(昨日の記事から続く)
29年4月1日施行事項の中で、ガバナンスの強化として、特定社会福祉法人については会計監査人をおこなければならないとされ、その他の法人も定款の定めによって会計監査人を置くことができるとされた。
特定社会福祉法人となる事業規模については、今後政令で定められることになるが、社会保障審議会福祉部会報告書では、次の2点のどちらかに該当する場合が適当であるとしている。
1.収益(事業活動計算書におけるサービス活動収益)が10億円以上の法人(段階的に対象範囲を拡大)
2.負債(貸借対照表における負債)が20億円以上。
これに該当する既存法人は、29年6月に開催する定時評議委員会で会計監査人を選任し、当該年度から会計監査を受けなければならなくなる。(貸借対照表及び収支計算書及びその付属明細書が監査対象。)
なお会計監査人は、公認会計士または監査法人とされており、後者の場合は、その社員の中から会計監査人の職務を行うべきものを選定し、社会福祉法人に通知しなければならない。
また定款に定めた理事の定数を超える員数の評議員で構成する評議員会は、すべての法人に設置することが義務なるが(現在は、介護保険事業のみを運営する法人に評議員会設置義務はないとされている)、その機能も単なる承認機関から、議決機関という位置づけになるとともに、役員等の権限及び損害賠償責任も法文として明記されている。
例えば評議員は役員等と連帯して社会福祉法人や第三者に対する損害賠償責任を負うこととなる。(改正法第45条の20、第45条の21)
しかし、この規定を見て、評議員になることをためらう人も多いのではないかと思え、評議員を必要定数確保できるかどうかが今後の大きな課題となりそうである。
どちらにしても来年度以降は、定款の変更や理事などの選任・解任に加え、「理事・監事の報酬の決定」も、評議員会で行われることになる。
評議員の選任方法は定款に定めることになるが、改正法第31条第5項「評議員に関する事項として、理事又は理事会が評議員を選任し、又は解任する旨の定款の定めは、その効力を有しない。」とされているので、その規定に触れる定めは無効となるので注意が必要だ。
このことについて平成20年10月14日の事務連絡(内閣府大臣官房新公益法人行政準備室)では次のような考え方が示されている。
※例えば評議員の選解任を評議委員会の決議で行うとした場合において、最初の評議員の人選が特定の団体や勢力の関係者で占められたときには、その後の評議員の選任も当該特定の団体や勢力の関係者によって占められることとなり、当該法人の運営が特定の団体や勢力の利益に偏る蓋然性が高くなることが考えられます。
このような事態を回避するため、評議員の選解任をするための任意の機関として、中立的な立場にあるものが参加する機関を設置し、この機関の決定にしたがって評議員を選解任する方法が考えられます。
それだけ新評議員は強い権限を付与されているのである。例えば、理事の解任も評議員の決議によって可能としているが、解任された理事が、その決定に不服がある場合は、、当該社会福祉法人の主たる事務所を管轄する地方裁判所に訴えを起こすことになる。
つまり新しい評議員会が、適切に機能すれば、どこかの社福のように、繰越金や運営費を個人試算のように勘違いして、必要のない設備等の増築資金に使うような理事長は、解任されることがありうるわけで、そうした暴走は防ぐことができるというわけである。
どこかの法人の評議委員に、是非なりたいものである。(笑
次に、社会福祉法人の財務規律の強化であるが、これは社会福祉法人の内部留保批判と密接に関連したルールであるといえる。(明日に続く)
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