この4月から、勤め先が特養から老健に変わって、一番違うなと感じたことは、介護報酬の取り扱いである。

老健の場合、いわゆる「マルメ」という医療費部分が包括された報酬体系であり、常勤専従で医師配置義務のある老健ですべき診療部分の報酬が含まれており、薬代や他科受診の費用は(例外を除いて)、老健が支払うことになっており、この費用については、診療報酬も算定できないし、利用者負担もない。

これに比べて特養の場合は、医師配置義務はあるが、勤務時間の定めはなく、診療や治療というより、健康管理が主たる業務であるために、他科受診も一般家庭に住む人と同じ扱いで、薬代等も診療報酬請求+本人自己負担である。

特養の中で診療や治療が必要になった場合は、施設配置医師がその治療に当たるわけであるが、これも診療報酬の算定が可能になるが、この場合は、施設配置医師の所属する医療機関の外来診療扱いとなって、診療報酬請求することになる。

その際に、算定できない費用になどについて定めているものが、医政局通知:「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」である。

ここでは、利用者に対する診療を、特養で診療を行った場合であっても、介護報酬に含まれているとされる、初診料・再診料・往診料などの診療報酬を算定できない費ことなどを通知しているが、本来その内容は、診療報酬を算定する医療機関等が確認すべきものである。

しかし同時のそのことは特養で行われる診療行為や看護処置、他の医療機関への受診に関係してくるために、特養の職員も内容を知っておく必要がある。

たとえばここでは、「3 保険医が、配置医師でない場合については、緊急の場合又は患者の傷病が当該配置医師の専門外にわたるものであるため、特に診療を必要とする場合を除き、それぞれの施設に入所している患者に対してみだりに診療を行ってはならない。」としており、施設所属医師以外の診療行為を制限している。

この通知はショートステイも対象としているために、特養のショートを利用している人は、滞在中、かかりつけ医師がいたとしても、慢性疾患に関する治療も投薬に関する診療も、基本的に施設配置医師が行うことになるものである。

ところでこの通知で悩ましい部分があった。

8 特別養護老人ホーム等の職員(看護師、理学療法士等)が行った医療行為については、診療報酬を算定できない。

↑このようにされていたため、特養に看護職員が配置されているのに、利用者がインフルエンザなどで点滴の必要性が生じた場合でも、特養の看護職員が点滴の針を刺したり、補液するなどしたら、この行為に対する診療報酬の算定ができなかったのである。

診療報酬を算定するためには、医師自身か、意思が所属し診療報酬を算定する医療機関の看護職員を別に連れてきてその行為を行う以外なかった。

もちろんこの部分だけを保険外診療とすると、混合診療となり、それは法律違反となる。

そのためこの通知が、特養の利用者を診療するには大きなネックになっており、看取り介護を行う支障にもなっていた。

ところがこの通知が改正された。

「特別修護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」の一部改正について

改正の通知文は上記であるが、ここの次の文章が変更になった部分である。(〜ただし以下の文章)

7 特別養護老人ホーム等の職員(看護師、理学療法士等)が行った医療行為については、診療報酬を算定できない。ただし、特別養護老人ホーム等に入所中の患者の診療を担う保険医の指示に基づき、当該保険医の診療日以外の日に当該施設の看護師等が当該患者に対し点滴又は処置等を実施した場合に、使用した薬剤の費用については診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)別表第1第2章第2部第3節薬剤料を、使用した特定保険医療材料の費用については同第4節特定保険医療材料料を、当該患者に対し使用した分に限り算定できる。また、同様に当該看護師等が検査のための検体採取等を実施した場合には、同章第3部第1節第1款検体検査実施料を算定できる。なお、これらの場合にあっては、当該薬剤等が使用された日及び検体採取が実施された日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

この改正によって、配置医師のいない日も、特養の看護職員によって、配置医師が指示した点滴等の治療行為を行う幅が広がった。特養の医療体制の充実につながる改正であることは間違いない。

特養関係者は、もっとこのことを評価しても良いのではないだろうか。

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