いよいよ多死社会に入った我が国では、2030年の年間死者数は、2010年の年間死者数より40万人以上増えると予測されており、これらの人々が終末期に、どこで過ごすことができるのかが重要な課題になっている。

そんな中で、要介護高齢者の命と暮らしを守るべき、「介護施設」の関係者が、「うちの施設では看取り介護をしない」とか、「ターミナルケアの対応はできない」といい続けているのは、社会的な責任を放棄した態度であると言われても仕方ないように思える。

そもそも看取り介護は、特別な介護ではなく、日常の延長線上にあるものであることを考えると、介護施設が「看取り介護ができない」というのは、「介護ができない」あるいは、「残念ながら、私どもは介護の専門家ではない」といっているのと等しく聞こえる。

現在、我が国では8割以上の人が医療機関で最期を迎えているが、医療機関死が在宅死を上回ったのは昭和52年のことであり、それまでは一般家庭で死を迎えることは当たり前であったのである。そこでは、死の瞬間に医師も看護師も居らずに、家族だけで「安らかな死」を看取ったケースが無数にあるはずだ。

僕達の施設には、24時間医師や看護師が常駐していなくとも、サービス機能としては医療も看護も存在している。介護の専門家は、24時間365日常駐している。

そのような中で、昭和50年代前半まで、大多数の家庭で行っていた、「看取り介護」を、介護施設という、より環境の整った中で実践しようとするのに、どのようなバリアが存在するというのだろうか。

よく言われることは、人手が不足し人員配置が厳しい折に、ストレスの多い看取り介護を行うことで、職員がさらに疲弊し、退職者が増えることになればたいへんだということであるが、看取り介護が職員のストレスになるというのは思い込みに過ぎない。

このブログでは何度も紹介しているように(参照:看取り介護)、そこで生まれるエピソードに職員は感動を覚え、自らの仕事の意義を知り、仕事のモチベーションにつながるのが看取り介護である。そしてそのことは離職率を低下させ、勤続年数の長い敬家なる職員により、ケアの品質が若い職員に伝えられるという好循環を生む。

最近もそのことは、「旅立つ人々から渡されるもの」という記事で紹介している。

そういう意味でも、看取り介護の正しい基礎知識と、適切な援助技術を学んだ上で、すべての介護施設が、「看取り介護」・「ターミナルケア」に取り組むべきである。

そのような知識と援助技術の獲得につながる、「看取り介護セミナー」を、今年も全国の様々な場所で開催する予定である。現在決まっているものを下記に紹介したい。

その皮切りは、5月29日(日)10:00〜16:00に福岡市で行う、日総研出版主催「看取り介護セミナー」である。このセミナーはすでに100人近い方からの参加申し込みがあり、当初予定していた日総研 研修室(第7岡部ビル)では人が入りきらないために、会場変更して、九州ビルでのセミナー開催になっているので、ご注意いただきたい。

日総研看取り介護セミナーのスタート場所だった大阪では、別の研修主催者が看取り介護セミナーを計画している。

28年6月12日(日)10:00〜13:00に、ウェルおおさか大阪市社会福祉研修・情報センター4階会議室 大阪府作業療法士会主催研修では、「生きるを支える看取り介護の実践〜PDCAサイクルの構築による命のバトンリレー〜」をテーマに3時間の講演を行う。

28年7月1日(金)16:00〜18:00は、大阪市立社会福祉センター3 階 第 1 会議室にて 一般社団法人・大阪市老人福祉施設連盟主催研修が開催され、そこでも同じテーマで120分講演を行うことにしている。

そして日総研看取り介護セミナーの締めとして、8月7日(日)10:00〜16:00 岡山市の福武ジョリービルにて、10:00〜16:00まで、PDCAサイクルの構築による命のバトンリレー〜『介護施設で〈生きる〉を支える看取り介護の実践』を予定している。

張り付いているリンク先の研修案内をご覧になって、お近くの会場に、ぜひおいでいただきたい。

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