安部内閣が閣議決定した「骨太の方針」は、社会保障費の伸びを、現行の1兆円から五千億円に抑制するというものだ。

その中で、次期介護保険制度改革に向けて、高齢者の有する能力に応じ自立した生活を目指すという制度の趣旨や制度改正の施行状況を踏まえつつ、軽度者に対する生活援助サービス・福祉用具貸与等やその他の給付について、給付の見直しや地域支援事業への移行を含め検討を行うとしている。

このことに関し、12月10日に発刊されている、「シルバー産業新聞」5面において、ケアマネジャーを対象としたアンケート調査結果を掲載している。

それによると、この方針に賛成は23%、反対は75%となっている。

賛成の理由としては、「制度の持続のためにはやむを得ない」という意見が多く、反対の理由としては、「軽度者でも、サービス利用によって自立した生活ができている」というように、サービス抑制によって自立が阻害されることを懸念する意見が多い。

是非このアンケート結果の詳細を参照してほしいと思うが、僕も軽度者のサービスを介護給付から外すことには反対意見を持っている。

しかし僕が一番それを懸念する理由は、この方針に賛成の人たちが挙げた、「制度の持続のため」反対であるというものだ。

給付の見直しという意味は、一部のサービスについて地域支援事業にするのみならず、保険給付の対象から外し、原則自己負担のサービスとし、所得の低い人には補助するという仕組みを想定している。それは今年度の制度改正で、地域支援事業へと移行された予防訪問介護と予防通所介護がまずターゲットになるだろうし、加えていま議論に昇っている福祉用具貸与がターゲットになってくる。

自己資産となり保険給付にそぐわないという意見がある住宅改修もそこに含まれてくるだろう。

しかしそれで終わりではない。今年度の制度改正では、特養の入所要件を、原則要介護3以上としたのだから、すでに給付要件を特定介護度以上に制限することは、「前例」となってしまったのである。するとこのことを橋頭堡にして、制限は限りなく広がる可能性があり、その先には全サービスについて、介護給付については、原則要介護3以上を対象とするということもあり得るのである。

しかし、これは国民との約束に背くものだ。

なぜなら介護保険は、一定年齢になればすべての国民が保険料を支払わねばならない、「強制加入方式」をとっている。しかも一定の年齢になったとしても、介護認定審査で非該当とされるなどで、保険事故に該当しない場合は、保険給付を受けることができず、保険料も戻ってこないという、「掛け捨て強制加入方式」なのである。

そこでは介護予防が必要になった状態像をはじめとして、給付条件を広げて、一定の年齢や一定の疾病による身体状況の変化に対応して、誰もが保険料を支払っていることによる権利として、保険給付を受けることができるという約束事があるから、この制度は成り立っているのである。

つまり掛け捨て強制加入の保険方式ではあるが、大部分の国民は、要介護状態になることによって保険給付を受けることができるという約束であり、要介護と認定されても、サービスを受けられない状態が生ずることは、制度創設時の国民との約束に背くものと言える。

給付制限が広がって、要支援では原則保険給付が受けられず、要介護になっても軽度認定では使えるサービスが制限されるというのでは、制度への信頼性が損なわれ、被保険者の保険料支払い意欲を著しく削ぐことになろう。

2号保険料は現役世代が負担しているので、サラリーマンの場合、その妻を含めて保険料は給与から天引きされているので、滞納ということはあまり考えられないが、自営業者の場合、窓口で保険料を支払う方式であり、この滞納が進むだろう。

1号保険料も、老齢福祉年金と恩給を除いては、年間18万円以上受給されている年金は原則、特別徴取として年金天引きになるため(転入や年齢到達などの例外はある)、ほとんど滞納の心配はないのだろうが、そうであるがゆえに、強制的に支払わされている保険料負担が重いのに、いざ介護認定を受けて、要介護1と認定されても、自分が使いたいサービスを使えないということが増えるのであれば、介護保険制度そのものが必要のない制度というううに、国民がそっぽを向いてしまうだろう。

ここが一番懸念されることなのである。そういう意味で、保険財政が厳しいと言って、給付制限を広げることは、制度の持続性を低める可能性があるということである。

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