要支援者の介護予防訪問介護と介護予防通所介護を含んだ、軽介護者の介護保険サービスを、市町村が実施する介護予防・日常生活支援総合事業(新総合事業)として実施することについては、受け皿の整備等のため一定の時間をかけることも必要であることから、2017年4月まで猶予可能とされている。

このことに関連して、今朝の北海道新聞は、道内実施状況について、2015年中に介護予防・日常生活支援総合事業を実施するのは7市町村、2016年実施予定は17市町村、2017年度予定は133市町村、未定は22市町村であると報道している。

要支援者の介護サービスの一部を、市町村の介護予防・日常生活支援総合事業に移行する一番の目的は、財政負担を少なくし、保険料と公費を抑制することである。そのことは、「予防サービスの新総合事業への移行について」で示しているので参考にしてほしい。

新総合事業に移行することでなぜ財政負担が少なくなるかと言えば、市町村の事業の単価や基準は、市町村独自で設定できるので、市町村の財政事業に応じた単価設定などで給付費を抑えることが可能であることもあるが、それにもまして大きい理由は、介護予防・日常生活支援総合事業には財源の上限があり、市町村独自の基準等は、むしろこの上限を見据えて設定するという意味がある。

現行の介護保険サービスは、予防給付も介護給付も、使われた分だけ財政負担しなければならないが、介護予防・日常生活支援総合事業については、基本原則は、この上限範囲でしかサービス提供できないという意味である。(※上限を超えることができる、個別判断という特例はある。)

新しい総合事業の上限について
このように新しい総合事業の上限については、市町村が円滑に事業実施できるように選択できる仕組みになっているほか、早期実施市町村(猶予期間の2017年4月より前に実施する市町村)については、移行期間中における「10%の特例」が適用され、上限額が上がるというメリットと、介護予防・日常生活支援総合事業を市町村全域で実施している場合に限り、市町村の事務負担を軽減するため、更新申請時の要介護認定に係る有効期間を、一律に原則12か月、上限24か月に延長し簡素化することが認められている。

特に前者の10%上限割増は、市町村にとってメリットとなっており、この適用を受けるために早期実施する市町村もあるわけである。

しかし同時に早期に介護予防・日常生活支援総合事業を「実施できない理由」については、同事業は「地域のボランティアの活用」などで、多様なサービス提供を目指しているが、人口減と高齢化が進行する地方の市町村では、ボランティア資源が見つからないという理由が主として挙げられている。

このことにつて今朝の道新の記事では、北星学園大学の杉岡教授の「ボランティア頼みでは、助け合いや支え合いのシステムを構築することは難しい」というコメントを載せている。

その発言内容を否定する何ものもないが、国が本気でこの事業主体をボランティア頼みとしていると考えているとしたら、それは間違いである。

サービスの類型(典型的な例)
介護予防・日常生活支援総合事業のサービスの類型は上記のように示されているが、市町村はこのすべての類型サービスを実施しなければならないわけではない。そのことは「介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン案」についてのQ&Aで次のように示されている。

第1 総合事業の実施に関する総則的な事項
問 介護予防・生活支援サービス事業及び一般介護予防事業における各事業は、全てを実施しなければならないものではなく、選択実施と考えてよいか。

(答)
1 介護予防・生活支援サービス事業は、訪問型サービス、通所型サービス、その他の生活支援サービス、介護予防ケアマネジメントの4事業により構成されるが、そのうち、訪問型サービスや通所型サービス(以下「訪問型サービス等」という。)については、予防給付の訪問介護、通所介護で実施されていたサービスが移行されてくることを踏まえ、法律上、必ず実施すべき事業と位置付けられている。また、介護予防ケアマネジメントについては、介護予防・生活支援サービス事業のみを利用する場合に実施される事業であることを踏まえ、総合事業への移行により、必ず実施すべき事業とされている。
なお、ガイドライン案の中では、訪問型サービス等については、市町村が円滑に事業を実施できるようにするため、例えば、現行の訪問介護に相当するものに加えて、訪問型サービスA(緩和した基準によるサービス)、訪問型サービスB(住民主体による支援)など多様化するサービスの典型的な例をお示ししているところ。これらについては、あくまでも例示であり、この内容を参考として、市町村において地域の実情に応じて取り組んでいただきたいと考えている。
また、その他の生活支援サービスについては、市町村の取組として訪問型サービス等と一体的に行われる場合に効果が認められるものに限定していることから、市町村によっては実施しない場合も想定されうる。


つまりボランティア資源などが見つからない市町村においては、単に予防訪問介護と予防通所介護が、現行の予防給付より単価の低い市町村事業に移行するだけで、他の類型サービスに該当するようなサービスが、実質提供されないという事態もあり得るのである。

しかしそれは多様なサービスを提供できない市町村の責任であり、その根本原因は、地域活動に関心の薄い住民自身の責任に帰されるものであり、地域包括ケアシステムとは、地域住民がそうした自己責任をそれぞれ果たさないと機能しない、なんていう理屈がまかり通るのかもしれない。

どちらにしても、介護予防・日常生活支援総合事業は、地域によってサービスの多様性の格差は大きくなるし、それはとりもなおさず地域住民サービスの市町村格差の問題として表面化してくるであろう。
下記に、神戸市の遊戯的通所介護の規制の動きについて問うアンケートフオームを作成しておりますので、是非回答をお願いします。またコメントとしてご意見もいただきたくお願い申し上げます。結果は後日、このブログ内でお知らせいたします。(回答期限は9/7まで)
神戸市による遊技中心の通所介護の規制についてのアンケート実施中です。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

介護・福祉情報掲示板(表板)

4/24発刊「介護の詩・明日へつなぐ言葉」送料無料のインターネットでのお申し込みはこちらからお願いします。

人を語らずして介護を語るな 全3シリーズ」の楽天ブックスからの購入はこちらから。(送料無料です。