今朝のNHKニュースでは、夜間に介護施設での夜勤業務負担軽減につながる、見守り巡回ロボットが取り上げられていた。

施設内の決められたルートを巡回する見回りロボットは、居室の中も確認し、センサーでベッドに寝ている人の状態を確認して、寝ているべき人がそこにいないとかを知らせるだけではなく、発熱して様子がおかしいとか、健康状態の変化も察知して、モニターを監視する人に伝え、対応につながるというものだ。それはたいへん便利な機械であると感じた。

科学技術の進歩が、実用的な介護ロボットを安価に製造することにつながって、介護業界の業務省力化につながるのであれば、これは歓迎すべきもので、いちゃもんをつける何ものもない。

しかし今朝のニュースでは、このことを、「人手不足が深刻化する介護業界の、対策の決め手」のごとく紹介されていたことには違和感を覚えた。

人手不足対策が、介護ロボットの品質向上で解消されるほど、介護サービスという業務は単純ではない。むしろそちらの方面に偏って予算がつけられて、政策の方向性も偏ることによって、本当に必要な、「介護業界に人が張りつく」ための対策がなくなってしまうのではないかと危惧する。

よく考えていただきたい。夜間業務を行う介護職員は、グループホームで利用者9人に一人、介護保険施設ならば利用者25人に一人といったところだろう。

ここに介護ロボットを導入したからといって、夜勤者の数は減ることはない。せいぜい夜間の巡回業務の負担が軽減されるに過ぎない。

その業務軽減自体は、当事者にとっては大きなことなのかもしれないが、そのためにどれだけのコストが必要になるのかということとともに、ロボット導入で減った業務があるとともに、それによって増える業務はないのかという検証作業も欠かせなくなる。

見守りロボットが導入されるということは、ロボットが見守った結果をモニターする人が必要になるということだ。ではその監視のために、できなくなる仕事はないのだろうか。監視できない時間帯の、モニター結果はどうするのだろうか。

今朝の報道では、巡回ロボットは、あらかじめ設置されたレールの上を動くのであるが、そのルート上に車いすなどの障害物がおかれているとロボットが動かなくなるために、モニター画面の横に、操作盤があって、レールから外れて障害物をよけることができるという。しかしよけるためには、モニターを見て操作しなければならない。それは増える作業の一つである。

ニュースでは、異常があった場合の報知システムについて、モニター画面の色が変わったり、音で知らせたりするシステムになっていることが報じられていた。しかし夜間という特殊性を考えると、音での報知は好ましくないだろう。安眠を妨害する要素をなるべく設けないように想定するならば、携帯電話のマナーモードのようなシステムが必要になるだろうが、それはそれで、持ち歩いて安全に介護業務ができるのかという問題も生ずる。

認知症の人がいる場所なら、ロボットの動きそのものが混乱要素になる可能性もある。動き回るロボットに興味を惹かれて、それを触ろうとして事故や機械の故障が起きないかも危惧される。

どちらにしても、「介護ロボットの進歩と、介護現場へ導入すること」で、人手が少なくて済むという論理ではなく、「介護ロボットの進歩と、介護現場へ導入すること」で、業務が省力されて、働きやすくなることで、人手が増える、という方向を目指すのが筋である。

介護ロボットは、あくまでも補完。まずはマンパワーが十分確保されることを第一に考えないと、何の対策にもならない。

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