仙台で社会福祉士養成校の責任者をされておられる鈴木 宏之先生とは、フェイスブックで繋がりができたのをご縁に、先月、「日総研出版社看取り介護セミナーin仙台」のために仙台入りした日に、オフ会を開いていただき、仙台の介護福祉関係者の方々との新しい繋がりを作ってもらうなど、大変お世話になっている。
その鈴木氏が、今朝のタイムラインに次のような言葉を書いておられた。
『仕事の成果を客観的に働いている人たちに理解させることができている事業所は人材の流出は余り無く、そうでない人員配置基準上の事だけで人材を求めている所は、いつも求人が出ている状態。』
『何にチャレンジしているのかを明確にする必要もあるように感じている。』
まさに正鵠を得た言葉だと思い、鈴木氏の承諾を得てここに紹介させていただいている。
僕が現在施設長を務めている施設も、職員の定着率の高い施設であるが、その理由はまさに、看取り介護終了後カンファレンスを通じて「仕事の成果を客観的に評価している」からであり、同時に「次の人につなげる看取り介護の質」に常にチャレンジしているからだと思う。
そう実感したのも、鈴木氏のタイムラインの言葉を読んだその朝に、「看取り介護終了後カンファレンス報告書」が挙がってきて、その内容を読んで、あらためて僕の施設は、どこにも引けを取らないよい介護をしていると思えたからだ。報告書の内容から抜粋して紹介させていただきたい。

本ケースについては、看護部門から次のような評価があった。
・入園当初から全身状態が悪く、状態変化する都度に医師、看護師から家族に説明をしていました。最初は娘さんがなかなか現状を受け入れることができずにいたように感じていましたが、徐々に心の準備ができており、自然な流れで看取り介護が開始できたと思いました。
担当ユニットの職員は次のように評価している。
・看取り開始になる少し前に、熱発し臥床して過ごされることが増えていた期間があり、CWから家族の方へ「今後、臥床時間が少しずつ増えていくかもしれないので、お部屋で歌を聴いて過ごしてもらえたらと思うので、CD等を用意していただけないか」という提案をさせていただき、すぐに家族の方が用意してくれたので、「看取りだから、新たに居室内で過ごす時間が増えるから、あれをしなくちゃ。これをしなくちゃ」ということもなく、スムーズに看取り介護に移行出来た様に感じる。
担当ユニットの責任者は次のような評価をしている。
・職員一人一人の看取り介護への意識が確実に高まっている実感があります。全てではないが、前回の反省を活かし援助を行えているように思えます。看取り介護とは、特別な援助をするのではなく、日頃の援助の延長であって、日頃からきちんと出来ていなければよい看取りの援助は出来ていないと思い、今後指導していきたいと思います。
介護全体の責任者である係長の評価に次のような言葉が添えられていた。
・正職、契約職員、パート職員といった立場に拘らず、自分が教えられることは教えていこう、素直に教わっていこうという姿勢が整った環境ユニットであると評価します。
・退園時に娘さんから、「本当に良くしてもらいました。こんな優しい人たちばっかりで良い施設はないよ。私、恩返しの為にみんなに言って歩く。緑風園の宣伝マンになるから!」との感謝の言葉を頂戴しました。この言葉が全てを物語っていると思いました。
相談室長(管理職)カラの評価にも以下のような言葉があった。
・外部で実施されている看取り介護研修へ参加したり、他施設職員との話から、看取り介護を当たり前に実施できている当園がいかにすごいかを実感しています。入所申込をされる方たちが一番心配することは、料金と死ぬまで対応してもらえるのだろうかという事だという話を聞きました。当園で生活される方たちが安心して暮らせる施設に、これからもなっていきたいと思いました。
最後に、キーパソンであった娘さんから送られてきた、アンケートに書かれている言葉を紹介したい。
・寝たきりで話すことのできない母に、「○○さん、○○さん」と耳元で声掛けして頂いているのを見ると、嬉しくて胸がいっぱいになりました。
・○○先生(医師のこと:筆者注)から、容態をわかりやすくお話ししていただいていたので納得もできました。「いつ何が起こっても不思議でないので、心の準備をしておいてください」と言われ、概ね冷静な気持ちを維持できました。
・○○看護係長、○○看護師から、母のところに行くたびに、1日1日の変化を説明して頂けたので、病状を把握することもできて良かったです。
・とてもあたたかい介護を受けて安心感をもらいました。介護さんから「こんにちは」と言われると、私自身心が癒されました。やっぱり今日も、母のところに来てよかったなあと思ったりしました。
自由記載の意見の欄には、関係した職員の氏名を書いて、一人一人に温かい言葉を書いていただいた。そして次のような言葉で、アンケートの意見は結ばれている。
・母の最期が、緑風園であったことを本当によかったと思っています。本来なら私がやらなければならなかった母の世話、介護の全部を緑風園で最後の最後まで、あたたかくお世話になりました。私は母が大好きだったので、本当に感謝申し上げます。
日常ケアの延長線上に、ごく当たり前に「看取り介護」というものを見据え、それを特別なケアとせず、看取り介護につながる日常の介護の質を向上させることを日々の目標にし、人生の最終ステージを過ごす人々に自然に寄り添って、そこで最後まで尊厳ある人間として生きる人に、真摯に寄り添うことを続け、そのすべての過程を、「看取り介護終了後カンファレンス」の中で、多職種協働で冷静に評価する。
そのことが自らの仕事の成果を評価することになるし、次なるチャレンジにもつながる。
その中で、ご遺族となった家族から、このような温かい言葉をいただけるのであれば、それは何よりのモチベーションだと思う。
そう考えると介護とは、その使命をしっかり自覚し、誇りを持ってその業務に携わり、一つ一つの結果を評価して次につなげるという地道な努力が必要になる。そしてその継続の先に、人の暮らしぶりを良くするために関わりを持ち、最後には命のバトンリレーにも関わることができるというモチベーションにつながるのだろうと思う。
僕は過去に、この施設の看取り介護の骨格を構築し、その途中で全国に先駆けて「看取り介護指針」を作り、「看取り介護終了後カンファレンス」や、家族の意見を取り入れるための、「アンケート」などを作り、「愛する人の旅立ちにあたって」というパンフレットを作って、看取り介護中の家族の不安解消に努めるなど、この施設の看取り介護実践のシステムを作ってきたという自負はあるが、それもすべて、看取り介護の場で真摯に寄り添う職員が存在していたからこそできたものである。
僕の施設の職員は、みんな本当によく頑張っている。もう僕がいなくても大丈夫な施設になった。
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