要介護高齢者の暮らしを支えるために、様々な場所で頑張っている介護支援専門員の皆さんは、居宅サービスの場でも、施設サービスの場でも、利用者の暮らしを支える多職種協働チームの中で、扇の要役を担う必要がある。

そのために頑張っている介護支援専門員の中には、本当に素晴らしい人材が多く、いつも何かを教えられて、その姿勢に頭の下がる思いを持つことが多い。

一方では介護支援専門員間のスキルの差が問題視され、事業者都合のサービスを押し付け、利用者の意思や希望を無視したサービス提供に終始することに、何の疑問も良心の呵責も持たない、責任感と使命感がない介護支援専門員の存在が指摘されたりする。

事実、ソーシャルワーカーとしてのスキルに欠けたまま、先輩から教えられたサービス作成方法を唯一のよりどころとして、暮らしを支えるという視点のない、単なるケアプランナーと言ってよい人も存在することは事実だ。

そのために、たくさんの優秀な介護支援専門員がいるにもかかわらず、制度改正のたびに、介護支援専門員とケアマネジメント技術への批判が繰り返され、あたかもそれは制度の欠陥がすべて介護支援専門の不適切なケアマネジメントによるものであるかのごとく糾弾され、介護支援専門員は常に被告席に立たされるのが当然のような考えを持つ人もいる。

しかし実際には、今この国から介護支援専門員という資格をなくしてしまっては困る要介護高齢者はたくさん存在しており、決して介護支援専門員という資格はなくなってはならない資格であると言い切って過言ではない。

現に厚労省の誰かが、介護支援専門員などなくしてよいと言っているような事実もない。

介護支援専門員を対象にした講演・講義等で、「そんなことばかりやっていると介護支援専門員の資格などなくなってしまいますよ。」と脅迫している講師がいるが、どこにそのような事実があるのかと問いたい。叱咤激励するのはよいが、地域の中で、利用者の暮らしをしっかりと支えている数多くの介護支援専門員の方々に対して、それは余りにも失礼な脅し文句であるし、「介護支援専門員の質の差をなくそう」という声はあっても、「介護支援専門員をなくそう」なんていう声がないという事実をもってして、それは嘘八百の不敬な脅し文句でしかない。

ただ居宅介護支援事業所の介護支援専門員の中には、他に先輩も同僚もいない一人ケアマネとして、何事も自ら決断を迫られ、かつ事業経営者からは、利益誘導が求められることで、使命感とのはざまでもがき苦しんでいる人もいるようだ。どうかそのことに負けないで、妥協しないでいただきたい。自らの良心が、巨大な力につぶされそうなときは、働く場所を変えるという決断も必要だろう。志の高い介護支援専門員にとっては、それが唯一、自らの心が壊れない方法だという場合もあるのだ。

様々な問題に煮詰まって、周囲が見えなくなっている人も存在する。例えば表の掲示板の相談ケース。「自費ベッドにするなら、介護保険対応のベッドにすべき??」のなかでは、相談者である介護支援専門員の方が、軽度要介護者の特殊寝台利用のルールをきちんと把握したうえで、所属事業所の上司の命令は不適切ではないかと相談されている。

相談内容を読んだ印象では、この介護支援専門員さんは、まじめで、コンプライアンスの意識も高い人だ。おそらく優秀な人材なのだろうと想像する。

ただ事業所内で誰にも相談できず、上司から理不尽なプレッシャーをかけられているという環境の中で、視野が狭くなって、自由な広い発想ができなくなっているように思う。

保険給付の対象外サービス=全額自費利用という発想から、介護保険制度から離れて、保険外で対応する方法はないかということを同時にマネジメントしていかないと、袋小路に陥ってしまうときがあるのだ。

特に福祉用具貸与については、保険給付されるものであったとしても、1割負担でレンタルを継続していくほうがよいのか、保険給付を受けずに、自費購入して、「自分の所有物」として使う方が良いのかは、個人の考え方も絡んで多様な判断基準があるのだから、ここは柔軟に考えるべきである。

おそらくこのケースの質問者のような場合は、少しだけ煮詰まっているだけなので、ちょっとしたヒントを与えるだけで、きちんとした方向への発想の転換が可能であり、より高いスキルを経験の中で身につけていくことであろう。

そういう意味では、地域包括支援センターの主任介護支援専門員がアドバイザーになって実施する、「地域同行型実地研修」は、介護支援専門員が一人しかいない事業所などは大いに利用すべきだと思う。
(参照:問われる主任介護支援専門員の資質と力量

僕自身は現在、介護支援専門員の実務は行っていないが、厚労省認定のケアアンネジメントリーダーの認定も受けている立場でもあるし、職場では居宅介護支援事業所のケアマネジャーや、施設ケアマネジャーの管理者の立場でもある。さらに実際にはケアマネジメント全般に対するスーパーバイザーの立場から指導することも多いので、介護支援専門員の方々を応援する人でありたいと思う。

全国で行う僕の講演でも、介護支援専門員の方々を対象にした講演は多い。それは介護保険制度全般に関するものであったり、介護支援船も人実務に関して居宅介護支援や施設サービスの違いを可たる者であったり、ケアマネジメント全般であったり、居宅サービス計画や施設サービス計画の作成方法であったりする。そこでは介護支援専門員に対して向けられた世間の評価を正しく明示したうえで、問題や課題を明らかにするが、決してそれで終わることなく、同時に、評価されるケアマネジメントについて、具体的に事実として明らかにしているつもりである。

介護支援専門員の使命感と誇りを失わないようにお話ししていくつもりである。

近直では、11月22日(日)13:00〜16:00愛媛県松山市で行われる「愛媛県地域包括支援センター協議会・ケアマネ部会研修」にて、「これからの介護支援専門員のあり方〜masaからのエール〜」というテーマでお話しする予定である。愛媛県の講演は2年ぶりになる。お近くの方は、是非会場までお越しいただきたい。

※なお同会場で同じ日の午前中に、「愛媛県老人福祉施設協議会主催研修」が行われ、そこでは「特養における看取り介護の実践〜本人・家族の思いを受け止めて〜」というテーマで、150分講演を行う予定である。看取り介護は、在宅・施設に限らず、すべての場所で、今後必要性が高まる介護で、どこでも安心して最期の時を過ごせることが、地域包括ケアシステムの基盤にもなる大事な介護である。こちらには職種を超えて数多くの方にお越しいただきたいと思う。

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