施設の介護支援専門員の立場と役割が、まだまだ理解不足である現状がある。

そもそも施設の介護支援専門員として発令を受けている本人が、施設ケアマネってどのような存在なのかを理解していない場合がある。そういう人たちが、束になって施設ケアマネの役割論を作ろうとしても、それは的外れなものにならざるを得ない。

施設ケアマネがどのような存在で、施設内でどのような業務を担うのかということを、一言で表すとしたならば、『施設で提供するサービスの目的や方法を言語化できるソーシャルワーカー』と表現でき、そこでは様々なものを繋ぐ調整力が求められるのである。

勘違いして欲しくないことは、施設ケアマネの仕事が、ケアマネジメントに特化して考えられることである。ケアマネジメントは、社会福祉援助技術の一つに過ぎず、施設ケアマネは、施設サービス計画というツールによって、その内容の展開と検証作業の過程で、ケアマネジメント技術を使いこなす必要はあっても、それはソーシャルケースワークの展開の過程にしか過ぎず、ケアマネ業務の全てではない。

さらに言えば、ケアマネジメントとは、基準省令第12条に書かれているアセスメントからモニタリングまでの、施設サービス計画作成過程のみではなく、施設サービス全体をコーディネートする一連の過程をも全て含んだものである。相談援助職として調整する過程もマネジメントの範疇である。それをマニュアル化できるとでも言うのだろうか?

相談援助職という基盤があってこその、ケアマネジャーであり、『相談員の仕事を兼務しているから、施設ケアマネの業務に専念できない。』というのは、極めて馬鹿馬鹿しい理屈であり、本来相談援助そのものである相談員業務と、ケアマネ業務は切り離すことはできないものなのである。

施設ケアマネと相談員の関係性を考える際には、専門看護師と看護師の関係性を当てはめるのがわかりやすい。

専門看護師とは、複雑で解決困難な看護問題を持つ個人、家族及び集団に対して 水準の高い看護ケアを効率よく提供するための、特定の専門看護分野の知識・技術を 深めた看護師であり、施設ケアマネとは、まさに介護保険制度とケアマネジメントのスペシャリストとしての知識と技術を持った専門相談員なのである。

専門看護師が、看護師業務をしていたら専門看護師業務ができないと嘆いたら、お前馬鹿かと言われるように、介護支援専門員が相談員業務をしていたら、ケアマネ業務が出来ないと嘆くことほど滑稽なことはないのである。

そもそも法令上の施設サービス計画作成過程では、サービス担当者会議と他職種への照会は同列に書かれ、やむを得ない事情がなくても、会議を開かずに照会のみで計画を作成して良いことになっている。これは居宅介護支援事業所の居宅サービス計画作成ルールと異なっているルールであり、それは同一施設内の他職種連携は、会議を行わなくても容易に可能であることに配慮したものであることに加え、もともと相談員が施設内で様々な連絡調整の役割を担っており、そのことが評価されているという意味もあるのだ。

施設ケアマネとは、相談援助の専門技術を身につけたソーシャルワーカーなのだから、相談員の中でスーパーバイザーとなり得る、相談援助職のリーダーであり、施設内の頭脳であり、PDCAサイクル構築の旗振り役である。

そして施設によって様々な暮らしが存在するのだから、そこでの業務内容が違ってくるのは、ある意味当たり前のことであり、無理な雛形に業務統一する必要はないものである。ソーシャルワークとは、本来その枠を取り払って、臨機応変に対応することが求められるのである。

ケアマネ実務を経験したこともなく、施設ケアで結果を出したこともない大学教授が何を教えたのか疑問だが、施設ケアマネが、相談員としての役割を基盤としているという根本理解のないままの施設ケアマネ業務マニュアルなど、全く意味のないものといえよう。

ここの部分の理解がないケアマネ専門部会は、非常に残念な存在である。

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