当施設では、2007年12月〜2008年1月にかけて、ノロウイルスの集団感染が発生し、終息までに時間がかかった苦い経験がある。
その際の報告は、「ノロウイルス感染経過報告1・感染源」、「ノロウイルス感染経過報告2・感染拡大状況」、「ノロウイルス感染経過報告3・拡大要因について」、「ノロウイルス感染を振り返る・想定外のこと」に詳しく書いているので、参照のうえ反面教師としてご活用いただきたい。
その後も、単発的にノロウイルス感染者が出たことはあるが、感染拡大を防ぐことはできており、集団感染という状態には至っていない。だからと言って、今後も感染拡大を100%抑えることができるとは言い切れないところが、このウイルスのやっかいなところである。
今年はそのウイルスが新型で、過去最大の感染拡大が懸念されているところであり、より警戒レベルを上げて対応する必要がある。管内の保健所の感染情報は、毎日チェックが必要だ。
集団感染が発生すると、利用者の健康被害に直結するだけではなく、施設経営上のリスクにもつながりかねない。介護報酬の大幅な減額がされた今年度は特に、空きベットが生ずるのは痛い。しかし集団感染が発生すれば、新規入所も停まるし、なによりショートステイの受け入れもできなくなり、収入減となるからである。そのため感染予防対策は、経営リスクを減らすためにも万全の対策が求められる。
僕たちが日常的に行う感染予防対策は、特別なことではない。よく言われるように、手洗いとうがいの励行が大事である。しかしこれも掛け声だけで、アリバイ作りのようにおざなりになっては、いつウイルスが侵入する隙になるかわからない。手洗いは、手を濡らせばよいというものではないので、しっかりウイルスを落とすことができる定められた方法で、丁寧に十分な時間をかけて行うことが必要となる。
また職員自身あるいは家族に、感染の疑いのある症状が少しでも出た場合、無理して出勤せず、「休む勇気」が求められる。きちんと受診して、ウイルス感染していないことが確認されてから出勤しないと、自らが感染源になってしまう恐れがあることを自覚してほしいと、この時期何度もアナウンスしている。
過去の感染拡大では、感染者の吐しゃ物から空気中にウイルスが飛散し、それが感染源になり広がったのではないかと言う疑いが濃く、おう吐した人がいたら、速やかに対応して空気中へのウイルス拡散を防ぐという対応が求められる。そのため施設内には、いたるところに嘔吐に対応する物品をまとめたセットが置いてある。この中には、吐しゃ物にスプレーしてウイルス拡散を防ぎ、消毒する製品も含まれている。
感染予防対策には、それなりの費用もかかるが、感染拡大した場合の対応費と比べると、それは低い額で収まるので、この部分には必要経費を惜しまないことが重要である。
おう吐する人がいた場合は、基本的にすべてノロウイルスの疑いを持って対応することにしている。その中には、ノロウイルスの症状とは少し違うのではないかと思われるおう吐もあるが、万が一に備えた対応をしておかねば、もしもの場合、感染は一気に狭い施設内に広がってしまうのである。
昨日もお昼ご飯を食べた後に、おう吐した方がおられる。その方は、数日間の便秘症状が見られ、食欲もあまりない状態で、頑張って無理して食事を摂取したという状況があり、そのためのおう吐であるように思えたが、一応ノロウイルスを疑う対応とした。
吐しゃ物の対応は、「おう吐対応セット」によって漏れなく行った。便が採取できないために、ウイルス検査ができないので、24時間の経過観察を行うことにした。この方は個室に住んでおられるため、この間は個室から出ないようにし、職員の入退室の際にも、感染予防対応をとるようにたいさくするとともに、本日の昼まで、行事などの集団活動は休止することとした。
また対象者の方の居室があるユニットの方々はユニット内で過ごしてもらい、他ユニットの利用者の方々には対応者のいるユニットへ行かないようにお願いし、人の流れを一部制限した。
おかげさまで、この方はその後のおう吐も下痢もなく、ノロウイルスではないと判断できるために対応解除となり、今日の午後からは特段の制限もなく、日常の対応に戻すこととしている。利用者の皆様には、ご不便をおかけしたが、これも感染予防に万全の対応を行うためでありご理解いただきたい。そのあたりの説明が十分行われたのかを、今日の午後から確認したいと思う。
ところでこの対応を行っているため、僕自身も外出予定を変更し、昨日から今日にかけては、施設外の方にお逢いすることを避けていた。自分が感染していないとも限らないからである。
しかしある知り合いのフェイスブックの情報では、道内のある施設で、ノロウイルスの集団感染が発生し、終息していないにも関わらず、そこの施設長が会議に参加してきたという内容が書かれていた。おそらく自分に症状が全くないために問題ないと考えたのだろうが、施設内の集団感染が収束していない段階で、関係者が多数集まる会議に参加することは、エチケットとしてもどうなのだろうと首をかしげた。何よりも一緒になる他の方々が不安になるだろうに・・・。
そうした時期は、出来るだけ外部の会議や研修への参加は自粛するのが本来ではないだろうか。他施設や他事業所の感染源に自分がなってしまったらどのように責任を取るのだろう。ふとそのようなことを考えた。
北海道ではインフルエンザも流行の兆しを見せている。高齢者が感染して体調を悪化させた場合、それはその方のその後の人生に影響を与えるほどの機能低下の原因にもなりかねない。
そういう意味でも、しばらくは注意したりないということはなく、万全に万全を積み重ねた対応を心がけようと思う。
※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。
介護・福祉情報掲示板(表板)
「介護の詩・明日へつなぐ言葉」送料無料のインターネットでのお申し込みはこちらからお願いします。
「人を語らずして介護を語るな 全3シリーズ」の楽天ブックスからの購入はこちらから。(送料無料です。)
療養室、隔離部屋を儲けることも出来ず、それ以前に、職員のノロキット(ディスポのガウンとか)は、ディスポで無く使い回し。上が言うには、「費用がかかるから」だって。
オムツの使いすぎも言われるし、ディスポグローブの使用量が多すぎるとも言われる。
何を考えているのか。