取られることなく、死後も遺体が発見されないまま放置状態になっている「死」が存在している。
孤独死という定義に確定したものはないが、例えば殺人や自殺、事故死を除いた死で、息を引き取るときに周囲に誰も居らず、死体が24時間以内に発見されない死を「孤独死」と呼ぶとすれば、我が国では現在その数が年間3万件を超えているという。そして2025年には、その数が10万件を超えるのではないかとも言われている。
そうした孤独死をゼロにすることはできないだろうが、せめて隣人の存在を死臭によってはじめて知るという社会を「やむをえない」とするのではなく、人生の最終ステージをどこで過ごそうと、最期の瞬間まで安心・安楽の支援ができる地域社会を創ろうと取り組むことを大事にしたい。
そういう意味で、医療・保健・福祉・介護に携わる関係者は、看取り介護・ターミナルケアを、もっと身近な問題と考えてほしい。そうしたお手伝いもしていきたい。
そんな活動の一つである日総研出版社主催・看取り介護セミナー、PDCAサイクルの構築による命のバトンリレー〜『介護施設で〈生きる〉を支える看取り介護の実践』も、いよいよ7ケ所目の最終回を迎える。8月7日(日)10:00〜16:00、福武ジョリービル(岡山県岡山市)で開催予定なので、お近くの方はぜひこちらの会場にもお越しいただきたい。
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