12日に厚生労働省が発表した国民生活基礎調査によると、65歳以上で一人暮らしの高齢者は2015年6月時点で約624万人(推計)となり、初めて600万人を超えたという。
夫婦などを加えた高齢者世帯は、全世帯の25.2%の1271万4千世帯で、14年から50万世帯増えたそうである。
このうち58.0%もの人が経済的に「苦しい」と感じているというが、この背景には、公的年金や恩給を受給している世帯の55.0%は、他に所得がないことによる。
(※「高齢者世帯」は65歳以上の人のみか、これに18歳未満の未婚の人が加わった世帯をさす。)
介護施設の入退所業務に携わっていると、経済問題は高齢期の過ごし方にも大きく影響することが実感される。
現在僕が働いているのは老健施設だから、終の棲家ではなく、中間施設と呼ばれる通貨施設である。基本的にその機能とは、医療機関と居宅の中間に位置し、何らかの理由で入院が必要となった人が、機能低下のために居宅に戻ることに支障がある際に利用し、リハビリテーションを受けて機能改善し、居宅に戻るという機能と目的を持った施設である。
しかし高齢者の場合、少しでも機能障害が残っておれば、インフォーマルな支援のない状態で居宅に戻ることは難しく、特に認知症の人の場合は、実際には自宅に帰ることが出来ないケースも多い。
その結果、特養やグループホームの待機期間を老健で過ごす人も多く、中間施設の意味が、医療機関と居住系サービスとの中間という意味合いも帯びてきている。
そんな中、年金受給額が徐々に減ってきており、年金だけではグループホームの利用料負担が厳しいために、食費と居住費の減免制度(補足給付)がある特養への入所という選択肢しかないケースがある。しかも昨年度からの特養の入所要件の厳格化により、原則的に要介護3以上の方しか、特養入所ができなくなったことで、要介護1及び2の方々で、老健から先の行き場所が見つからない人がいる。
今後、私たちが受け取るであろう年金額は、さらに厳しい額に減らされていくことが考えられ、我々自身の将来不安は尽きない。老後、豊かに暮らせる人は少ないというのが、我が国の現実である。
我々の老後は、年金だけでは生活困難となるのは目に見えているので、現役世代でできるだけお金を貯めておく必要があると考える人が多くなるのも当然である。それは結果的に、経済市場にお金が回らなくなるという意味で、日本の景気がなかなか良くならない一因を作り出している。
そういう意味で、社会保障費の削減策は、日本経済の足かせになっているとも言え、社会保障費は、社会の格差を縮めるための必要経費であるし、この国の経済をも下支えするセーフティネットだとして、きちんとそこにお金をかけるという策が必要とされるはずである。(参照:金子教授の「セーフティネット張替え論」)
ここの政策が根本的に間違っているのではないだろうか。そんな気がしてならない。
どちらにしても、先進国と呼ぶにはあまりにもお粗末な隙間だらけのセーフティネットしか張られていない我が国は、政治的にはきわめて貧しい国であると言い切ることができるだろう。
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