今朝、僕は札幌から施設に出勤した。福岡県筑後地区老人福祉施設協議会の皆さんが、北海道視察研修の為、昨日から札幌に滞在しており、僕は札幌のホテルまで出向いて講演を行った後、夜遅くまで懇親会を行い、そのままホテルに泊まったからである。

札幌発7:30発の函館行「北斗4号」に乗ると、登別駅には8:42に着く。駅の駐車場に自家用車を停めており、そこから施設まで5分で着くので、始業時間の9:00に十分間に合うのである。今朝も列車は3分ほど到着が遅れたが、始業時間に遅れることなく勤務に就くことができた。

昨日の講演では、「介護保険の行く末」と題して、この制度が今後どうなっていくのかという予測を、今までの改正経緯等から解説し、社会福祉法人等の事業経営戦略等を語ったが、その中で安部首相が9/24に示した「新三本の矢」の経済対策の中で明らかにした、特養の整備方針にも触れた。

このことに関しては、人材確保策が一体的に示されない中での、この方針は実現可能なのか?という疑問が生ずるし、「介護離職」より先に解決を図るべきなのは、「介護職離職」ではないのか?と考える人も多いことを指摘したうえで、ことさらこの方針を批判する必要はなく、むしろ介護関係者は、首相が政策の中に、介護施設の整備を盛り込んだことを順風と捉えて、首相の顔が、「介護問題」に向かうように利用すべきではないかと主張した。

例えば「首相の特養整備方針を、社会保障政策と勘違いしてはならない」の中でも次のように指摘している。
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首相の頭の片隅に、「特養は整備が必要な施設」であることが印象付けられたとしたならば意味があるのかもしれない。「特養の内部留保議論」の中で、あたかも特養がもうけ過ぎで必要悪であるかのように語られたことと比較すると、「いらない施設ではない」という認識を持たれたとしたら、特養関係者にはよりましな状況といえるだろう。そして整備が必要な施設なのだから、介護報酬も闇雲に下げるだけが能ではないと考えてくれるとしたら、そのことに別の意味があるのかもしれない。
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特養の数を増やしたところで、そこで介護サービスを提供する人がいないと、空き箱しかできないという理屈は、けっして難しい理屈ではなく、専門的知識がなくても理解できることである。首相ともあろう人が、そこに考えが及ばないということはない。それが現在示されている「潜在介護福祉士」の登録制度(掘り起し)という愚策では解決しないことも理解されるだろう。

そうであれば、経済対策として示したこの方針を実現するためには、同時に必要とされる介護人材の確保策ということが、後付けの政策と言えども、必ず出てくるだろう。

そうなると、この政策を実現しようとする過程で、社会保障費の削減のために、介護給付費をさらに下げるという政策は、特養を整備して「介護離職」をなくすという政策とは矛盾が生ずることにも気が付くはずだ。

処遇改善加算で介護職員の給与だけ改善できる対策を行っても、介護職員が働く場としての介護事業が、給付費の削減で経営困難となりなくなって行けば、あらたな特養整備事業に手を出す人はいなくなるし、介護離職はさらに増えるということにも考えが及ぶかもしれない。

そうなると首相が示した新三本の矢を、本当に実現可能な政策とするためには、財源がないと言いう理由で介護給付費をさらに減額する方針は方向転換が必要となるというふうに、風が変わる可能性があるものだと思う。

大事なことは、首相の顔がそちらに向かうようにささやいてくれる人がいるかどうかということであり、来年の参議院議員選挙で全国老施協が推薦する人が、そういうことをしてくれる人であるのかどうかということが問題なのだ。

実現不可能な政策だとか、方向性が違うと指摘するだけでは何も得るものがない。利用できるものは、大いに利用して、我々が求める方向に政策の視点を向かわせるという考えや戦略がないと、お上の言うがままに介護業界が流され、保険事故に対応できない介護保険制度になり、人の暮らしを良くできない社会福祉サービスになっていかざるを得ないのである。

昨夜は、そのようなことについても熱く語ってきた。

話は変わるが、今朝職場に丹波篠山市から「丹波黒豆」が届けられた。

丹波黒豆
今年篠山市役所を退職された、前田さん(篠山市の前保健福祉部長)からの施設への寄贈品である。この黒豆は前田さんらが中心となり、篠山市役所皆さんなどが「社会的ひきこもり」対策支援事業として栽培しているものだ。そこで収穫した「丹波黒豆」が毎年緑風園に寄付されており、それはもう10年以上前から続けられている活動である。前田さんはじめ、篠山市の皆さん、ありがとうございます。

送られてきた黒豆は、施設利用者はもちろんのこと、デイサービス利用者の皆さんにも、お昼ご飯のお膳につけて相伴していただく予定にしている。

昨日の福岡県筑後地区の皆さんと言い、篠山市の皆さんと言い、僕は全国各地のいろいろな方々に支えられている。本当に人とのつながりは貴重な財産である。全国のつながっている皆さんには、この場を借りて、あらためてお礼を言いたいと思う。本当にいつもありがとうございます。

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