制度改正のたびに、「適切にアセスメントができていないのではないか」とやり玉にあがるケアマネジャーとケアマネジメント。

それは介護支援専門員の質に個人差があって、出来る介護支援専門員がたくさん存在する一方で、ソーシャルワーク技術のない介護支援専門員もたくさんいるということが問題となっていることによるものだ。

同時のこのことは、医師や看護師は技術があって制度ができたのに比べ、介護支援専門員は技術の前に制度ができたことによって、厚労省は医師を指導できないけどケアマネは指導できるという、資格創設の背景が起因している。
(※「第2回介護支援専門員の資質向上と今後のあり方の関する検討会」における日本福祉大学の野中構成員の発言より引用。)

しかし当初、介護支援専門員を被告席に立たせて糾弾するかのような議論が行われた、「介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会」は支援技術などを含めたスキルの差を埋める必要があるという結論に達したものの、最終的には介護支援専門員の仕事ぶりと、その価値を認め、なくてはならぬ職種であると結論づけている。

その中で検討すべき課題として、「利用者像や課題に応じた適切なアセスメント(課題把握)が必ずしも十分でない」、「サービス担当者会議における多職種協働が十分に機能していない」、「ケアマネジメントにおけるモニタリング、評価が必ずしも十分でない」といったことが指摘されていることに対し、こうした指摘の背景には、介護支援専門員がどのように考えて課題を抽出したのかの経緯が文字化されていないために他の職種からは分かりにくいこと、課題把握等のプロセスには経験に基づく学習を要する一方で業務経験年数の短い介護支援専門員も多いことといった要因があるという観点から、「課題整理総括表」と「評価表」という新たな書式が作成され、それを介護支援専門員が活用することを推奨している。

しかしそれはあくまで活用書式であり、作成義務がある書式ではなく、「課題整理総括表と評価表は、介護支援専門員の専門職としての資質を向上させていく上で活用していただくものであり、全ての介護支援専門員が、全ての事例に対して作成することを義務付けるものではありません。 」(活用の手引きより)とされている。

この書式の内容を見ると、なるほど文字をすべて埋めるには多少面倒くさいと感じる書式であり、書式づくりが好きな「オタク」が作りそうな書式であることは間違いない。僕から言わせれば、「くどい」としか言いようのない書式である。

しかし同時に思うことは、この程度の書式を使いこなせない介護支援専門員であっても困るということである。言葉と文章を適切に使いこなすことは、ソーシャルワーカーにとって専門技術の一つであって、くどい書式であっても、それをどう記入してよいかわからないというのは、技術のなさの証明になってしまうのだ。

ところが、この書式を使いこなすどころか、この書式に振り回されて、結果、援助技術は何も変わっていないという状態が見られたりする。

いま巷では、「課題整理総括表」の作成講座が大人気だそうである。しかし僕はそのことに首をかしげてしまう。これってわざわざ作成方法を学ばねばならないことなのか?この書式の手引きを見て、自分自身で記入方法を見出していくというのが本来の姿ではないのか?

そもそも課題整理総括表を活用する目的とは、「専門職としてどのような考えで課題分析を行ったのかを明らかにすること」であり、自分の思考回路を文章化して、多職種協働の場面で説明する際のツールにできるというものである。

しかしその記入方法を講座で説明を受けて記入方法を学ぶというのでは、自分の思考回路を見える化することには繋がりにくく、単に技法・技術として空欄を埋めるだけに終わるという危険性を内包している。

なにより滑稽なのは、課題整理総括表を記入できても、課題分析について、自分の言葉で説明できない介護支援専門員がたくさん存在するという事実である。まさにこの新書式の記入そのものが目的化されて、真の目的を果たしていないのである。

そもそもこの書式自体が、自らの課題分析の思考回路を明確化できるものになっているのかということ自体に疑念はある。そうであるならもっとシンプルな書式にしないと、「思考回路の整理」など困難だからである。そういう疑念は残るものの、書式を記入するだけが精いっぱいで、そのことが業務負担を増し、相変わらず課題整理できないという状態が一番まずい。そうなっているなら、一旦この書式に縛られることなく、初心に返ってアセスメント表の読み取り方を勉強しなおすことである。

そして自分が担当しているケースについて、実際には利用するサービスを決定してから、事後にアセスメントを行い、サービス計画上その結果をこじつけているケースがないかどうかを検討し直し、そうしたケースがあるとすれば、あらためてアセスメントをやり直して、その結果として、どういうサービス資源と利用者を結びつけたら良いのかということを検討しなおすことである。

それを行ったうえで、当該ケースについて、あらためて「課題整理総括表」と「評価表」を用いて、自分の言葉と自分の文章表現で埋めてみるべきである。その時、きっと何かしらが見えてくるだろう。そしてそうすることによってのみ、課題分析の結果を自分の言葉で表現できるようになるはずだ。そういう人が介護支援専門員でなけれなならないのだ。

この書式の活用方法を学ぶことは良しとしても、書式にどうやって文字を埋めのかまで、他人に教わる必要はないし、そのことは教わってよいことでもないのだと考えるべきである。

今の世の中、ネット掲示板を始めとして、尋ねれば誰かが必ず教えてくれる世の中である。しかし安易に答えを示してくれる人が、「優しい良い人」だとは限らないのだ。それは単なる無責任な回答者である場合も多い。

自ら汗をかいて導き出す答えでなければ、身につかないものもあるってことを忘れないでほしい。

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