今月のCB newsの、快筆乱麻!masaが読み解く介護の今.3(2016/05/16)は、時期介護報酬改定時に導入が既成事実化しつつある、居宅介護支援費(ケアプラン作成)への、利用者自己負担導入について、反対の立場から書かせていただいた。

僕の連載は、有料サイトに掲載されているが、同じ時期の無料版のニュースには、ケアプラン有料化「断固反対」で署名活動-日本介護支援専門員協会 という記事が掲載されている。

それによると、日本介護支援専門員協会は、『ケアプランの有料化について、「この負担を強いることになれば、真にサービスを必要としている人が、必要な時に必要なサービスなどが利用できなくなる危険性がある」と指摘。その結果、介護保険制度の理念である、利用者の自立支援を著しく損ねることになると警鐘を鳴らし、有料化導入に強く反対している。』とされている。

どうもこの記事からは、ケアプランの有料化=利用者の自立支援を著しく損ねる、という論旨がつながってこない。これは担当記者の文章の問題なのか、日本海後支援専門員協会の理論展開の問題なのかは不明である。

おそらくこの論理の根幹には、僕が以前に「居宅介護支援費(ケアマネジメント)の利用者自己負担導入について」・「居宅介護支援費への自己負担導入は、介護支援専門員の職が奪われるという意味でもあるんだぜ」等で指摘しているように、利用者に媚を売って顧客確保しようとする居宅介護支援事業所が増えることと、お金のかからないセルフプランを無料で代理作成して、そのかわり利用者を囲い込むサービス事業者が増えることによる懸念したものとことを思われる。

そういう意味では、同協会の対応は、さもありなんといったところで、むしろ遅すぎる反応であると思う。

だってケアプラン有料化論は、前々回・平成24年の制度改正の頃から議論の遡上に上っていた問題で、いよいよ時期報酬改定では、その実現を図ろうとする勢力の、きな臭い動きが表面化してきたという情勢である。そうであればもっと早い段階で、反対の声で協会内部を統一し、「国民の不利益」という立場から反対の根拠を広くアピールすべきだった。

なぜならこの問題は、居宅介護支援事業の死活問題でもあり、強いては介護支援専門員という資格者の、おまんまの食い上げにつながりかねない問題だからである。

この自己負担化が実現すれば、お金を払ってケアプラン作成を依頼する人は確実に減るし、それに加えて、国は軽介護者のサービス利用を、介護給付からはずして、地域支援事業化して補助金方式に変えようとしているのだから、居宅介護支援の顧客は政策誘導で減っていくからである。居宅ケアマネの働く場が、どんどん失われていくのが、これから先の制度改正の目指す姿である。

しかしそのことは、介護支援専門員だけの問題ではなく、国民の福祉の低下でもある。介護保険制度以後、要介護高齢者は、すぐ身近に自分の担当と呼ぶことができる介護支援専門員がいるというだけで、安心感を持って暮らしていけるようになった。誰に相談するのかを考える必要がない状態=何かあったら、相談できる人がいるという安心感は大きい。

現に阪神・淡路大震災のときに存在していなかった介護支援専門員が、新潟地震以後、地域でどれだけ活躍したことか。行政が動く前にケアマネが状況把握して、助かったという要介護高齢者はたくさん居られる。そうしたケアマネジャーの中には、自らが被災者であるにもかかわらず、担当者の支援のために、被災地を駆けずり回っている人がいた。そういう人が少なくはないことにおいて、介護支援専門員の誕生は、この国の福祉の底辺を確実に上げているのである。

そういう人々が、支援活動を行う機械や場所をなくすことにつながるルール変更は、やはり改悪以外の何ものでもないのである。

そういう意味で、本来このことは、介護支援専門員だけではなく、国民全体が反対の声を上げるべき問題だと思うし、夏の参議院選挙の争点になってもよい問題である。

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