経済産業省が3月24日付で発出した、「将来の介護需要に即した介護サービスに対する研究会 報告書」によると、IT活用や介護ロボットの導入によって、人材難への対策が可能であることが示されている。

そこには、次のような人材対策が示されている。

・施設サービスに、見守りセンサー・ケア記録等の電子化・排泄支援機器を導入した際の効果を試算すると、2035年時点で35万人の介護人材需要が抑制される見込み。
・居宅サービスに、ケア記録などの電子化をはじめとした機器を導入した際の効果と、介護(予防)サービス受給者の集住による効果を足し合わせると、2035年時点で16万人の介護人材需要が抑制される見込み。

つまり、2035年時点で68万人不足するといわれていた介護人材が、IT機器活用や介護ロボット導入で、その不足数が17万人に圧縮できるというのである。

さらに機器導入、処遇改善等による離職率低下と、高齢者雇用の拡大により、その不足分17万人の確保も可能となり、結果的に機器・ITの導入による労働時間、労働負荷の軽減、高齢者等の潜在的なソースの活用、集住の促進などによる介護需要密度の向上によって、68万人の介護人材不足は解消することができるとしている。

これが現実のものとなるに越したことはないのだから、その実現を目指して一層のテクノロジーの向上を進めてもらいたい。

ただ、このことが現実感を持って、関係者に受け取られるかということになると話は別である。

IT機器導入部分については、例えばタブレットの活用による記録の電子化はぜひ進めてほしいが、その前に法令で求める記録の簡略化が先だろうと思う。

そもそも記録の電子化についていけないスキルの人員が、介護の現場にはたくさん存在しているという現実も理解する必要があるだろう。それだけ安かろう、悪かろうというサービスになってしまいつつある現実は、介護政策の根本的な失政ではないのだろうか。

また介護ロボットの過度な期待は禁物である。現在のテクノロジーは、介護サービスの現場で、劇的な省力化が図れるほど高くはない。

例えば介護者のパワーアシストを目的とした、装着型解除ロボットも、ある場面や、特定の個人を取り上げれば、高い効果が見込むことはできるが、すべての場面でそれが有効になるということはなく、巧緻性が必要な場面では、逆にデメリットが大きいという面が見られる。

施設の夜間業務を大幅に短縮させると理論展開されている、「排泄支援機器」については、介護者の視点からしか論じられていないが、装着される利用者は、おむつが群れる不快感はなくなるといっても、機器をつけられたまま、動きが不自由にされて臥床状態で、長時間誰からも対応がないことに不快感は生じないのか?実際に自動排尿装置を装着されている人の表情からは、快適な状態は見て取れない。

しかもオムと交換が必要な利用者は、多くの場合、体位交換も必要で、おむつ交換と体位交換はセットで実施されているはずである。おむつ交換はしなくてよいといっても、体位交換はしなくてよいことにならず、むしろ「排泄支援機器」を装着していることで、体位交換はより手間とコツが求められ、この部分の業務量は増えさえすれ、減ることにはならないのではないのか?

報告書の業務省力される時間は、この部分を見込んでいないように思える。

さらに、「現状の介護ロボットに過度の期待を寄せてはならない」で指摘した、機器導入に関するリスクマネジメント、習熟・活用訓練時間が増える点は、ここでは無視されているといってよく、現実的な介護人材不足対策とは言えないのではないかと感じた。

機器開発と技術革新が、さらに進んで、この報告書に書いていることに近づいてくれることを願ってはいるが、そういう意味で現実感は持てないのである。

また「高齢者雇用の拡大」というが、現実にそれはすでに拡大していて、介護事業者の雇用者の平均年齢は上がっている。しかも夜勤を伴う体力が必要という仕事の人員不足が深刻化している現状を考えるならば、これ以上高齢者を活用できるかということについては大いに疑問が生ずる。

集住は必要な政策であるが、それは地域包括ケアシステムを推進するだけでは実現しない。政策として、「住み替え促進」をもっと具体化して、先祖代々のお墓がある土地からの移住も必要であることを、もっと国民に説明すべき責任が政府にはあると思う。

実現すればうれしい報告書ではあるが、あまりにも羅漢的すぎるようぃ根拠に立って論じているように思えてならない。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

介護の詩・明日へつなぐ言葉」送料無料のインターネットでのお申し込みはこちらからお願いします。

人を語らずして介護を語るな 全3シリーズ」の楽天ブックスからの購入はこちらから。(送料無料です。