介護施設の相談員の業務は非常に広範囲に及ぶが、主要な業務として入退所支援業務があることに異論を唱える人はいないだろう。

入所業務の場合、相談員が窓口となって利用者もしくはその家族と対応することになる。そうなるとほとんどのケースで、利用者もしくは家族が、一番最初に相まみえる施設職員が相談員ということになる。

それはある意味、相談員の対応一つで、「施設のイメージ」が決まってしまうということだ。ここで利用者や家族にとって不愉快な対応をとってしまえば、それらの人々は、相談員個人に悪い印象を持つだけではなく、施設そのものに悪い印象を持たれてしまい、利用したくない施設と考えられてしまうかもしれない。

そのことは場合によって、施設の悪評につながっていきかねないもので、施設サービス全体を考えるとそれは大きな損失である。

逆に考えると、介護施設の相談員がお客様に好ましい態度をとることが、施設のイメージを引き上げる効果もあるということだ。

このように相談員の初期対応が施設の印象を決定づけるというう意味で、相談員はまさに「施設の顔」といってよいだろう。

そうであれば相談員には誰よりもビジネスマナーという視点が求められ、服装・態度・言葉遣いなどにも注意を払う必要がるという結論にならざるを得ない。

しかも昨今の状況を考えると、特養にしても老健にしても、顧客確保に苦労のない売り手市場であるという状況に変化が生じている。

入所要件が原則要介護3以上となったことで特養の待機者の数は大幅に減っている。加えてサ高住の建築ラッシュで、介護付き有料老人ホームやサ高住の空き部屋が増えており、それらの居住系施設では利用料金のダンピングと、強力なセールス活動が行われている。そこではサ高住と介護施設の価格差が縮まるという現象が生まれており、すぐに入居できて、設備も新しく住環境としては申し分がないとして特養の待機者がそこに流れ始めている。それに伴い、老健で特養待機していた人が、どんどん特養に入所し、老健の待機者も大幅に減っており、一部の特養や老健では、待機者がおらず、入所希望者もいないということで空きベッドが出始めている。

このことは地域住民にとって選択肢が広がるというメリットになる反面、介護施設の経営上は大きなリスクとなり、顧客確保が課題となって、相談員が営業に回ることを求められている施設も出てきた。それは決して良いことではないが、それほど介護施設の顧客確保は深刻な問題になりつつあるということだ。

そうであれば、介護施設は看板を掲げるだけで利用者が集まるという時代ではない等意識改革が必要で、顧客に選ばれる施設となるために何が必要かを考えなければならない。

勿論その基盤は、介護サービスの品質そのものであり、日常のケアの質を充実させて、死ぬためだけに別の場所に移る必要がない看取り介護・ターミナルケアができる施設にしていく必要があるが、その前に入り口段階で好印象を持たれないと、誰もその施設に入所してくれないなんてことが現実になる恐れがある。

それは施設の相談員に、ホスピタリティ(心からのおもてなしの意識)がないと、淘汰される施設になりかねないという意味である。

さらに今後の介護施設に求められるものは、他施設との差別化であり、そのためにはワンランク上のサービスの質を創る必要がある。そこでは施設サービスも接客業であるという意識が不可欠で、相談員は自らそうした対応を実践するとともに、他の職種に対しても、顧客に対する接し方に砕けた態度は必要とされないとして、ホスピタリティ教育の実行役としての役割を担っていく必要があるだろう。

今後の施設経営を考えると、施設の頭脳である相談援助職が、こうしたホスピタリティ教育のリーダーにならないと、利用者の暮らしの質は上がらないだけではなく、生き残っていくことが難しくなるだろう。

そういう意味で、施設相談員には意識改革が求められ、そうした状況理解につながる学びの場が必要である。

今週の木曜日(7/14)に札幌市のアートホテルズ札幌で行われる、「札幌市老人福祉施設協議会・生活相談員研究会」っでは、16:00〜18:00の予定で「相談援助職の役割と実務」をテーマとして、そのような話をする予定である。

平日の研修会で講師を務めるためには、仕事を休めねばならないので調整が必要だったが、今勤めている施設のある千歳市にも近い、札幌市の施設相談員の皆様には、今後何かとお世話になることもあろうと思って、今週土曜日の休みを返上して、木曜日に代休をとって講師役を務めることとした。ついでに当日おこなわれる懇親会にも参加させていただくことにしている。

会場でお会いする皆さん、どうぞよろしくお願いします。

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