北九州小倉で行われる、九社連老人福祉施設協議会・通所部会セミナーでは、合計5時間の講演を行う。その前半では、「介護報酬改定の影響と今後のデイサービスについて 」というテーマでお話をする。
そのなかで来年3月末までに、現在小規模型通所介護の報酬を算定している通所介護事業所の経営者に求められる決断として、定員を18名以下にして地域密着型の通所介護事業ととして指定を受けるのか、定員を19名以上にして、都道府県指定の事業所として残るのかという決断が迫られることについて解説する予定である。
前者の場合は、今年度算定している小規模型通所介護と同じ報酬が算定できる。しかし後者の場合、来年度からは今年度算定している報酬単価より低い、通常規模型報酬を算定せねばならない。2016年度以降の都道府県指定通所介護事業には、「小規模型」がなくなり、月平均利用者数750人以下は、すべて通常規模型通所介護事業所となるからである。
だが前者を選択した場合には、報酬単価は守ることができても、1日に受け入れる利用者数は18人までが上限となり、それ以上の顧客ニーズがあっても、利用をお断りせねばならない。後者の場合、算定する報酬単価は下がるが、それ以上に利用者が増加することで、収益を現在より増やすことも可能である。
繰り返しを恐れず書くとすると、定員19名以上であって、2015年度中までは小規模型通所介護費を選択していた事業者は、そのままでは都道府県の指定事業者となり、2016年度から通常規模型報酬の算定となるために、一人1日単価5%以上の減額となる。そのために、2016年3月までに定員を18名以下に変更し、地域密着型サービスのみなし指定を受けるか、サテライト事業所に移行するか、定員変更をせず通常規模型通所介護費を算定する都道府県指定事業者として存続して、報酬が減額した分を補う利用者の増員を図るかという選択が必要とされるということだ。
勿論この際には予防通所介護が、介護予防・日常生活支援総合事業に移行した時点での、現行の通所介護相当のサービスの実施とも関連させて考える必要があるが、本日の考察は、介護給付に絞って考えてみたい。
例えば毎日営業で、全ての日に18人の要介護利用者が見込まれるとしよう。すると月の利用者数は、18人×30日=540人である。今までなら月平均利用者数が300人を超えると、単価の安い通常規模型報酬を算定しなければならなかったが、来年度以降は、定員18名以下の地域密着型通所介護の場合は、この利用者数が実際に確保された場合であっても、現在の小規模型通所介護費を算定でできる。これは大幅な収益増につながる。
週1回の休みで25日営業することを考えると、18人×25日=450日であるし、一日15人利用で22日サービス提供でも、月延べ利用人数は330人である。これはどちらも小規模型報酬算定可能である。
そのように考えると、この計算式で月延べ利用者数が300人を超えるのであれば、定員を18名以下にして、地域密着型通所介護に移行し、十分に経営体力を養いつつ、地域の利用者動向をみながら、将来的に定員を増やして都道府県指定事業に移行を模索しつつ、事業拡大を見据えるという考え方が正しいと言えるのではないだろうか。
同時にこのことを考えると、定員を18名以下に定めて、地域密着型通所介護に移行するのは、今年度、小規模型通所介護費を算定している事業所だけではなく、昨年度実績で月平均300名を上回って、通常規模型通所介護費を算定している事業所であっても、定員変更して来年度地域密着型通所介護に移行し、収益増を図るという考えも有りである。
特に3年後に、さらに介護給付への締め付けが厳しくなることを考えると、通所介護利用に対する制限がより強化され、通所介護利用者の大幅な増加は見込めないと予測できることから、利用人数の大幅な増加を見越した経営戦略より、少ない定員でもその中で確実に利用者を確保して収益につなげていくという経営戦略の方が現実的と思える。
加算算定のために人件費がそれ以上に増える経営など愚の骨頂であり、2つの新加算に頼らない形で、小規模型報酬のメリットを生かす戦略を立てていくべきではないかと思う。
特に18人定員以下の通所介護のメリットは、その人数に対する人員配置を考えれば良いということで、今後ますます厳しくなるであろう、看護・介護職員等の人材確保という面から考えても、従業者の数が少ないことで、労務管理が容易であるという面から考えても、メリットがあるのではないだろうか。
ところでこの時に2つの疑問が浮き彫りになる。それは何か・・・そのことについては、明日更新の記事の中で詳しく述べたいと思う。(明日の記事に続く)
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