介護保険制度の利用者数は、2001年度の287万人から、2011年度には517万人に増え、介護給付費も2001年度の4.1兆円から、2012年度の8.4兆円と倍増した。
その費用は、今後もハイペースで増え続け、厚労省の試算では2025年度には、19.8兆円に達する見込みである。この結果、社会保障費に占めるその割合も増加し、2012年度の7.7%〜2025年度には13.3%に達する。
その結果、制度開始当初は、その定着が課題であった介護保険制度は、このことによって制度持続性が課題と替わっており、厳しい財政事情が進む中で、効率化が不可避となり、給付抑制がやむをえないとされているのである。
その中でも、施設サーびスについては、給付内容が在宅で暮らす人との不公平があるとされて、居住費や食費の自己負担化が図られてきたわけであるが、それでもまだ施設利用者が費用面で優遇されているとする意見が多く、居住費と食費に対する補足給付の撤廃や、施設利用者の自己負担割合の引き上げを図って、居宅サービスを促す施策が必要だとする意見がある。
その背景には、介護サービスの利用状況について、居宅サービスが2001年度の200万人から2011年度には404万人(介護予防サービスを含む)と倍増しているのに対し、施設サービスは88万人から114万人と、1.3倍の増加にとどまっていることを理由として、小規模多機能居宅介護や24時間巡回サービスなどの新たなサービスの創設で、居宅サービスのメニューが多様化して、施設に入らなくとも自宅で暮らすことの出来る基盤が整備されており、介護保険制度の精神である、「在宅重視」をより一層進める必要があるとされるからである。
しかし居宅サービスと施設サービスの利用状況の数値を見誤ってはならない。
居宅サービスの利用状況が、施設サービスの伸びを抑えているといっても、介護保険制度上の居宅サービスとは、グループホームや特定施設などの居住系施設が含まれているということだ。
つまりその数値は、自宅で暮らし続けて介護保険の居宅サービスを利用している人の数値ではないという意味である。
ここに、アパートの全室を借り切って、そこに認知症の要介護者を住まわせて、そこからほとんど一歩も外に出さず、併設する訪問介護事業所のサービスを、支給限度額いっぱいまで提供する事業者を含まれてくる。さらに、サ高住の中で自社サービスに囲い込むような形でサービス提供したりする事業者を含めると、実際に自宅で暮らし続けるために、居宅サービスを利用している人の数はさらに減ることになる。
そもそも施設サービスの伸びが抑制された理由は、2012年に廃止された「参酌標準(介護施設と特定施設の利用者数を要介護2〜5の高齢者数の37%に抑える)」の存在によるところが大きいと思える。それは必要な施設を作っていなかったということであり、そのことが特養の待機者の数が減らない現状を作り出しているのだ。
つまり国民の介護ニーズは、最終的には居住施設をセーフティネットとして存在しているという意味で、インフォーマルなサービスのないところで、通所系・訪問系サービスのみで暮らしを支えることは、重介護状態になればなるほど難しくなるという意味である。
そして、それらを含めた介護の量は、2025年〜2040年ころまでの15年間が、需要のピークであって、それ以後は一気にその量的ニーズは減ってくることになる。介護事業経営は、この2040年以降をにらんだ形で、経営戦略を立てていく必要があるということになる。
そうであれば、事業の新櫃管理及び経営管理は、介護保険制度上の施設サービス、居宅サービスという分類で何かを考えてもどうしようもないということになる。経営者の方々は、ここを見誤ってはならないのである。
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介護保険制度が変動する中で見極めが本当に難しいです。現在、修業中です。
最近は、施設の経営は思ったより厳しく、在宅でヘルパーさんや訪問看護等を利用した方がいいのかな?と考え方も微妙に変化してきております。
masaさんの老後は、どのように長期目標を検討されていらっしゃいますか?