来月(28年8月)から、介護保険施設入所者の居住費と食費の負担軽減に関する特定入所者介護サービス費(以下、補足給付ルールとする)のルール見直し第2弾が行われる。

現在、負担軽減されているのは利用者負担段階が第1段階(生活保護受給者と市町村民税世帯非課税の老齢福祉年金受給者)、第2段階(市町村民税世帯非課税で課税年金収入額+合 計所得金額が80万円以下)、第3段階(市町村民税世帯非課税で第2段階以外のもの)に該当する方々である。

このうち、第2段階と第3段階は、年金収入及び合計所得金額の合算額で判定しているが、いままでその計算式からはずされていた遺族年金及び障害年金といった非課税年金を、この額に含めて判定することになった。

これにより7月まで第2段階であった人が、第3段階となるケースが多くなっている。

例えば収入が遺族年金のみの方は、市町村民税世帯非課税なので第2段階となっていたが、遺族年金の年額が80万円以上であるなら、本年8月以降は第3段階となる。

この影響は負担費用が上がるというだけではなく、現在住んでいる場所を替えなければならないという結果にもつながりかねない大きな問題である。

従来型多床室と従来型個室が混在している施設の場合、施設の中で居室替えを余儀なくされる人も考えられる。それは負担限度額が上がって、従来型個室に住み続けることが困難になるケースである。

具体例を挙げよう。

老健の場合、従来型多床室の居住費の標準費用は370円/日であり、負担段階第2段階と第3段階の人も同じ負担額である。

一方、従来型個室を利用する場合の標準負担額は1.640円/日(特養は1.150円/日)であるが、負担段階第2段階の人は、490円/日(特養は420円/日)に減額される。

すると第2段階の人が多床室利用の場合と、従来型個室利用する場合の費用差額は、わずか120円/日しかないことになる。1月(30日)でみても3.600円の差である。よって多床室より個室利用を希望する人は少なくない。

ところが第3段階になると、老健の従来型個室の場合1.310円/日(特養は820円/日)になる。つまり老健入居者で従来型個室を利用している場合に、第2段階の人と、第3段階の人では、後者のほうが820円高くなるのである。これは月30日で計算すると、24.600円という額になり、大きな差額といわざるを得ない。

この8月から第2段階から第3段階に引き上げられた人で、老健の従来型個室を利用している場合、収入に変化はないのに、一月(30日計算)の自己負担額が24.600円増えるのである。そのような負担増が可能な人ばかりではあるまい。

そのために現在介護保険施設の相談員は、そうしたケースがないか確認しながら、2段階から3段階になって、利用料が変更となる利用者及びその家族に対し、8月以降の利用料を示しながら、今後の方針について協議しているはずである。

その結果8月以降、従来型個室から多床室に居室換えしなければならないケースがあるはずだが、限られた居室数・ベッド数の中で、やりくりをどうするのか悩んでいる相談員も多いことだろう。

やむにやまれず個室利用をあきらめる方を見るのもつらいものだ。個室利用を続けたい方に、経済状況を鑑みて居室替えをお勧めしなければならないケースならばなおさらである。

実質収入が変わらない中での、負担限度額増なのだから、経済的に負担可能な方でも、その変更に納得できずに文句を言われるケースもある。

国が決めたことだといっても、その説明は施設の場合、相談員に委ねられることが多いので、苦情の矛先が相談員に向かうこともある。それをじっと受け止め、国に変わってお詫びするのも相談員の役割である。

やっぱ、相談員はつらいよ、である。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

介護の詩・明日へつなぐ言葉」送料無料のインターネットでのお申し込みはこちらからお願いします。

人を語らずして介護を語るな 全3シリーズ」の楽天ブックスからの購入はこちらから。(送料無料です。