僕は全国老施協の会員施設の勤務が長かったので、老施協関係者の方の知り合いは多く、全国各地の老施協研修講師としても声がかかる機会は多かった。しかしかねてより老健協会の研修会にも講師として呼ばれる機会はあり、千葉県や宮崎県の老健協会のように、繰り返しお声をかけていただいているところもある。

そんな僕が、4月から老健で勤務するようになったのであるが、北海道の老健協とはあまりつながりがなく、道内での老健協研修会には参加したことがない。そんななか、昨日は遠く南の、鹿児島老健協の方から声をかけていただき、来年3月鹿児島県老人保健施設大会で講演を行うことになった。(参照:masaの講演予定)。

老健の関係者の方々とつながりができるのは、今の僕にとっては貴重な機会である。ということで今後は、このブログでも老健の話題が増えるかもしれない。さて本題。

介護老人保健施設(以下、老健と略する)は、厚生省令第四十号の(基本方針)第一条の二で「〜その者の居宅における生活への復帰を目指すものでなければならない。」と定められているように、在宅復帰機能を持つべき施設である。

その在宅復帰機能をさらに高めるために、在宅復帰率やベッド回転率が一定条件を上回ることで加算算定できたり、より高い報酬を算定できたりする仕組みも取り入れている。このため現在の老健は、一般型老健・在宅復帰加算型老健・在宅復帰強化型老健という区分もできるのである。

しかしその老健の在宅復帰機能にも「ゆがみ」が見えたりする。

本来それは、リハビリテーションの機能レベルをきちんと担保し、その目的に沿ったサービス提供の結果、在宅復帰に繋がるものであるが、ベッド回転率と在宅復帰率を一定割合以上に保ち、「高い報酬を算定する」ということ自体を目的化して、あらかじめ入所期間を1月〜3月などと定めて、入所契約を結んでいる施設がある。

特に在宅復帰強化型老健の場合、報酬単価自体が高く設定されており、在宅復帰率やベッド回転率が算定要件を下回ると、その報酬を算定できなくなるために、そうならないようにあらかじめ在宅復帰を条件に、入所期間を定めている場合がある。

そしてそのような老健では、相談援助業務が、体のよい追い出し業務になっている場合がある。

しかしこのことは厳密に言えば運営基準違反である。

なぜなら次のQ&Aは、すべての介護施設に適用されるもので、在宅復帰強化型老健だとて例外ではないからである。

平成12年介護報酬Q&A Vol.1 【短期入所生活介護、短期入所療養介護】 「短期入所」と「施設入所」の違い

Q. 短期入所的な施設サービスの利用について、短期入所サービスとして行う場合と施設サービスとして行う場合の明確な基準はあるか。

A. 短期入所サービスについては、その運営に関する基準において「サービスの内容及びその利用期間等について利用申込者の同意を得なければならない」とされており、あらかじめ利用期間(退所日)を定めて入所するという前提がある。  したがって、あらかじめ退所日を決めて入所する場合、そのサービスは短期入所サービスであり、このようなサービス利用を「施設入所」とみなすことは、短期入所の利用日数に一定の限度を設けた趣旨を没却する結果につながるため、認められないものである。


このようなQ&Aがあるのも関わらず、期間を制限した利用を常態化していることは、明らかな運営基準違反であり、入所期間を定めた契約は、いくら重要事項として説明・同意を得ているといっても、それは法令上許されない無効契約ということになる。

ただしこのことはなかなか表面化しない。契約書自体に期間を定める旨を書いていない場合が多く、口頭で約束させられている場合がほとんどだからである。よって指導対象になっているケースもほとんどない。

だからといって、この状態を放置しておいてよいのだろうか。しかしいずれこの取り扱いは大きなしっぺ返しを食らうことにつながりかねない。

在宅強化型老健は、24年の報酬改定時に制度上位置づけられた新しい形の老健であり、老健の本来機能を発揮して中間施設としての機能を高める狙いがあった。しかしその後の3年間でその形の老健は思ったほど増えなかった。

それは在宅強化型老健が、既存型老健よりも収益率が低かったからである。その理由は在宅復帰を支援する専門職(訪問リハのセラピストなど)を数多く配置することによって、人件費がかさむことと、ベッド回転率と在宅復帰率を高めるために、ベッド稼働率が下がることにより収入自体が減ったことであった。

このため前回の報酬改定では、施設サービス費が件並み減額される中で、このタイプの老健は基本報酬が上げられている。それはこの老健をもっと増やしたいという意図が、国側にあるからであり、その意味は、老健のリハビリ機能を強化して、在宅に復帰できる人を増やすというアウトカムを求めているからである。

そうであるにも関わらず、アウトカムと関係なく、期間を定めた入所契約で、この高い報酬を算定している施設があることの実態が明らかになったとき、老健に対する縛りがさらに厳しくなることは容易に予測できる。

それは自らの首を絞めている状態ともいえるわけである。

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